大型水槽の水換え道具と方法を解説!プロが行うおすすめ水換えテクニック
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水換えは小型水槽でも手間がかかりますが、大型水槽ともなればより大変な作業になります。
一般的な熱帯魚水槽の水換えではバケツを使って水換えしますが、120cmを超えるような大型水槽の場合、バケツで作業をしていては時間がかかりますし、何より作業者の体力が持ちません。
大型水槽の水換えは便利な道具を使っていかに効率よく行うかがポイントです。
ここでは水槽メンテナンスのプロの目線で、大型水槽の水換えに使うおすすめの道具と方法をご紹介します。
初心者でも無理なく作業することができる水換え方法です。大型水槽にご興味ある方はぜひご一読ください。
目次
プロアクアリストによる大型水槽の水換え道具と方法の解説
このコラムは、東京アクアガーデンに在籍するアクアリストたちの経験・意見をもとに作成しています。
東京アクアガーデンでは、5000件を超える水槽を設置・メンテナンスしてきた経験があり、150cmを超える大型水槽を扱うことも少なくありません。ときには200cmを超える水槽を管理することもあります。
実務経験をふまえて大型水槽の水換えに使用する道具と効率の良い水換え方法をご紹介します。
見慣れない道具もあるかもしれませんが、道具の使い方と体に負担の少ない水換え方法を解説しますので、ぜひ、ご覧ください。
クリーナーポンプを使わないで排水する方法
今回ご紹介する大型水槽の水換え方法は、ホースで直接排水する方法が前提です。
小型水槽ではプロホースなどのクリーナーポンプを使って排水することが多いですが、大型水槽では時間がかかるため使用しません。ホースとサイフォンの原理を利用して水を抜いていきます。
■サイフォンの原理とは
電源ではなく重力を利用して水を移動させる方法です。水槽につけたホースのもう片方を口で吸うと水が上がって下りてきますが、吸うのを止めてもそのまま流れつづけます。これはサイフォンの原理が働いているためです。クリーナーポンプも最初に手押しで水を吸い上げ、その後はサイフォンの原理で水を排水しています。
サイフォンの原理は重力を利用するため、高い場所から低い場所にしか働きません。水槽から水を抜く場合は、水槽に入れていない排水側を水槽より低い位置にする必要があります。
ホースとサイフォンの原理を利用した排水手順は、次のとおりです。
- ホースの片方を水槽に入れる
- ホースの反対側を手で覆う
- 覆った手に口をつけて吸う
- ホース内に水が入ってくるのを確認する
- 口を放して排水する
ホースを直接口で吸っても排水できますが、衛生面を考慮して手で覆ってから吸うようにします。口をつけたままにしていると水を飲んでしまいますので、流れてきているのが確認できたら口を放しましょう。
サイフォンの原理を利用した排水方法は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
大型水槽の水換えに使うおすすめ道具
ここからは、大型水槽の水換えに使う道具をご紹介します。
道具は市販のものをそのまま使うこともありますが、アレンジを加えてより使いやすい水換え道具を自作することもあります。道具のアレンジもそこまで難しいものではありませんので、合わせて参考にしてみてください。
ホース
メンテナンス作業に必須のホースは、水槽の設置場所や状況に合わせたものを用意すると、作業効率が上がります。
水場と水槽の距離が離れている場合
大型水槽ともなると、バケツに水を汲んで運ぶのはとても大変な作業です。水道と水槽に距離がある場合は長いホースを用意し、できるだけ運ぶ距離を短縮しましょう。
量販店でも20m程度の長さのホースが販売されています。
150cm以上の大型水槽の場合
水量が多い150cm以上の大きさの水槽のメンテナンスをする場合は 、内径25mmの太いホースがおすすめです。
一般的なホース(内径22mm)では排水にも水を溜めるのにも時間がかかります。作業効率を上げたいときには、太いホースを準備しましょう。
また、ホースにひと工夫施してオリジナルの道具を自作すると、作業が楽になります。
こちらの写真は、ホースに塩ビパイプとコックを装着して自作したものです。
コックと反対側のホースをパイプから外して、パイプを水槽、ホースを排水側にしてサイフォンの原理を使い呼び水します。L字のパイプを水槽にかけるようにすると安定感がありますし、コックがありますので排水速度を調整できます。
太いホースは勢いよく排水されるため、状況に応じて調整できると便利です。コックがあると1回の水槽メンテナンスで1度水を吸えば、あとはコックの開け閉めだけで自由に排水できます。
大型ローリータンク
大型水槽の水換えでは、大型ローリータンクを用意することをおすすめします。
抜いた水を溜めておくことができますし、新しい水の水温合わせやカルキ抜き、マリンアクアリウムならば人工海水を作るといった作業をするのにとても便利です。
サイズは100~200L程度が良いでしょう。それ以上のサイズとなると場所を取りますし、台車に乗せても1人で運ぶことが難しいです。1.5トン程度までの水量なら、200Lタンクと台車がそれぞれ1台あれば1人で十分作業することができます。
給排水用水中ポンプ
ローリータンクに作った飼育水を水槽に移したり、古い飼育水をホースで排水する際に水中ポンプを使用します。
アクアリウム専用の水中ポンプでも良いのですが、大量の水を扱う大型水槽の水換えでは工業用水中ポンプを使用する機会が多いです。工業用水中ポンプは非常に力が強くあっという間に水が抜けて時間短縮になります。
