フラワーホーンとは!飼育方法から品種の特徴、混泳の注意点を解説
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数いる熱帯魚の中でも、特にユニークな外見をしているのがフラワーホーンです。
頭部の大きなコブに突き出した口、色鮮やかな体色と、とにかく特徴にあふれていて一度見たら忘れることはありません。
また、環境に慣れてくると、人に近寄ってきたり水槽越しに追いかけてきたりと人懐っこい愛らしい姿を見せてくれるのも魅力です。
しかし、同じ魚相手には気性がかなり荒い面を持つため単独飼育が基本、大型魚なことから飼育には90cm以上の大きな水槽が必要となるなど、飼育するのであればいくつか注意したい点も。
そこで今回は、フラワーホーンの基本に重点をおいて、飼育方法や種類、飼育する上での注意点などを解説します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにフラワーホーンの飼育方法や注意点を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
シクリッドの仲間であるフラワーホーンは、大型魚で単独飼育が基本ではあるものの、比較的丈夫で飼育がしやすい熱帯魚です。
愛嬌のあるユニークな見た目は見ていて飽きることがありませんし、人に慣れるため最近はペットとしても人気を集めています。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、フラワーホーンの飼育方法や注意点を解説します。
フラワーホーンとは
フラワーホーンは『フラミンゴシクリッド』と『トリマクラートゥス』を交配して生み出された、シクリッドの仲間です。一説にはその他にも複数種のシクリッドが掛け合わされているとも言われています。
寿命は平均4~5年ですが、上手に育てれば10年近く生きることもあります。成魚は体長30cmにまで成長する大型魚で、大きな頭部のコブと鮮やかな体色が特徴的な見ごたえある熱帯魚です。
フラワーホーンは野性には存在しない
フラワーホーンは複数のシクリッドを掛け合わせて作られた改良品種で、自然界には存在しない熱帯魚です。
そのため、大枠ではシクリッドの仲間とされますが、生物学上の正式な分類付けはされていません。犬や猫の”雑種”やメダカの”改良メダカ”といった品種と同じような扱い、と考えるとわかりやすいでしょうか。
現在では更に品種の細分化が進み、様々な系統を持ったフラワーホーンが生み出されています。
丈夫で飼育がしやすい魅力にあふれた熱帯魚
一般的に改良品種は原種よりもやや体質が弱くなると言われていますが、フラワーホーンはとても強健です。
むしろ自然種より丈夫なのではと言われるほどで、大きな水槽さえ用意できれば比較的簡単に飼育することができます。
また、幼魚と成魚で見た目が大きく変わるのも楽しみの一つ。表題の写真はフラワーホーンの幼魚なのですが、代名詞ともいえる大きなコブや美しい体色はまったく目立たず、とても同じ魚とは思えません。
それが成長するにつれて、徐々にコブが発達し体色もどんどん鮮やかになって、皆さんもご存知のフラワーホーンに変貌していくのです。
この成長の過程で、餌や飼育の仕方を工夫するとより美しく育てあげることができるため、理想の一匹を目指して飼いこんでいくことができるのも魅力です。
成魚は気性が荒い
丈夫で飼育がしやすく見応えがある…観賞魚として完璧とも思えるフラワーホーンの唯一の難点が、気性が荒いことです。
といっても、最初から気性が荒いわけではありません。シクリッドの仲間はかいがいしく子育てをする種類が多く、幼い頃は親魚周辺で兄弟姉妹同士、群泳しています。そんな性質があるので、ごく小さな稚魚から若魚のうちはフラワーホーンも混泳が可能です。
しかし大人になるにつれ縄張り意識が増し、最悪のケースに至るまで喧嘩をし続けるようになってしまいます。
体が大きなフラワーホーンでは、水槽の中で干渉しあわないような隠れ家を用意することも難しいため、争いを避けるならば最初から単独飼育が無難です。
フラワーホーンの飼育について
丈夫なフラワーホーンは、大きな水槽さえ用意できればあまり神経質にならずとも飼育ができる熱帯魚です。
