

水草は水道水で育つのか?水道水を使う際の注意点と水草に向く水質
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アクアリウムで使用する水道水は、基本的にカルキ抜きをすることが推奨されています。
しかし、これは生き物を飼育している場合の話。
塩素の影響を受けづらい水草だけを育てている水槽であれば、カルキ抜きをしなくても問題ないことが多いです。
そもそも、水道水のカルキは殺菌目的で入れられている成分なので、そのまま使用することで得られる利点もあります。
ただ、水草の品種によっては塩素の影響を受けやすかったり、塩素が含まれていることで水草が好む水質を保ちづらかったりなどの注意点もありますので、カルキ抜きが必要かどうかは、水槽の状態に合わせて総合的に判断するのが良いでしょう。
ここでは、水草は水道水で育てられるのか、育てる場合の注意点や水質について解説します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに水草育成に水道水を使う注意点と水草向きの水質を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水槽に入れる水はカルキ抜きをしなければならないと思われがちですが、水草だけを育成するのであればカルキ抜きをしなくても大丈夫な場合があります。
水換えなどの時にひと手間減らせるのはとても嬉しいですが、品種によっては調子を崩してしまう可能性がありますので、水質を確認したうえで水道水をそのまま使用するかどうかを検討してみてください。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、水草育成に水道水を使う注意点と水草向きの水質を解説します。
水草は水道水でも育つ!ただし注意点もあり
結論から言うと、カルキ抜きをしていない水道水を水槽に入れても、水草にはあまり影響がないと考えられます。
水草は魚よりも水質に寛容なことが多く、塩素の影響も受けにくいためです。
また、カルキは一日ほど空気にさらしておけば抜けてしまいますので、仮に水槽にそのまま水道水を注水しても、水草がカルキに触れるのはほんの一時。この程度ならば問題になることはないでしょう。
とはいえ、水草の中にはカルキに弱い性質のものもあるため、全く影響がないとは言い切れません。育ててる品種の特性をしっかり把握して、水質を管理することが大切です。
ただし、生き物には少量でもカルキの影響が出る可能性があります。水草と一緒に魚やエビなどを飼育している場合は、必ずカルキ抜きを使用して塩素を中和してください。
水槽設置時にカルキ抜きしないメリット
ここからは、水草用の水槽設置時に、カルキ抜きを使用しないメリットをご紹介します。
水道水に入っているカルキには殺菌作用などの良い効果がありますし、カルキ抜きをせずに注水することで、時短にもなります。
水草のみを育成している水槽限定ではありますが、カルキ抜きをしないという選択肢もありますので、参考にしてみてください。
雑菌の混入を防ぎやすい
カルキには消毒作用があるため、水中に雑菌が繁殖するのを防ぐことができます。
この効果を一番活用できるのが水槽を立ち上げるときです。まだ、バクテリア等が定着しておらず、生体も入れる前の水槽設置時に水道水をそのまま注水すれば、清潔な環境でアクアリウムをスタートできます。
カルキは熱帯魚などの生き物には悪影響とお話ししましたが、水槽の立ち上げでは、環境が安定するまでの数日間、生体を入れずにろ過フィルター等を空回ししておく期間があるため、この間は水道水で管理ができます。後から生体を入れるとしても、その頃にはカルキは抜けているので、問題になることはないでしょう。
また、一度使用した水槽や水槽機材を再利用する場合、前の環境のカビや臭いが付着している可能性があるため、水道水を使用してカルキで消毒すると、新しい環境に菌を持ち込む心配がありません。
ただし、バクテリア剤や他の水槽の飼育水を種水として使用するときは、水道水を入れるとせっかくのバクテリアが減少してしまいますので、しっかりカルキ抜きをしてください。
種水は水槽を早く立ち上げるのに効果的ですが、雑菌やコケを水槽に持ち込む原因にもなることも。水槽を続けていればいずれは発生するものではありますが、最初は余計なものを入れたくないと思う方は、水道水で水槽を立ち上げるのも一つの方法です。
時短になる・カルキ抜き剤のコストがかからない
単純にカルキ抜きをする手間が省けて時短になりますし、カルキ抜き剤にかかるコストを削減することができます。
カルキ抜きは水槽立ち上げ時はもちろんのこと、定期的な水換えなどでも必ず行う作業ですが、意外に手間がかかります。水草だけの水槽限定ではありますが、水道水をそのまま水槽に注水できれば、メンテナンス作業がかなり楽になるのではないでしょうか。
また、カルキ抜き剤には、カルキ抜き以外に水質調整作用や栄養補助などの、コンディショニング成分が配合されていることも多いため、シンプルな環境で水槽を管理したい場合も、水道水をそのまま注水するのがおすすめです。
ただし、繰り返しになりますが、生き物を飼育している場合は必ずカルキ抜きをしてください。水槽立ち上げ時であれば、水道水を注水してから2日以上経過してから熱帯魚を導入すると安心です。
