アクアリウムのSDGs!アクアリウムを続けるために個人でできること
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最近、さまざまな場面で見聞きするSDGs。
“持続可能な開発目標”の略称で、国際的に問題となっている事柄を解決(改善)していくための17の目標が掲げられており、その問題は人種から経済、環境に至るまで多岐に渡ります。
SDGsを実現するには、私達一人一人の心がけが非常に大切なのです。
とはいうものの、目標が大きすぎて具体的に何をしたらよいのかわからないと感じるのが実情です。
そこで、今回はアクアリウムから見るSDGsをご紹介していきます。
SDGsの中でも特に環境問題に関する項目はアクアリウムとも密接な関係があります。アクアリウムという文化を未来につなげていくため、今できること、考えておくべきことを知り、行動に移していきましょう。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにアクアリウムを続けるためにできるSDGsを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
SDGsで提唱されている目標の中には、アクアリウムを続けていくために欠かせない水に関する環境問題が含まれています。
この問題が解消されないと、近い将来アクアリウムが禁止されてしまう、なんていう可能性もありますので、一人一人が問題に向き合い、できることから実行していきましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、アクアリウムを続けるためにできるSDGsを解説します。
アクアリウムを通してSDGsを身近な問題に
SDGsを地球規模、世界規模で考えると、壮大過ぎて他人事のように感じてしまうかもしれません。
しかし、もっと身近なことに目を向けてみると、私達が普段何気なく楽しんでいるアクアリウムも水生生物や水生植物を飼育、育成する自然環境に関わる事柄だと気づかされます。
SDGsの目標の一つ、”陸の豊かさも守ろう”には、淡水域の生態系を保全・管理するという内容が含まれているのですが、これをアクアリウム業界を騒がせている話題に置き換えて考えてみましょう。
少し前にアリゲーターガーを始めとしたガー全般が特定外来生物に指定されて、新たに飼育することができなくなってしまいました。
この施策の発端は、飼育しきれなくなったガーが日本の河川に放流されたことにあります。
河川に定着したガーが在来種の魚を襲うことで、元々の生態系が崩れる恐れが出てきたため、飼育の規制へとつながったのです。
この出来事はまさに、生態系の持続的な保護に当てはまる事例ではないでしょうか。
このように、私たちの何気ない行動がSDGsで掲げられている問題に密接に関わることも少なくありません。
自由にアクアリウムを楽しむ時間を守るためにも、SDGsについて考えてみましょう。
個人でできるアクアリウムのSDGs
アクアリウムで意識できるSDGsは、以下の目標に関係があります。
- 12.つくる責任・つかう責任
- 14.海の豊かさを守ろう
- 15.陸の豊かさも守ろう
ここでは、上記の目標を達成するためにアクアリストだからこそできる、意識していきたい身近な事柄を7つ具体的にご紹介します。
飼育生体のことを調べる
SDGsでは生態系の維持を掲げていますが、これを守るために飼育者としてまずやらなければならないのが、飼育している生体への理解を深めることです。
その生き物がどんな習性を持っていて、どれくらいの大きさになるのか。どんな環境に生息して、寿命は何年かといった基本的な情報を知ることで、適切な飼育環境を作れます。
予め寿命や大きさを知っておけば、飼いきれなくなるということがありませんし、飼育計画も立てやすいです。
特にワイルド個体の場合は、無計画な飼育が現地での乱獲に繋がる可能性もあるため、個体数を守るためにも、生体への知識を身に付けましょう。
そしてさらに、現地の環境にも目を向けられると、より理想的です。その環境を守るためにできることを考え、行動できるようにもなります。
放流しない
先ほども例に挙げた通り、飼育していた生き物を適当な河川に放流すると、生態系を崩す原因になりかねません。
また生き物ばかりに目が行きがちですが、実は水草も同様の理由で、処分の仕方に気を付けなければならない物の一つ。
最近はビオトープが流行っていることもあり、海外の水草や浮草、抽水植物がよく流通するようになりましたが、このような水草が在来植物の自生地に浸食してしまい、在来植物が育たなくなるという問題が起きているのです。
植物は再生能力が高いので、わずかな破片から根を生やしてそのまま定着してしまうこともあります。
屋外の排水溝に流した水草が流れ着いた川に定着した、という話も聞きますので、トリミングなどで出た水草は、必ず可燃ごみとして処分するようにしてください。
採取しすぎない
魚や水草、苔などを採取してきて自宅で飼育育成する場合は、必要以上に採取しないようにしましょう。
