メダカと水流！メダカに最適な水流の作り方を水槽・飼育容器別に解説

穏かな水流を好むと言われるメダカ。
自然界でも流れの緩やかな場所を選んで生息していることから、水流が苦手でできるだけ流れを付けずに飼育した方が良いのではないか、と思われる方もいるでしょう。

確かに体の小さなメダカは、強い水流にさらされると体力を消耗して調子を崩してしまうことがあります。
しかし、だからと言って全く水が動かないような飼育環境が最適というわけでもありません。特に室内の水槽では、水流が無いと水に淀みができて水質が悪くなってしまいますので、メダカにとって心地よい水流を作り、水質を維持することが重要です。

今回のコラムでは、メダカと水流の関係に焦点を当てて、水流の大切さや飼育容器別にメダカに適した水流の作り方をご紹介します。

プロアクアリストたちの意見をもとにメダカに最適な水流の作り方を解説

このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

穏かな水流を好むメダカ飼育では、水流の調整が欠かせません。
メダカに最適な水流を作ることで水質を維持し、健康的で美しいメダカに育て上げることができるのです。

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、メダカに最適な水流の作り方を解説します。

メダカに最適な水流とは

メダカは水流が苦手だと言われることがありますが、止水域のような水流が全くない環境が良いというわけではありません。

野生では水路や小川、大きな川の浅瀬などに生息していることもあり、程よい水流がある方が健康的に飼育ができます。
適度な水の流れは、水中に酸素を供給して水を浄化するなど、水槽環境の維持にも効果的です。

ここでは、メダカの体格や性質、食性などの観点からメダカにとって最適な水流を解説します。

メダカに穏やかな水流が良い理由

野生のメダカは水流が強すぎる環境では水温が低すぎて活性が下がったり、遊泳力の強い他の生き物に襲われやすくなったりといった危険があることから、穏かな場所を選んで生息します。

では、飼育環境下においても穏やかな水流が推奨される理由はどのようなものがあるのでしょうか。

体力の消費を抑えて健康に飼育ができる

メダカを穏やかな水流で飼育した方が良い理由の一つ目が、体力を温存できるという点です。

メダカは決して泳ぎが苦手な魚ではありませんが、体長3～4cmほどと体が小さいことからオイカワやハヤなどの他の川魚のような高い遊泳力は持ち合わせておらず、強い水流にさらされると流れに負けないように無理をして泳いで体力を消耗し、弱ってしまう可能性があるのです。

そのため水流の調整ができる飼育環境下では、メダカが自然に泳いでいられる程度の水流を整えてあげるのが望ましいです。
特に繁殖を狙う場合には、メダカを大きく育てて体力をつけさせることが基本となるため、穏やかな環境づくりを目指しましょう。

流れる餌を捕食するのが苦手

基本的に水面に浮いた餌を食べるメダカは、水中に沈んでいく餌や流れていく餌を捕食するのがやや苦手。
水流が強すぎて餌が流れてしまうと、うまく餌を食べれずに体調を崩してしまいやすいです。

また、飼育者としても餌が拡散されてしまうとメダカが餌を食べられているのが確認がしづらくなりますし、食べ残しが増えて水が汚れやすくなるなど管理の手間が増えてしまいます。

このような理由から、飼育水槽でもメダカが健康でいられる最適な水流を整えてあげることが大切です。

適度な水流はメリットが豊富

適度な水流は、メダカ水槽に様々なメリットをもたらしてくれます。

例えば、水流の中をメダカがしっかり泳ぐことで餌食いや排便が促進されて、健康的な体に育ちやすいです。

また、環境面では水が動くことで水面から酸素を取り込みやすくなるのも大きなメリット。
酸素が豊富な環境ではメダカが活発になりますし、水をきれいにしてくれるバクテリアの活性が上がって水質の維持がしやすくなります。

その他にも、水が撹拌されて水槽内の水温差が解消されたり、水のよどみができにくく嫌気性バクテリアなどの生体に悪影響を及ぼす菌類を抑制できたりなど、様々な効果が期待できるでしょう。

