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気温が上昇してくる初夏は、生物や植物が活発になってビオトープが最も賑やかになる季節です。
この頃のビオトープは、新たな命が誕生したり、植物が繁茂したりなどやりがいのあるイベントが豊富な反面、生態系バランスが急激に変化することで、飼育における様々なお悩みを抱えやすい時期でもあります。
繁殖中の生き物に与える餌の量や植物の成長具合といった生き物に関することから、高水温やコケへの対策などの飼育環境についてまで、どのように管理していったらよいのか、疑問に思うこともあるでしょう。
そこで今回のコラムでは、高水温・水質悪化・コケ・餌やりなど、ビオトープに関するお悩みと解決策を10個ご紹介します。
ビオトープを管理している方はぜひご覧ください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにビオトープのお悩み対策10個を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
ビオトープを上手に管理していくには、生き物と植物のバランスが非常に重要です。
春から初夏の生き物が活動的な季節は、様々な要因によりビオトープのバランスが崩れやすいため、お悩みごとはしっかり解決して適切な飼育を目指しましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、ビオトープのお悩み対策10個を解説します。
ビオトープのお悩み対策10個
生き物と植物が織りなす自然のサイクルを利用して水質を維持していくビオトープは、上手に管理ができれば、ほとんど手を入れなくても美しい状態を長くキープできる飼育スタイルです。
一方、ろ過フィルターなどの機材が使えない分、一度バランスを崩すと調子を戻すのに時間がかかる事も多いため、こまめに様子を確認しながらバランスを保つ対策をしていきましょう。
ここでは、初夏に多いビオトープのお悩みと対策を10個ご紹介します。
お悩み1:水温が高い!
外気温の影響を受けやすい上に人工的に水流を起こすことが難しいビオトープでは、暑い季節になるとどうしても水温が上昇してしまいます。
高水温になると、生き物や水草の健康に影響が出るのはもちろん、酸欠や水質の悪化といった環境面にも悪影響があるため、できるだけ水温を上げない対策をしましょう。
ビオトープの高水温対策で最も有効なのが、日陰を作ることです。水草や浮き草を増やしたりすだれを設置したりして、水中の生き物たちが日光を避けられる場所を確保します。
可能であれば飼育容器を底の深いものに変えると、さらに効果的です。
また、足し水をして水温を下げるのも良い方法で、まだ気温が低めの朝方に行うと飼育水との水温差が小さく、生き物へのダメージを最小限にできます。
猛暑日など特に暑さが厳しい日には、屋外でも使用しやすいソーラータイプのエアーポンプなどを使ってエアレーションをするのもおすすめです。
お悩み2:水質が悪くなった!
ビオトープの水質が悪化する原因として、植物や水草の量が不足している可能性が考えられます。
ビオトープでは生き物が出すフンなどの有機的な汚れから発生する硝酸塩を、水換えではなく植物に吸収してもらうことで減らすのが基本です。
水質が悪くなるときは水中に発生する硝酸塩を植物が処理しきれていないということなので、まずは水草や浮き草を増やせるかどうかを検討しましょう。
水草をあまり入れられない場合は、底床材を赤玉土や吸着系ソイルなどの汚れを吸収してくれるタイプに変更することでも対応可能です。
それでも解決しないときは、生体の数を減らしてビオトープ全体のバランスを見直してみてください。
お悩み3:コケまみれになった!
日差しが強く水温が高い4月〜10月頃にかけてはコケの成長がとても速く、条件が揃うとあっという間に繁茂してしまうことも少なくありません。
コケが繁茂する大きな原因の一つが、先ほども触れた硝酸塩です。コケも植物の一種なので、水草が吸収しきれない硝酸塩が水中に溜まっているとそれを栄養に勢力を拡大していきます。
もしビオトープがコケだらけになってしまったら、ミナミヌマエビやフネアマ貝などのコケを食べてくれるお掃除生体を導入するのがおすすめです。
また、コケを増やさない対策として、
- ラサギカヤツリやナガバオモダカを植栽して日影を作る
- マツモなどの成長の早い水草を入れて硝酸塩を減らす
といった方法で環境を整えてみてください。
お悩み4:水草が育たない!
気温が上がっているのに思うように水草が育たない、枯れてしまうというときは、水草の植え付け方を見直してみましょう。
育ちが悪いときはビオトープの底に直接植え付けるよりも、プラスチックの小型鉢にソイルを入れて植え付けたものをビオトープに沈めたほうが、状態が良くなりやすいです。
また、定期的なトリミングも水草の健康的な成育を促します。トリミングは狭まった魚の遊泳スペースを確保することもできるので、水草にも生き物にもより良い環境を整えることができるでしょう。
ちなみに、小型鉢を使った植え付けは水草を簡単に取り出せるので、レイアウトの変更やトリミングが楽に行えるのも利点です。
お悩み5:貝がいつのまにか増えた!
