石灰藻とは!ライブロックに生える石灰藻のメリット・増やし方・掃除方法
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ライブロックに付着するピンク~赤紫がかった石灰藻。
アクアリウムの藻は汚れの一種というイメージが強いですが、石灰藻は一般的な藻類とは一線を画すもので、サンゴ水槽では特に重要視される傾向にあります。
というのも、石灰藻はサンゴと似たような性質を持っており、水質の目安になったり、サンゴを育成するためのベースになったりと、水槽にとても有益な存在だからです。
そのため、ライブロックは石灰藻が多く付着しているほど品質が高くなりますし、石灰藻を増やすための添加剤なども販売されています。
しかし、そんな石化藻も意図しない場所に付着すると景観を損ねてしまいますので、必要ないものは掃除しながら上手に付き合っていくのが良いでしょう。
今回は、石灰藻のメリットや増やし方、余剰分を除去する方法などについて解説します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにライブロックに生える石灰藻のメリットや増やし方を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
ライブロックに生える石灰藻は、サンゴの育成に欠かない存在です。石灰藻を増やしてサンゴ育成に役立てましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、ライブロックに生える石灰藻のメリットや増やし方を解説します。
石灰藻とは
石灰藻は、ライブロックや岩などに付着する、ピンク~赤紫色をした藻の一種です。
アクアリウムの世界では主に紅藻類を指すことから、サンゴモと別称されることもありますが、学術的にはカサノリやサボテングサといった少々毛色の違う海藻も石灰藻の仲間に分類されます。
形状は岩肌に沿うようにのっぺりと付着するものから、枝状、瘤状など様々ですが、体内にカルシウムを多く含んでいて石のように硬いのは共通です。
謎に包まれたサンゴの相棒
実は石灰藻の生態や成育条件については、詳しいことがあまりわかっていません。
ただ、自然界ではサンゴ礁で多く見られることから、サンゴと同じような条件で育つのではないかと考えられており、このことからアクアリウムではサンゴ水槽の必需品として重宝されています。
付着場所によっては厄介な汚れになることも
ライブロックに付着した石灰藻は自然なサンゴ礁を演出する良いアクセントとなりますが、水槽内で増殖して配管やガラス面に固着してしまうと、途端に厄介な汚れになってしまう点には注意が必要です。
カルシウムでできた石灰藻は硬く、一度付着してしまうと剥がすのにかなり苦労します。
いっそ生やさないほうが良いと思われるかもしれませんが、石灰藻があることで得られるメリットは豊富なので、上手に付き合っていく方向で調整してみてください。
落とし方は後述します。
石灰藻の働き!水槽でのメリット
石灰藻はマリンアクアリウムに有益な存在とご説明しましたが、ここからは、石灰藻が水槽にもたらすメリットを具体的にご紹介します。
サンゴ水槽ではもちろんのこと、一般的な海水魚水槽でも石灰藻があることで得られる利点がありますので、確認してみてください。
サンゴの調子が上がる
石灰藻はサンゴの成長を助ける働きをします。
自然界では石灰藻の上にサンゴの幼生が着底し、成長していく姿が観察されており、石灰藻がサンゴに何らかの良い影響を与えると考えられているのです。
未知の部分が多い現象ではありますが、サンゴの幼生が石灰藻の上を選んで根付くことは間違いないので、水槽内でも石灰藻をベースにサンゴを育成するのがよいでしょう。
水質の良さがわかる
石灰藻は水質の目安になります。
石灰藻が生えるには、比重1.021以上、硝酸塩はほぼ0という条件を満たす必要があるのですが、この水質がサンゴやライブロックにも向いた水質なのです。
つまり、石灰藻が増え続けている水槽は水質がとても良い状態なので、サンゴも安定しますし、ライブロックも生き続けることができるでしょう。
反対に、石灰藻が増えないどころかライブロックに元々ついていた石灰藻も駄目になってしまうような場合は、サンゴも調子を崩してしまいます。
水槽内のコケが減る
石灰藻はコケ対策になります。
コケと石灰藻は水槽内の栄養分を取り合う競合相手であるため、石灰藻が多く生えている水槽ではコケが生える余地がなくなり、生えにくくなるのです。
コケ掃除の手間が省けるのは、メンテナンス面で大きなメリットとなるでしょう。
また、石灰藻の赤紫色はコケに比べてかなり鑑賞性が高いので、アクアリウムの質も向上します。
ライブロックの品質がわかる
先ほどお話した通り、石灰藻が生える条件はかなりシビア。これは自然界でも変わりません。
このことから、石灰藻が生えているライブロックは海の中でも特に良い環境にあった、品質が良いライブロックだという証になります。
ライブロックを選ぶときは、大きさや形だけでなく石灰藻の付着具合もポイントにすると良いでしょう。
ただし、あまりにも石灰藻が覆いつくしているようなライブロックは、本来の孔(多孔質なほど水質浄化能力が上がる)を塞いでいる状態なので、ほどほどに覆っているものがベストです。
石灰藻の増やし方
ここからは、石灰藻の増やし方をご紹介します。