メダカ水槽に最適な水流を作る方法

ここからは、水槽で飼育するメダカにぴったりの水流を起こす方法をご紹介します。

ろ過フィルターから発生する水流を調整する方法も合わせて解説しますので、ぜひ実践してみてください。

水流の穏やかなろ過フィルターを選ぶ

メダカはろ過フィルター無しでも飼育ができる魚ですが、室内水槽で水流を発生させるのであればフィルターを導入しましょう。

ろ過フィルターは基本的には水槽の水量に合わせた機種を選定します。
メダカ水槽では以下のろ過方式が定番です。

水流の穏やかさを重視するならばスポンジフィルターか底面式、酸素供給力ならば投げ込み式や外掛け式がおすすめです。

外部式フィルターはろ過能力の高さと、水槽用クーラーなどの本格的な設備を設置できるようになるのが魅力。他のフィルターに比べると高価ですが、水草を植えこんだインテリア水槽へのステップアップを考えている場合や、より快適な環境を整えたいときには検討してみてください。

また、最近はメダカ人気の高まりに合わせて各社からメダカ専用のろ過フィルターが販売されるようになり、選択の幅が広がっています。

これまでろ過フィルターの導入が難しかったメダカ鉢やボトルタイプにも使える円形のボトムフィルターなどは、その一例です。

吐き出しを工夫して水流を調整しよう

ろ過フィルターが起こす水流を調整したいときは、水の吐き出しを工夫しましょう。

例えば一般的な長方形の水槽の場合、水の吐き出し口を奥行きが長い方向に向けると水流を弱めることができます。その際、水槽全体を水が循環するように向きや角度を調整すると、ろ過能力の向上にも効果的です。

また吐出力＝水流の強さなので、流量を調整できるろ過フィルターを選定するのも良いでしょう。
ストレーナーや吐出口にスポンジを付けたり飼育容器内に水草や浮草を多く取り入れたりすることでも、水流をマイルドに調整できます。

ビオトープで水質を管理するには

水流は水質をきれいに維持してメダカを健康に育てるために欠かせないものとお話ししました。
では、人工的に水流を起こすのが難しいビオトープなどの屋外飼育では、どのようにメダカを管理していけば良いのでしょうか。

最後に、屋外で人工的な水流を利用せずに水質を維持する方法をご紹介します。

風通しの良い場所に設置する

ビオトープを設置する場所は、直射日光の当たらない風通しの良い場所を選びましょう。

電源確保が難しい屋外では、風の力を利用して自然な形で水流を起こします。
風で水面が揺れることで空気中から酸素を取り入れることができ、また水温の上がり過ぎを予防するのにも効果的です。

水草と足し水！水質維持のマストアイテム

屋外での水質維持に欠かせないのが、水草やバクテリアが持つ水質浄化能力です。

メダカから出たフンなどの有機的な汚れをバクテリアが分解し、その際発生する硝酸塩をエネルギーに水草が光合成をして酸素を生み出す、という自然のままの浄化サイクルをしっかり確立することで、ビオトープを健全な状態に維持しやすくなります。
このことから、ビオトープでは水草や浮き草、水生植物を多く取り入れてサイクルが成り立ちやすい環境を整えることが重要です。

また、水が蒸発すると飼育水の濃度が上がって水質が悪くなりやすくなるため、こまめに足し水をして水位を保つことも意識してください。
足し水は水を補給すると同時に新鮮な酸素を水中に供給する役割があるため、定期的に行うことでバクテリアが活性化して水質浄化効果の向上も期待できます。

まとめ：メダカと水流！メダカに最適な水流の作り方を水槽・飼育容器別に解説

メダカは本来流れの穏やかな川などに生息する魚のため、水槽でも程よい水流を起こしてあげるのが適切です。
適度な水流は水質の維持やメダカの健康的な育成に貢献します。

室内水槽では水槽の水量に合った適切なろ過フィルターを使用して、人工的に水流を作りましょう。
最近はメダカ向けに開発された様々なタイプのろ過フィルターが販売されており、流量の調整がしやすい製品も増えています。

一方機材の設置が難しいビオトープでは、風通しの良い場所に設置して自然に水流を起こすことで、酸素を供給し水温上昇を防ぎます。
定期的な足し水や水草・浮草の水質浄化力を活用すると、メダカが健康的に育ちやすいです。

メダカの好む水流を意識しながら、最適な環境を整えましょう。