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水槽で魚を飼育していると水面に発生した泡が消えないことがあります。
この問題は水質の『富栄養化』が主な原因で、バクテリアの分解能力が追いついていない場合が多いです。すぐに魚が体調をくずしてしまうような危険な状態ではありませんが、観賞性が下がるうえに、長期化すると病気につながる可能性があるので対処する必要があります。
こちらのコラムでは、水槽の泡が消えない原因と発生させないバクテリアの繁殖方法を解説します。
目次
プロアクアリストたちのアドバイスをもとに解説
このコラムは、東京アクアガーデンに在籍するアクアリストたちの経験・意見をもとに作成しています。
5000件を超す水槽の設置事例と、長年お客様の問題を解決してきたメンテナンス技術をふまえて解説していきますので、ご参考になさってください。
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水槽の泡が消えない原因とは
水槽の泡の泡が消えない主な原因は次の4つです。
- 水槽内の富栄養化
- 魚の粘膜・粘液
- 水草から出る分泌物
- バクテリアの死滅
原因を知ることでより効果的な対策ができますので、詳しく解説します。
■水槽内の富栄養化が原因
原因として1番に考えられるのが、水槽内の『富栄養化』です。
餌の食べ残しやフン、枯れた水草、魚の死骸などが水中にあると、分解がすすみ富栄養化していきます。分解の過程で発生するタンパク質が、水面を覆うと泡が消えずに残るようになります。
この状態では、泡の他にも悪臭や油膜が張ることも少なくありません。
富栄養化については、こちらの記事も参考にしてください。
■魚の粘膜・粘液が原因
魚を多く飼育している水槽で水面に泡が発生する場合は、『魚の粘膜・粘液』が原因の可能性があります。
魚は、擦り傷や病原菌から体を守るために粘膜(ぬめり)を持っています。
粘膜は代謝により剥離していき通常であればバクテリアが分解してくれますが、あまりに多いと処理できず、水中の有機物となり泡の発生につながります。
魚が体調不良や病気で、粘膜のもと(粘液)を過剰に分泌することがありますので、泡が発生したら魚たちの状態を確認しましょう。
ベタのような泡巣を作成するタイプの魚種の場合は、こうした泡ができやすい傾向にあります。
魚の粘液・粘膜については、こちらの記事も参考にしてください。
■水草から出る分泌物が原因
水草から出る分泌物も泡の原因の1つです。
水草はトリミングなどで茎を切られると、断面から分泌物を出します。これが水面に浮くと消えない泡が発生してしまうことがあります。
ただ、この分泌物は植物が持つ補修成分のようなもので、切られた茎を守るために分泌している一時的なものです。長期化することはなく、水換えをしたり、1~2週間程度時間が立ったりすれば、自然と収まります。
それでも泡が消えない場合は、他の原因を疑いましょう。
■バクテリアの死骸が原因
バクテリアが死んでしまうことで泡が発生する場合があります。
バクテリアは餌の食べ残しやフンなど、水槽内の富栄養化につながるものを分解します。この流れを生物ろ過と呼びますが、バクテリアが少なければろ過が滞り、富栄養化が進んで泡の発生につながります。
バクテリアが死んでしまう原因の多くは、水換えやろ過フィルターの掃除といったメンテナンスです。この際にカルキを抜いていない水道水を使ってしまうと、殺菌作用によってバクテリアが死んでしまいますので、注意しましょう。
バクテリアとカルキ抜きについては、こちらの記事も参考にしてください。
水槽に泡を発生させないようにするには
水槽に泡を発生させないためには、バクテリアを繁殖させることが1番重要です。
バクテリアがうまく定着していない水槽では、どうしても水質が悪化してしまいますので、富栄養化が原因の泡対策としては必須といえます。
バクテリアを繁殖させよう!