ただ、特徴であるコブや体色をより美しく育てるならば、機材や餌を工夫してあげると良いでしょう。
ここでは、フラワーホーンの基本的な飼育方法を解説します。
90cm以上の水槽がおすすめ
フラワーホーンを飼育するならば90cm以上の大きさの水槽を用意してあげるのが理想です。
60cm水槽でも飼育することはできますが、
- 30cm程度まで大きくなる大型魚であること
- 遊泳性が高いこと
- 食欲旺盛で肉食性が強く、水を汚しやすい性質であること
などの理由から、より大きな水槽の方が管理がしやすくなります。
水槽が窮屈だと泳いでいるときに自慢コブや体に傷を付けてしまう可能性があるため、奥行きはフラワーホーンより一回り大きい45cm以上を確保できる水槽が良いでしょう。
また、90cmクラスの水槽になると水を入れたときの重さが200kgを優に超えますので、水槽と一緒に専用の水槽台を用意してください。床の耐荷重も確認しておくと安心です。
フラワーホーンは人慣れする魚ですので、目線を合わせられる高さの水槽台を選ぶとコミュニケーションが取りやすく、愛らしい姿を存分に鑑賞できます。
レイアウトはシンプルがおすすめ
フラワーホーンの水槽では、レイアウトはシンプルが基本です。
水を汚しやすい性質であることから、底砂を引かないベアタンク式で飼育している方も多いですが、底砂を敷いた上に流木や岩などを配置して簡単なレイアウトを施すと、フラワーホーンの美しさをより引き立てることができます。
水槽にバックスクリーンを貼って、特徴的な姿を際立たせるのも良いでしょう。
ただし、あまり多くのレイアウトを配置してしまうと窮屈ですし、コブを引っ掛けてけがをしてしまうこともあるため、やり過ぎには注意してください。
コブには骨や筋肉があるわけではないため、多少の怪我が命に関わるようなことはありませんが、傷をつけないに越したことはありません。
また、後述しますがフラワーホーンは弱アルカリ性の水質を好むことから、底砂に大磯砂を使用したり岩を配置したりするのは、水質の維持にも効果的です。
フラワーホーンにおすすめの照明
照明は熱帯魚飼育用のLEDライトで問題ありません。ナチュラルな白色系でも良いですが、赤や青の照明を当てるとフラワーホーンの神秘的な美しさを際立たせることができます。
上部から当てるのでも良いですが、大型魚飼育でよく使われる水中に設置するタイプのライトを使用して水槽内の明るさを調整すれば、更に美しい姿が鑑賞できるのでおすすめです。
得意な水質と維持方法
フラワーホーンが好む水質は以下の条件です。
- 水温:25℃~28℃程度
- pH:7.0~7.5程度
- 硬度:中程度(5度前後)
水温は25℃が適温です。水槽サイズに合わせた水槽用ヒーターを使用して水温を維持します。
水温の低下には弱い傾向にあるため注意してください。
水質は南米原産のシクリッドには珍しくph7.0~7.5付近の弱アルカリ性、水の硬度は5度前後の中程度を好みます。
これらの傾向から、ろ材には『パワーハウス ハードタイプ』などの水質をアルカリ性に調整する効果があるものがおすすめです。
また、ろ過フィルターはろ過能力が高い外部式フィルターか、予算に余裕があるならばオーバーフロー式も視野に入ります。
水を汚しやすい魚であるため、外部式フィルターならば、水槽サイズよりワンランク上のものを選定すると管理がしやすくなるでしょう。
餌の種類と与え方
フラワーホーンは大食漢で、どんな餌でも選り好みをせずに食べてくれます。
そのため、基本は人工飼料で育てながら、たまにおやつとしてイトメなどの活餌や冷凍飼料、更には茹で野菜などの植物質を与えるのがおすすめです。
フラワーホーン用の人工飼料には、バランスに優れた基本フードの他に、体色や模様をよりくっきり発現させるための色揚げ用フードや、コブを大きく育てるための栄養満点なコブ用フードなど、様々な種類の餌が販売されていますので、目的に合わせて使い分けると良いでしょう。
ただ注意点として、フラワーホーンは腸がやや弱い傾向があります。消化不良から転覆病やコブの成長不良に繋がることもあるので、必ずフラワーホーン専用の人工飼料をメイン与えるようにしてください。
フラワーホーンの品種について