石灰藻は環境がよければ、水槽内でも増やすことが可能です。お話した通り、石灰藻が増える環境はサンゴやライブロックにも都合が良いので、石灰藻の増え具合を一つの目安にすると、良い水質を維持しやすくなります。
水流をあてる
石灰藻はサンゴと同様に、水流に乗ってくる養分で成長していくため、水流が良く当たる場所に生えやすいです。そのため、石灰藻を増やしたいときは水槽全体にしっかり水流が行き渡るように調整すると良いでしょう。
おすすめは、ろ過フィルターの吐出口と向かい合わせに水流ポンプを設置して、中央で水流がぶつかるようにする方法です。
ぶつかった水流は複雑に分岐して、通常の流れでは届きにくい底面付近にも水流が行き渡りやすくなります。大きな水槽であれば、複数の水流ポンプを設置するのが効果的です。
また水槽全体に水流が行き渡れば淀みがなくなり、水の汚れや環境の改善にもつながります。
十分な光量をあてる
石灰藻はライブロックなどの上側につきやすいことから、成長にはある程度の光が必要なのではないかと考えられます。
海水魚やサンゴが育つ環境ならば自然に増えるため、「あえて石灰藻に向けて照明を当てる必要はない」という意見もありますが、やはり照明が当たっている場所の方が増えやすいです。
とはいえ、水草のように専用の照明を用意する必要はありません。飼育しているサンゴや海水魚に合わせた照明を、一日8時間を目安に点灯してみてください。
添加剤を使う
石灰藻は、成長するときに水中のカルシウムを大量に消費します。これはサンゴにも言えることですが、カルシウムが不足すると成長が鈍るため、石灰藻を増やしたいときは添加剤などを使って、カルシウムや微量元素を補給しましょう。
『カミハタ パープルアップ』は、石灰藻のために作られた添加剤で、水槽で不足しがちなヨウ素やカルシウムなどの栄養を補って、石灰藻の成長を促します。サンゴや海水魚、エビ類にも使えるので、水槽全体の調子を上げたいときなどにも使いやすいです。
カルシウムの補給ならばカルシウムリアクターを使用する方法もありますが、高価な機材ですので石灰藻のためだけに用意するにはコスパが悪く、あまりおすすめできません。
カルシウムリアクターはミドリイシなどの難しいサンゴを飼育するためのものですが、このようなサンゴを管理できる水槽ならば、石灰藻も自然に増えていきます。
メインはあくまで海水魚やサンゴの飼育なので、石灰藻についてはそれぞれの管理にプラスアルファする程度に留めておくのが良いでしょう。
石灰藻の掃除方法
適量ならば水槽に良い影響が多い石灰藻ですが、多すぎるとデメリットが目につくことがあります。
水槽壁面や配管など、意図しないところ付着した石灰藻は鑑賞性を損ないますし、ライブロックも石灰藻が多すぎると、多孔性が失われてしまいます。また、水中のカルシウムを余計に消費してしまうのも問題です。
このような場合は速やかに除去するのが良いですが、硬い石灰藻は一度生えるとなかなか落ちずに苦労することも。
そこで、最後に石灰藻を落としたいときの掃除方法をご紹介します。
生え初めはこすり洗いで除去可能
成長した石灰藻は石のように硬くなり、しっかり固着してしまいますが、生え初めならばスクレーパーで軽くこするだけで落とすことができます。
特に水槽のガラス面は傷がつきやすいので、石灰藻が付着したらその都度除去していくようにしましょう。
ヘラでこそぎ落とす
配管やろ過槽などに固着した石灰藻は、ヘラを使ってこそぎ落します。
力が入りやすい『ジラコヘラ』や、強力なステンレスのブレードを備えた『Flipper EDGE』などが落としやすいです。
水槽の壁面に固着してしまった場合も、同様にヘラでこそぎ落とすことになりますが、傷をつけないよう力加減に注意してください。
いずれにしても早めに掃除したほうが落としやすいので、小まめな掃除を心がけましょう。
クエン酸を使用する
小まめに掃除をすることが難しい配管や水流ポンプに付着してしまった石灰藻には、クエン酸が有効です。
クエン酸を溶かしたぬるま湯に分解した部品を浸けておくと、石灰藻が白く柔らかくなってきます。この状態になったら、ブラシで軽くこするだけで除去が可能です。
硬く落ちにくくなった石灰藻だと一度の掃除では落とし切れない場合もありますが、何回か繰り返すうちに少しずつきれいになっていくでしょう。
ただし、クエン酸が飼育水に混入すると水質に影響が出ますので、掃除後は真水でしっかりすすぎ洗いをしてから水槽に戻してください。
水流ポンプや機材に石灰藻が固着すると、動作に影響が出る可能性があるため、定期的に分解して掃除することをおすすめします。
まとめ:石灰藻とは!ライブロックに生える石灰藻のメリット・増やし方・掃除方法
ライブロックに付着する石灰藻について解説しました。
カルシウムを主成分とする石灰藻は、サンゴのベースになったり水質の目安になったりと、海水魚やサンゴにもたらすメリットがとても多いです。
無理に増やす必要はありませんが、石灰藻が増えていく環境は水槽内の他の生き物にもとても良いため、自然と石灰藻が増えていく環境を目指すことで生き物の調子を上げることができます。
ただし、水槽や配管に石灰藻が固着してしまうと鑑賞性を損なうため、余剰分は硬くなってしまう前に除去するのがおすすめです。
海水魚やサンゴが生き生きと過ごせるアクアリウム作りに、石灰藻を役立ててみてください。
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