ただし、勢いが強いためしっかりホースを持たないと危険です。予行練習をして、感覚を確かめてから使うようにしましょう。
専用台車
大型ローリータンクを使う場合の移動手段として台車が必要です。
200Lタンクいっぱいに水を溜めるとその重さは200kgにもなるため、手で持って持ち運ぶことはできません。大型ローリータンクを使用する場合は、満水まで溜めても問題なく耐えられる台車を用意しましょう。
ビニールシート
水槽のメンテナンス作業中は、どんなに注意していても水がこぼれたり汚れが跳ねたりすることがあります。
床に飛び散ることも多いので、汚れが心配な場合はビニールシートを準備しましょう。作業中、水槽周りだけでも敷いておくと安心です。
大型水槽の水換え方法
ここからは、東京アクアガーデンが普段行っている大型海水魚水槽の水換え方法をご紹介していきます。
手順は以下の通りです。
- ビニールシートを敷く
- 大型ローリータンクを設置する
- 大型ローリータンクへ水を抜く
- 水を排水する
- 大型ローリータンクへ水を溜めて、飼育水を作る
- 水を注水する
一見大掛かりですが、自宅でも実践できる方法です。前項でご紹介した道具を使用すると効率よく水換えができますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.ビニールシートを敷く
まずは水槽周りや水がこぼれそうな箇所に、ビニールシートを敷いて養生します。
必須ではありませんが、特に賃貸物件や絨毯敷きで汚れが付きやすい場合には、ビニールシートを敷いて保護しておくと安心して作業ができます。
2.大型ローリータンクを設置する
大型ローリータンクを専用台車に乗せて水槽付近に設置します。
設置前にローリータンクを置く場所が水平になっているか、荷重に耐えられるかを確認しておきましょう。
また、水漏れしないようローリータンクの排水口がしっかり閉まっていることを必ず確認してください。
3.大型ローリータンクへ水を抜く
水槽の電源を停止させてから、大型ローリータンクへサイフォンの原理を利用して水を抜いていきます。
先ほどご紹介したホースと塩ビパイプを合わせて加工した道具ならば水槽に引っ掛けておけるので、ホースから手を離しても水を抜くことが可能です。水を抜いている間にコケ取りなど他の作業ができるので、とても効率的にメンテナンスを進めることができます。
4.水を排水する
換水分の水が抜けたら、大型ローリータンクを排水場所まで運び排水します。この時、工業用の水中ポンプを使用すると素早く排水できます。
水量が多く時間がかかる大型水槽では、こうした道具の力を借りて作業時間を短縮すると楽にメンテンナンスを進めることができるのでおすすめです。
5.大型ローリータンクへ水を溜めて、飼育水を作る
排水して空になった大型ローリータンクを水槽前まで運び、水道からホースを伸ばして水を溜めます。ホースが届かないときは、水を溜めてから水槽前まで運びましょう。
水を溜めながら、淡水魚水槽の場合はカルキ抜き、海水魚水槽の場合は人工海水の素を溶かし飼育水を作ります。
水中ポンプをローリータンク内に入れて水流を作ると、溶けやすくなります。
また、水道水の水温が低いときはお湯を混ぜ合わせるなどして水槽内の水温との温度差が少なくなるように調節しましょう。
6.水を注水する
大型ローリータンクに用意した新しい水を水槽に注水します。
注水のときも工業用水中ポンプを使用すると、とても早く水を入れることができます。また、水を抜くの時にも使用したホースと塩ビパイプを加工した道具を使えば、水槽に引っ掛けておくことができ、安定して注水しやすくなります。
注水が終わったら、ろ過フィルターの電源を入れて水を循環させましょう。
これで、大型水槽の水換え作業が完了です。
まとめ: 大型水槽の水換え道具と方法を解説!プロが行うおすすめ水換えテクニック
今回は大型水槽の水換えに使うおすすめの道具と方法をご紹介しました。
大型水槽の水換えは一見大変そうに見えますが、慣れてしまえばそれほど手間はかかりません。
給排水は強力なポンプを使用すれば時間短縮できますし、一般的な水換えのようにバケツを持ち上げる作業が無くなるため、肉体的には疲労が少なくなります。
また、120cm以下の水槽でもトラブルなどにより大量に水を換えるときは、ここで解説した水換え方法が有効です。大型ローリータンクを用意するのが難しい場合でも、長いホースを用意して給排水できるケースもあります。
大量に水を換える作業に手間を感じている方や、これから大型水槽の導入を検討している方の参考になりましたら幸いです。
大型水槽の水換えについて良くあるご質問
大型水槽を効率よく水換えするには?
排水口への距離にあわせたホースを使用して、給排水用の水中ポンプまたはサイフォンの原理で排水します。
また、太い径を使用することで、排水速度は向上します。
排水口が遠い場合は、ポリタンクに配水すると楽です。
大型水槽の水換えに便利な道具とは?
- ホース
- ポリタンク
- 給排水用の水中ポンプ
- ビニールシート
- 台車 など
これらがあると150cm以上の水槽でも水換えが行いやすくなります。ポリタンクに配水する場合は、台車を使用して排水口まで運ぶのが良いです。
水量が多い場合は、水中ポンプを使用して排水を楽にすることができます。
大型水槽になるべく簡単に注水する方法とは?
速度が速く労力を削減できますし、高さのある水槽に無理に注水しようとして傷つけてしまう心配もありません。
ポンプの費用は掛かりますが、効率や安全性などを考慮すると使用することで得られるメリットが勝ります。
大量の水をカルキ抜きするには?
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