複数のシクリッドを掛け合わせて生まれたフラワーホーンは、品種改良が繰り返された結果、現在に至るまでに模様や色、コブの大きさなどが異なる様々な品種が作出されています。
ここからは、フラワーホーンの代表的な品種を5種類ご紹介します。
キングカムファ
フラワーホーンの中でも特に豪奢なのがキングカムファです。
2001年に初めて作出された比較的新しい品種で、赤色をベースにメタリックな網目模様が複雑に入るボディは、見る角度によって様々な表情を見せてくれます。
一見落ち着いた色合いにも見えますが、その輝きはどのフラワーホーンよりもゴージャスでまさにキングの名にふさわしい、愛好家憧れの品種です。
タイシルク
タイシルクは、コバルトブルー一色の体色が非常に美しい品種です。個体によってはうっすらと黄色が乗ります。
フラワーホーンの中でもあまりコブが成長しない種類で、成魚になっても頭部は控えめ。そのためまれにコブが大きく成長した個体が出ると、驚くような高値で取引されることもあります。
ポンパドール
正式名称は”フラワーヘッド・ポンパドール”と言います。
ポンパドールとは、ふんわりとボリューミーに前髪を上げた髪型のことで、その名の通り丸くボリュームのあるコブが特徴的な品種です。
ディープレッド
ディープレッドは深みのある赤が印象的なフラワーホーンです。
『ディープレッド・タイガー』のように、体に現れた模様やその他の特徴と組み合わせた流通名で販売されています。
シクリッドが起源のフラワーホーンは、成長していく中でその体色や特徴が発現していくため、幼魚の段階で品種を見分けることがかなり困難です。
ディープレッドもある程度まで成長しないと体色が固定されないため、流通している個体は成魚のものが大半で値段も上がりやすい傾向にあります。
ビッグヘッド
フラワーホーンの中でも特にコブが大きく育ったものに付けられるのが、ビッグヘッドの称号です。
大きいものではコブが体長の1/3程度まで発達することもあるほどで、非常に見応えがあります。
ただあまりにコブが大きいため、上手く餌を食べられなかったりちょっとしたことで傷がついてしまったりなど、フラワーホーンの中でもデリケートで扱いが難しい品種。
ビッグヘッドを飼育するときは、他種より一回り大きな水槽で、きちんと餌を食べているかをチェックすることが上手に飼育するポイントです。
こちらも他の特徴と合わせた名前で表記されることが多く、『ビッグヘッドポンパドール 』や『ショートボディ ビッグヘッド』など、様々な流通名で取引されています。
フラワーホーンの飼育ポイント
最後に、フラワーホーンを飼育する上でのポイントをご紹介します。
フラワーホーンの品種は細分化されていますが、大まかな飼育ポイントはどれも変わりません。
基本的には丈夫で飼育しやすい魚ですが、気性が荒い大型魚であることやコブに傷がつきやすいことなどに留意すると、快適な環境を維持しやすくなります。
フラワーホーンは混泳不可!
フラワーホーンはシクリッドの中でも特に気性が荒い上に肉食の傾向が強いため、混泳はできません。
フラワーホーンよりも小さな魚はもちろんのこと、同種同士や同サイズの大型熱帯魚にもボロボロになるまで攻撃を仕掛けてしまうので、単独飼育が必須です。
幼魚のうちは体が小さく、大きな水槽に一匹だと寂しく感じるかもしれませんが、フラワーホーンは30cm以上になる大型魚ですので、あっという間に大きくなっていきます。
また、一匹に注力して飼いこむことでより美しく育て上げることができる魚で、大切に愛情をこめてあげると、人の顔を覚えて追いかけてきたり、手を近づけると「コブをなでて」と自分からすり寄ってきたりする優秀なペットフィッシュでもあります。
寂しく感じるのは飼い始めた当初だけで、その時期に無理な混泳をすると残念な結果になりかねませんので、単独で余裕を持って飼育していきましょう。
ストレスを与えない
その気性の荒さからは想像できませんが、フラワーホーンは意外に臆病で繊細な性格をしています。
大きな音や振動にストレスを感じてしまうため、
- 人が頻繁に行き来する場所
- ドアの開け閉めなど振動が多い場所
- 窓の付近など外の騒音が伝わりやすい場所
のような場所に水槽を設置するのは避けましょう。