入れた覚えのない貝類がいつの間にかビオトープに発生していることがあります。
これはスネールと呼ばれるモノアラガイなどの巻貝で、水草などに付着していた卵が飼育容器に混入して成長したもの。
スネールは、発生したからと言ってビオトープの害になることはほとんどなく、むしろ餌の残りや枯れた植物の葉などを食べてきれいにしてくれるので、無理に駆除しなければならないものではありません。
ただ、増え過ぎると景観を損なうため、必要に応じて取り除きましょう。
まず、スネールの発生を防ぐには新しい水草を導入する前にしっかり下処理をするのが一番です。
貝や卵がないかを目視で確認し、根についている土などは入念に洗い流します。『水草その前に』などの薬剤を使ったトリートメントも有効です。
発生したスネールを駆除するには、手で地道に取り除いていくか、貝類用の駆除剤を使用しましょう。
また、貝類は水質が酸性傾向の時にはあまり長生きしないため、本来ビオトープでは増えにくいはずです。
それでも異常に増殖するならば水質が変化している可能性があるので、水質検査薬で確認の上、水質を調整しましょう。
お悩み6:グリーンウォーターにならない!
主にメダカの餌として活用されるグリーンウォーターは、植物プランクトンが豊富な飼育水です。
環境が整ったビオトープだと何もしなくてもグリーンウォーター化することがある自然な現象ですが、一方で種を仕込んでもグリーンウォーターにならなかったり、濃度が薄まったりなど上手くグリーンウォーターを運用できないことも。
グリーンウォーターの濃度を保てない大きな原因として考えられるのが、植物プランクトンを捕食する他の微生物やメダカの数が多すぎる可能性です。
例えば、こちらもメダカの餌の定番であるミジンコをグリーンウォーターに入れると、ミジンコが植物プランクトンを捕食して濃度が薄まりやすくなります。
そのためグリーンウォーターを維持していきたいときは、本水槽とは別の容器で濃度の高いグリーンウォーターを作り、適宜本水槽に追加していくのがおすすめです。
お悩み7:位置が低くてメンテナンスしにくい!
ビオトープの設置位置が低くて作業がしづらいときは、飼育容器の下にスノコやブロックを敷いてリフトアップするのがおすすめです。
合わせて排水機能が付いた容器を使用すれば、日々のメンテナンスがとても楽に行えます。
ちなみに飼育容器をリフトアップすると、地面に直置きするよりも地面からの熱の影響を受けづらくなって、水温の変化を緩やかにできるといった利点もあります。
お悩み8:メダカが増えすぎた!
メダカの繁殖シーズンを迎えると、稚魚が次々と生まれてあっという間に数が増えていきます。
ビオトープでは生体と植物のバランスがとても重要なため、過密飼育は厳禁です。
以前よりもメダカの数が増えて窮屈そうに感じたら、飼育容器を分けるなどの対策をしてください。
可能であれば、メダカの卵を見つけた時点で産卵床ごと別容器に隔離し、成魚と分けて育成した方が稚魚の生存率がアップします。
過密状態のまま飼育を続けていると、次第にビオトープのキャパシティに合った匹数に淘汰されてしまうことがほとんどです。
メダカの過密飼育は病気や水質悪化といったトラブルが発生しやすくなるので、早めに対策をしてメダカを守りましょう。
お悩み9:金魚や鯉が大きくなった!
ビオトープで飼育できる生き物の中で特に大型化しやすいのが、和金やコメットなど一部の金魚と、錦鯉です。
大きく成長した魚を小さな容器で飼育し続けると、水質悪化が早くなったりうまく泳げずにストレスを抱えてしまったりといったトラブルが発生しますので、手狭になってきたら大きな飼育容器に移してあげるようにしましょう。
お悩み10:適切な餌の量がわからない!
ビオトープ飼育では、基本的に室内水槽よりも餌量を控えめにして問題ありません。
屋外では、水中に餌となるプランクトンやボウフラなどの小さな生き物が自然発生しやすく、人工餌が少なくてもこれらを捕食して成長できます。
また、できるだけ餌量を少なめにして食べ残しを減らした方が、水質を維持しやすいです。
ただし、まだうまく餌を捕食できない稚魚や繁殖や冬眠を控えていて太らせたい個体など、しっかり餌を与えて食べさせた方が良いケースもあるため、季節や状況、成長具合に応じて臨機応変に対応してください。
まずは控えめな給餌を心がけ、魚たちの様子を見ながら餌の量を調整していくのがおすすめです。
まとめ:ビオトープのお悩み対策10個!高水温・水質悪化・コケ・餌やりなどを解決
今回は、ビオトープで発生しやすいお悩みと解決策を10個ご紹介しました。
春から初夏にかけての温かい季節は、ビオトープが最も活き活きとする最盛期です。
一方、メダカの繁殖や水草・コケの繁茂、水温の上昇など変化が激しい時期でもあるため、何か気になることが起きたら放置せずに、その都度対策をしていきましょう。
水温や水質の変化、コケの大量発生といったトラブルは、すだれや植物を使って上手に日陰を作ったり水草を増やしたりすることで、解決する可能性があります。
繁殖によって生体が増えた大きく成長したというときは、大きな飼育容器を用意して広々としたスペースを確保してください。
生体と植物のバランスが取れているビオトープは、メンテナンスの手間が掛からず、長期的に美しい状態を保つことができます。
生体と植物の織り成す自然な水景をベランダなどの限られたスペースでも楽しむことができるビオトープを、ぜひお楽しみください。
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