バクテリアの数は水槽内のろ過能力に直結しますので、繁殖させることで富栄養化を防ぎ泡の発生を抑えることができます。
ここまでご紹介してきました、
- 水中の栄養分
- 魚の粘膜・粘液
- 水草から出る分泌物
といった泡の原因は、バクテリアがうまく繁殖した水槽であれば順調に分解されるため泡が発生しにくいです。
泡が気になって仕方がない、という場合は初めにバクテリアが繁殖しやすい環境を整えることを優先しましょう。
バクテリアの繁殖方法について
バクテリアを効率的に繁殖させるためには、ろ材や底砂など、住み着きやすい場所を作ることが重要です。
場所を整えたうえで、
- エアレーションを行う
- バクテリア剤を使う
- バクテリアに負担をかけない方法で掃除する
といった増やす・減少させない方法を実践しましょう。
順を追って解説します。
バクテリアの増やし方については、こちらの記事も参考にしてください。
■ろ材や底砂を変える
バクテリアを繁殖させるには、初めにバクテリアの住処を増やしましょう。
ろ材の穴の中や底砂などの隙間に住み着きますので、そういった住処が多ければ多いほどバクテリアも増えていきます。
ろ過フィルターで使用しているろ材をバクテリアの定着しやすい表面積の大きい多孔質なものに変えたり、底砂を敷いたりなどして、住処を増やすようにしてみてください。
ろ材については、こちらの記事も参考にしてください。
■エアレーションを行う
バクテリアは酸素を供給することで活性化します。
エアレーションで増殖速度が早まりますので、バクテリアの状態が不安定なようであれば実践してみてください。この方法は水槽立ち上げ初期にもよく行います。
エアレーションについては、こちらの記事も参考にしてください。
■バクテリア剤を使う
水槽を立ち上げた直後などバクテリアの数が圧倒的に足りていないと感じる場合には、『バクテリア剤』を使用して強制的に増やすことができます。
ただし、場所がないことには定着できませんので、上述したバクテリアの住処を作ったうえで添加するようにしましょう。
■水槽の掃除に関する注意点
「水槽の水換えや掃除は面倒だから、一気にやってしまおう」という方も見受けられます。
しかし、バクテリアを繁殖させたり、できるだけ減らしたりしないためには水槽内の掃除を一度に行ってはいけません。
バクテリアは水槽のいたる所に住み着いています。
■バクテリアが住み着く場所
- 飼育水
- ろ材
- ろ過フィルター
- 底砂
- パイプ・ホース
- 流木
水槽全体を一気に掃除してしまうと、バクテリアが急激に減少してろ過能力が低下します。それだけではなく、水質も急変してしまうため生体にもよくありません。
水換えや砂利掃除、ろ材やフィルターの掃除などは1週間程度の期間を空けて別々に行うようにしてください。
水槽掃除については、こちらの記事も参考にしてください。
水槽に消えない泡が発生してしまった時の対処方法
水槽に消えない泡が発生した場合は、原因を特定したうえで適切な対象方法を実践しましょう。
ここでは7つの方法をご紹介します。
■水換えをおこなう
水槽内に消えない泡が発生したときは、最初に水換えを行いましょう。
水の富栄養化が原因であれば、これだけで大きく改善します。水換えの量は、通常通り水槽の1/3~2/3の水量が目安です。
一時的なものであれば水換えだけで対処できますが、繰り返し泡が発生する場合は他の原因を検討しましょう。
水換えのタイミングについては、こちらの記事も参考にしてください。
■エサの量を見直す
餌の量を見直すことも効果的です。
熱帯魚や金魚に食べきれないほどの餌を与えていると、食べ残しやフンが増えて富栄養化がすすみ泡の原因になります。
エサは一日1~2回、5分程度で食べられる量が目安です。ただ、魚の種類や活性によって変わりますので、食べ具合を見ながら調節することも大切です。
■ろ過フィルターを見直す
ろ過フィルターの性能不足によって水質が悪化して泡が発生している可能性がありますので、サイズを見直しましょう。
水槽の大きさに見合わないろ過フィルターでは、ろ材を入れるスペースが少なくろ過能力が不足しがちです。ろ過フィルターには推奨される水槽の大きさ・水量が決まっていますので、使っているものが適しているか確認してみてください。
推奨サイズがおすすめですが、過密飼育だったり、餌をよく食べる魚種だったりする場合は、あえてワンランク上の製品を使用することもあります。
また、外掛け式や投げ込み式フィルターを使用している場合は、よりろ過能力の高い上部式フィルターや外部式フィルター、オーバーフロー式濾過槽といった選択肢もあります。
ろ過装置については、こちらの記事も参考にしてください。
■水槽のサイズを見直す
水槽のサイズを見直すことも重要です。
小さな水槽は水量が少なく、水質が悪化するペースが早まります。たとえば、大きなプールに着色料を垂らしても薄まりますが、コップ1杯の水に入れると色付きます。それと同じで、60cm水槽よりも30cm水槽の方が食べ残しやフンによる水質の悪化速度が速いです。
生体の数に水槽サイズが見合っていない場合は、ワンサイズ大きなものを検討してみてください。
熱帯魚の数を見直す