カルキ抜きについては、こちらのコラムも参考にしてください。
水道水を使う際の注意点
カルキの効果を上手に活用すれば、水草水槽で使用できる水道水ですが、実は使用方法を間違えると水草を枯らしてしまう危険も潜んでいます。
ここでは、水道水を使う際の注意点を解説しますので、使用前に確認してみてください。
塩素に弱い水草もある
水草の中には塩素に弱い品種もあるので、注意が必要です。
例えば水草の入門種としても知られるマツモは、塩素には弱い傾向があり、しっかりカルキ抜きをしないとバラバラに崩れて枯れてしまうことがあります。
その他にも一部のロタラなど、ほっそりとした葉を持つ水草は塩素に弱いものが多いです。
反対に塩素の影響を受けにくい水草には、カボンバなどが挙げられます。
このように、水草の品種によって耐えられる水質や特性が異なりますので、育成する水草の性質を把握したうえで管理の仕方を決めていくのが良いでしょう。
また、水道水で管理していきたいと考えるのであれば、塩素に強い水草を選んで導入していくと安心です。
育てやすい水草については、こちらのコラムで紹介していますので、参考にしてください。
弱酸性を好む水草には向かない
カルキはpHをアルカリ性に傾けやすいです。
日本の水道水は弱酸性~弱アルカリ性(pH5.8〜8.6)に調整するよう定められており、多くの地域で中性~弱アルカリ性を示す傾向があります。
一方、水草の多くは弱酸性を好むため、pHだけみると水道水は水草の育成に向いているとは言い難いです。
そのため、水道水をそのまま水草の育成に使用したいときは、まずご自宅の水道水のpHを測ってみることをおすすめします。弱酸性であれば、そのまま使用して問題ありません。
もしpHが高いようであれば、
- pH調整剤などを使用して弱酸性に調整する
- 適応力の高い水草や弱アルカリ性を好む水草を選んで育成する
などの工夫をして、水草を育成します。
ミクロソリウム、アナカリス、バリスネリア、アヌビアス・ナナ、アマゾンチドメグサなどは比較的様々な水質に適応できるため、水道水でも問題が起きにくいです。
弱アルカリ性で育成できる水草としては、カボンバが知られています。カボンバは先ほど塩素に強い水草としても名前が挙がりましたが、水質的にも水道水と相性が良いです。
水草の育成条件については、こちらのコラムも参考にしてください。
水草に向いている水質・環境
水草を水道水で管理することは不可能ではありませんが、より良い状態で育成したいときは、やはりカルキを抜いてしっかり水質を調整した水を用意することをおすすめします。
最後に、改めて水草が好む水質を確認した上で、どの様な環境が育成に最適なのかを考えてみましょう。
水草育成に向いた環境とは
多くの水草は好む環境は、弱酸性の水質で水温は25~26℃程度です。
水質が弱酸性なのは、水草の成長に必要な養分が関係しています。
水の汚れともいわれる生き物のフンなどから発生する有機的な成分には、水を酸性に傾ける性質があるのですが、実はこれらの有機物は水草の養分として必要不可欠です。
つまり、養分が豊富な水=弱酸性に傾きやすくなるため、結果的に弱酸性の環境が水草の成長に最適となります。
次に水温について。水草は水温27度以上で枯れてしまう種類が多いため、熱帯魚育成よりもやや低めの25~26℃程度に水温を設定するのが一般的です。
水道水以外の選択肢も用意しておこう
上記の条件を踏まえて水草育成環境を用意すると、養分を作り出すための生き物を飼育して、水槽用ヒーターで水温を維持するのが最適という結論になります。
生き物を飼育する場合、水道水はそのままでは使えないので、カルキ抜きが必要です。
もし、どうしても水道水を使い続けたいのならば、生き物を入れずにソイルや水質調整剤で養分を補うこともできますが、これはこれで手間やコストがかかります。
水道水での管理は一見楽に感じるかもしれませんが、水質を調整しづらいのは大きなデメリット。一度調子を崩してしまったら、立て直すのに時間がかかる事も多いです。
本水槽のストックという位置づけであれば水道水で管理し続けることもできますが、水草水槽として成り立たせるならば、きちんと調整した水を使うのが良いでしょう。
まとめ:水草は水道水で育つのか?水道水を使う際の注意点と水草に向く水質
水草は水道水で育てられるのかについて解説しました。
一部の水草はカルキ抜きをしていない水道水でも育てられます。しかしすべての種類が問題なく育つかというと、そうではありません。
水草の種類やご家庭の水道水のpHなど、様々な条件によって育てやすさは変わってきます。
どうしても水道水だけで育てたい場合は、水道水で育てられる丈夫な種類だけを集めるのがおすすめです。繊細な性質の水草の栽培や、生き物を入れる水槽の場合は、素直にカルキ抜きを入れましょう。
水草水槽に正解はありませんので、ご自身に合ったスタイルを見つけて管理していくのが一番です。
まずは水道水で育成を始めてみて、状況に合わせて水質を調整していくこともできますので、気負わず水草育成にチャレンジしてみてください。
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