これらの場所を避けて自宅で水槽を設置するならば、適度に人がいるリビングや、飼い主と密に接することができる個人部屋が最適です。特に個人部屋で飼い主といる時間を増やして積極的にコミュニケーションを取ると、顔を覚えて懐いてくれる確立も上がります。
運動量を確保する
フラワーホーンは遊泳性の高い魚で、十分に泳がせてあげることがストレスの軽減になります。
運動不足は体調不良にもつながりますので、ゆったりと泳げるスペースを確保してあげましょう。
この点においても、幅90cm以上、奥行き45cm以上の大きな水槽で飼育するのが理想です。
美しいフラワーホーンを育てるには
元来独特の優美さを備えるフラワーホーンですが、育て方によってより美しさを際立たせることができます。
まずは体色を良くする方法について。
色揚げ用の餌を与えることはもちろんですが、それ以外にも
- 定期的な水換え
- 適度な運動
を守ることでも色揚げ効果が期待できます。
水換えは週に1回、総水量の1/3程度の量を目安にすると良いでしょう。水質に変化があると色が落ちてしまうことがありますので、水換え前と後に水質検査薬を使って確認すると安心です。
先にご紹介した水質を目安に調整してみてください。
適度な運動も体色を良くするのに有効です。一か所に縮こまっていると色が黒ずんでしまいますので、十分に泳がせてあげましょう。
次にコブを大きく育てる方法ですが、こちらは栄養のあるコブ用のフードを与えるのが一番です。
コブの大きさは血統に左右されるため、必ず理想の大きさになるというわけではありませんが、それでもある程度の効果が期待できます。
また、コブはとにかく傷つけずに育てることが大切ですので、コブを引っ掛けてしまうような障害物には注意してください。
まとめ:フラワーホーンとは!飼育方法から品種の特徴、混泳の注意点を解説
今回は人の手で作出された一風変わった熱帯魚、フラワーホーンの基本についてご紹介しました。
フラワーホーンは特徴的なコブや独特の見た目から、上級者向けの魚と敬遠されてしまうこともありますが、実は頑健で大きな水槽さえ用意できれば比較的飼育が容易な熱帯魚です。
人慣れするペットフィッシュとしても親しまれており、一匹を飼いこむことで美しさを引き出す楽しみがあります。
大切に育てれば10年生きることもあるフラワーホーン。末永く健康に育てるためにも、ぜひこのコラムを参考にしてみてください。
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フラワーホーンはかなり強健種で1番飼いやすい熱帯魚と殆ど掲載されていますが、私も一度通販でレッドパールタイプを購入して、一週間水造りをして40㌢水槽に水温28度でグリーンFゴールドを適量投与して、2週間程トリートメントをしてから本水槽の、90㌢規格水槽に移して初めから、ろ過は特注上部式ろ過槽にリオ+1400を付けてましたのでメンテナンスはとても楽で、水は全く汚れませんでした。初めからほぼ単独飼育苔取り用に25㌢程のマーブルセルフィンプレコを1尾入れて飼育開始しましたが、餌は一日2回フラワーホーン用の餌を少なめに与えて飼育をしてましたが、3ヶ月半で急に拒食症になり全く餌を食べす体色も黒化したまま中々回復せず、人に慣れる?ねだりますが手を入れたら直ぐ私の手に噛みつきに来るし、フラワーホーンは腸が弱いので少なめに餌を与えて水換えは週に一度3分の1水換えをしても、ストレスに非常に弱くディスカス並に手の掛かる弱い魚でした。回復するのに2ヶ月は掛かりました。治療方は私は塩浴治療で治しました。水温34度に上げれば治ると有りますが、試した結果あれはガセで全く回復傾向が見られませんでした。フラワーホーンを飼うならまだ同じシクリッドのレッドシクリッド、サルヴィニーシクリッド、グリーンテラー、テキサスシクリッド、パール
シクリッド、ワイルドオスカーを飼う方が、余程強健種で人に懐くし飼いやすい魚と言えます。私はフラワーホーンは二度と飼いたいとは思いません。
コメントありがとうございます。大切に飼育をされていたのですね。
フラワーホーンは、大型のシクリッド特有の飼育しにくさや、個体差もあります。
シクリッドは種類が豊富ですので、ぴったりと合う魚種を探すのも、一つの方法と考えています。
よろしくお願いします。