川や用水路での釣りは楽しいですし、子供にも人気です。そうして捕まえた生き物を連れ帰るのは悪いことではありませんが、度が過ぎると生態系を破壊する恐れがありますので注意してください。
また採取する際は、採取場所の環境を壊さないように心がけることも大切です。
「ひっくり返した石は元に戻す」「水生植物を踏みつけない」「ゴミは持ち帰る」など、当たり前のルールを守ることが、環境の保全に繋がります。
後世の子供たちがその生き物を目にすることができるよう、みんなで環境を守りましょう。
ちなみに、自治体によっては在来種の捕獲や持ち帰りが禁止されていることがありますので、採取する前に条例を確認するようにしてください。
魚病薬などの薬品類は捨て方に注意する
水質汚染を防ぐため、不要になった魚病薬などの薬品類を流しに捨てるのは止めましょう。
アクアリウムで使用する薬にはさまざまな化学物質が含まれています。市販のものは比較的安全ではありますが、薬品であることに違いはありません。
一人一人の廃棄量は微々たるものだとしても、それが積み重なれば河川の薬品汚染に繋がる可能性もあります。
魚病薬の正しい捨て方は、ペーパーやいらないタオルなどに吸収させて、ビニール袋に入れてゴミに出す方法です。
自治体によっては細かなルールが定められていますので、事前に確認してください。
水槽を捨てるときは自治体に回収してもらう
SDGsでもよく話題になるゴミ問題。アクアリウムでは、水槽や周辺機材の捨て方を意識してみましょう。
不要になった水槽や周辺機材は、自治体によって捨て方や扱いがことなるため面倒に感じてしまいがちです。
しかし、正しく処分することで、リサイクルや環境に配慮した処理を施してもらうことができますので、不要な機材を捨てるときは必ず各自治体のルールに従ってください。
間違っても空き地や川などへの不法投棄はやめましょう。
水槽の処分については、こちらのコラムも参考にしてください。
不用品はリユースする
新しい器材に買い替えたり、飼育をやめたりする際、「もういらないけど、まだ使える」という機材は、なるべくリユースに回すと良いでしょう。
リユースとは物の形を変えずに使い続けることで、処分やリサイクルよりもコストがかからず、環境にも配慮できると注目を集めています。
最近はさまざまな製品を買い取ってくれるリユース業者が増えていて、水槽用品の買い取りもしてくれるところも多いです。
また、ネットオークションやフリマアプリを使って、引き取り先を探すのもおすすめ。こちらは出品から発送まですべて自分で行わなければなりませんが、その分納得できる価格で譲ることができるのが利点です。
どんな形であれ、リユース可能なものはなるべく再利用するという小さな努力が、環境の保全に繋がります。
最後まで世話をする
当たり前の話ですが、一度飼育をし始めた生き物には、最後までしっかりと責任を持ちましょう。
たとえ小さな魚や貝、エビだとしても、それらは皆大切な命です。適切な環境で飼育せず死なせてしまうようなことは絶対にやめてください。
何か理由があって飼育が継続できない場合は、里親や引き取ってくれるところを探します。
また飼育を始めるときには、今一度、自分で最後まで世話をできるのかを自問することも大切です。
仕事など環境の変化の可能性はもちろん、大型魚の場合はいずれ大型水槽を置けるのか、繁殖しやすいものは水槽を増やせるのかなど、しっかりと考えてから飼育を始めましょう。
魚への思いやりがSDGsにつながる!
アクアリウムからSDGsの問題を見たときに重要なポイントとなるのが、飼育する生き物への思いやりの気持ちです。
生き物を思いやらず軽い気持ちで飼育を始め、飼いきれなくなって河川に捨ててしまう、という行動は、生き物の命を軽んじているからこそ起こる悲劇と言えます。
そしてこの軽い気持ちが積み重なると、環境の破壊や過度な規制へと繋がっていくのです。
魚という小さな生き物だとしても、
- 飼育前に情報を集めて、最後まで面倒を見ることができるのか検討する
- 適切な飼育環境を維持し、生き物が健康で過ごせるように配慮する
- 死んでしまったり何らかの事情で飼育を止めたりするときは、正しい形で終わらせる
という3つのことを念頭において飼育をしましょう。
まとめ:アクアリウムのSDGs!アクアリウムを続けるために個人でできること
今回は、アクアリウムから考えるSDGsということで、アクアリストだからできる具体的な事柄をご紹介しました。
SDGsで掲げられている環境問題は、アクアリウムと切っても切れない関係と言えます。
熱帯魚や海水魚が住む環境が破壊されて生き物が絶滅してしまったり、飼育が規制されてしまったりすると、アクアリウムが続けられなくなってしまうからです。
誰でもアクアリウムを楽しめる環境を維持していくためにも、今できることから少しずつ始めてみましょう。
もちろんSDGsはアクアリウムに限らず、我々人間が豊かに生きていくために向き合うべき事柄でもあります。
アクアリストだからこそできること、考えられることはたくさんありますので、この機会に行動を起こしてみましょう。
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