熱帯魚の数が多いと食べ残しやフンといった水を汚すものが増えますので、1度見直してみましょう。
魚の数が水槽サイズに見合っていない過密飼育の状態では、急速に水質が悪化していきます。バクテリアが繁殖していたとしても、その処理能力を超えてしまうことも少なくありません。
すでに過密気味であれば、飼育している魚を無理に減らしたり、水槽を増やしたりすることは簡単ではありませんので、生体を追加せず現状維持にとどめましょう。そのうえで、先ほどご紹介した水換えの頻度を高める、ろ過フィルターをワンランク上の製品にするなども検討してみてください。
■水草のトリミング後は追肥を控える
泡を発生させないためには、トリミング後の追肥は控えましょう。
トリミング後に追肥すると水草の働きが活発になり、茎の切り口からより多くの分泌物出て消えない泡の発生につながります。そのうえ、追肥によって水中に栄養分が溶け出して富栄養化がすすんでしまうことも少なくありません。
トリミングで水草の総量が減って必要な栄養も少なくなっていますので、追肥するなら通常よりも量を控えめにしましょう。また、すべての水草を一気にトリミングするのではなく、少しずつ日にちを空けて行う方法も効果的です。
水草のトリミングについては、こちらの記事も参考にしてください。
海水魚水槽ではプロテインスキマーを活用しよう
海水魚水槽で消えない泡対策をする場合は、『プロテインスキマー』がおすすめです。
プロテインスキマーは、主に海水魚水槽で使われるろ過装置の1種で、水中の汚れ(余分なタンパク質などの有機成分)を除去してくれます。また、酸素を供給する効果もありますので、泡の大きな原因であるタンパク質を排除したり、バクテリアを活性化してろ過能力を高めたりする手段として非常に有効です。
海水魚水槽しか使えないこと、プロテインスキマーの価格が高いことがデメリットではありますが、泡の発生を抑えることはもちろん、水質悪化に敏感な海水魚やサンゴを安全に飼育したい場合は必須アイテムといえます。
プロテインスキマーについては、こちらの記事も参考にしてください。
まとめ:水槽の泡が消えない原因とは?泡を発生させないバクテリアの繁殖方法
水槽の泡が消えない原因と対処方法、そしてバクテリアの繁殖方法についてご紹介しました。
正常な水槽では泡が発生することありませんので、
- 水槽内の富栄養化
- 魚の粘膜・粘液
- 水草から出る分泌物
- バクテリアの死滅
といった原因を特定することが重要です。なかでもバクテリアの状態が悪いと水質が急激に悪化しますので、泡はもちろん、悪臭や魚の病気につながることもあります。
対処方法を実践してみて、改善しなければ同時進行でバクテリアの繁殖に注力することが大切です。
消えない泡は見た目にも嫌なものですが、水槽の異変を知らせてくれるものとして考え水槽の環境を改善していきましょう。
【関連記事】
水槽の泡について良くあるご質問
水槽の泡が消えない原因とは?
水槽の泡が消えない場合の対処法は?
- 水槽内の掃除
- ろ材・フィルターの洗浄
- 餌の量を見直す
などです。
慢性的に続く場合は、水量・水槽サイズを見直すなどの根本的な対策が必要なこともあります。
水草が多い場合はトリミング後の追肥量を控えると、水中に余分な栄養素がたまるのを抑えられます。
水槽の泡が消えないのは水換え不足ですか?
水槽の泡が消えないのは、過剰な養分が水中にあるためです。
しかし、水量に対して大量の生体を飼育していたり、餌を与えすぎている場合は、そちらも解消していくことで水質が安定します。
東京アクアガーデンでは飼育しやすい熱帯魚をご紹介しています。
水槽の泡とバクテリアは関係ありますか?
つまり、バクテリアの状態が不安定な水槽では、富栄養化しやすく泡が発生することがあるといえます。
この場合は油膜も同時に発生することが多く、状態の目安にすると良いです。
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このコラムへのコメントやお悩み相談に届いた質問の回答
池に泡がたっています。
対処法を教えて頂けるとたすかります。
実際に拝見していないため、正確な回答ではないことをご了承ください。また、池に生き物が冬眠していないというう仮定で回答いたします。
泡が立つのは基本的に水質悪化です。
対処法としては水換えを行うか、水を循環させる装置をつけるかです。
循環装置のない池では1カ月に1~2回ほど大幅な水換えを行う必要があります。循環装置がついている場合は、メンテナンスを行いましょう。
最近は気温が不安定なため、バクテリアが活性し始めたり、寒くてまた弱ったりしている可能性もあるため、まずは水換えして様子を見るのが良いと考えています。
もし、ろ材を交換したタイミングで問題が発生した場合は、再びバクテリアが定着するまで待つのが良いです。
水槽に関する内容にはなりますが、バクテリアについては、こちらのコラムもご参照ください。
・熱帯魚水槽のバクテリアを増やそう!水をきれいにするバクテリアについて
https://t-aquagarden.com/column/bacteria_up
よろしくお願いします。