アクアリウムコラム

マリンボトルアクアリウムとは!作り方・管理法から向いている生体も紹介

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透明なボトルの中に小さな海を再現できるマリンボトルアクアリウムは、机や棚に置ける手軽さやインテリア性の高さから注目を集めています。
カラフルなソフトコーラルや海水魚、海藻などが織りなす幻想的な水景は、淡水のボトルアクアとはまた違った魅力があり、見応え抜群。見ているだけでリフレッシュできると感じる方も多いです。

しかし、見た目の可愛らしさに反して管理がかなり難しく、通常の海水水槽よりも失敗しやすい点は否めません
そもそも海水生物は淡水生物に比べて水質の変化に弱いため、水量の少ないボトルで管理するには熟練の水質管理術が必須。だからこそ、挑戦しがいがあるアクアリウムとも言えるでしょう。

この記事では、マリンボトルアクアリウムの特徴や作り方、管理のポイント、生体の選び方や注意点を詳しく解説します。

プロアクアリストたちの意見をもとにマリンボトルアクアリウムの作り方を解説


このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

マリンボトルアクアリウムは、卓上で海水魚やサンゴの飼育を楽しめる話題の管理スタイルです。
水量が少なく管理が難しいことから、初心者の方にはあまりおすすめできませんが、海水飼育に慣れていれば挑戦してみる価値は十分にあるのではないでしょうか。

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、マリンボトルアクアリウムの作り方を解説します。

マリンボトルアクアリウムとは

マリンボトルアクアリウムとは、3〜10L程度の小型ガラスボトルに海水環境を再現し、海水魚やサンゴを飼育するスタイルのことです。

海水水槽は、通常大きな水槽に高性能なろ過フィルターやプロテインスキマー、水槽用ヒーターにクーラーなど様々な機材が必要となりますが、マリンボトルアクアリウムならば、飼育用ボトルと人工海水、簡易的なろ過フィルターなど最低限の設備で手軽に省スペースで海水飼育を楽しむことができます

一方、一般的な水槽に比べて水量が圧倒的に少ないことから、温度・塩分濃度・栄養塩がわずかの変化で大きく動いてしまうため、非常にシビアな水質管理が求められるでしょう。
例えば、夏場に室温が少し上昇しただけで水温が変動してサンゴが弱ってしまったり、暖房を切った冬場の冷え込みで生体がダメージを受けたりといったことも少なくありません。
換水を1週間怠っただけでコケが急増し、水質が悪化するのも珍しくないのです。

このように管理がとても難しいマリンボトルアクアリウムですが、小さなボトルに自分だけの海を表現できた時の達成感は格別。観察距離が近い分、ちょっとした変化に気づきやすく、日々のお世話にやりがいを感じられるのは、マリンボトルならではの魅力ではないでしょうか。

マリンボトルアクアリウムを作るポイント


管理がシビアなマリンボトルアクアリウムは、立ち上げ段階での初期設計が重要です。
使用する機材をしっかりと選んで始めることで、運用開始後のトラブルを大きく軽減できます

ここでは安定したマリンボトルアクアリウムを作るポイントをご紹介しますので、参考にしてください。

できるだけ大きなボトルを選ぼう

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ボトルアクアリウムという性質上、デザイン性の高い容器を選びたくなりますが、海水環境を再現する場合はメンテナンス性を重視して容器を選定してください。

特に開口部が広く取られた容器が最適で、手や掃除道具をしっかり入れて掃除ができます。
金魚鉢型やドロップ型は美しい曲線で人気がありますがやや掃除がしにくく、また、縦長すぎる容器は光が底まで届きません。安定性の観点からも不向きです。

容量は最低3L、初心者は5~10Lが望ましいでしょう。水量が少なすぎると、水が蒸発するだけで水質や水温変化が起きて、環境が崩壊してしまう危険が高まります。

設置場所にも注意

ボトルアクアリウムでは水槽用クーラーや水槽用ヒーターが使用できないため、できるだけ変化の少ない場所を選んで設置する必要があります。
理想的なのは、直射日光やエアコンの風が直接当たらない場所です。

専用の水槽台を用意する必要はありませんが、棚やテーブルが不安定だとボトルが落下したり破損してしまう危険があるため、必ず安定性の高いしっかりした棚や机の上に設置してください。
設置台の耐荷重を確認しておくと、なお安全です。

サンゴ砂とライブロック、バクテリア剤は必須

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ろ過フィルタ―なしで水中の環境を維持していくため、水質調整効果が期待できる以下のアイテムを活用しましょう。

  • サンゴ砂
  • ライブロック
  • バクテリア剤

底砂には水質をアルカリ性に傾けてくれるサンゴ砂を、1〜2cm程度の厚さで敷きます。厚すぎると嫌気層ができて硫化水素を発生させ、生体に悪影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。

ライブロックは、付着しているて天然のバクテリアが水質浄化効果をもたらしてくれるほか、自然発生したバクテリアの住処としても有用な海水水槽になくてはならないアイテムです。
ただ、ボトル飼育の場合はバクテリアが多すぎると酸素不足をまねく危険があるため、量は控えめを心がけましょう。
水1Lあたり100gほどが目安です。

また、立ち上げ時には必ずバクテリア剤を添加することをおすすめします。通常の水槽なら時間をかけて自然にバクテリアが定着しますが、ボトルでは環境が不安定なため人工的に補助する方が安全です。
これを怠ると立ち上げ直後にアンモニアが急上昇し、生体が全滅することがあるため注意してください。

照明は吊り下げ式がベスト

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照明は見栄えを良くするだけでなく、生体の健康維持にも必須です。

マリンボトルアクアリウムならば、特にLED照明がおすすめ。LEDは省エネで発熱が少なく、光の波長もサンゴや海藻など飼育している生体に合わせたものが選べるため、適切なライトを選んで設置しましょう。
吊り下げ式アーム式ならば、光源との距離を調整でき、熱がこもりにくくなるため使いやすいです。

また、ソフトコーラルを中心に飼育する場合、PAR値50〜100を目安に、1日8〜10時間の点灯が推奨されます。夏は短め、冬は長めに点灯時間を調整すると安定した飼育に繋がりやすいです、
照明の種類にもよりますが、近づけすぎると水温上昇を招くため、15cm以上の距離を保つことを心がけてください。

後述しますが、マリンボトルアクアリウムでは海藻による水質浄化が推奨されています。海藻を育てるため、やや強めの照明を選ぶと良いでしょう。

海藻で水質を浄化しよう

(海水魚)海藻 生餌 ウミブドウミックス グラム売り 100g

マリンボトルアクアリウムでは、海藻の力が水質維持の大きな助けとなります。

ウミブドウホソジュズモは余分な栄養塩を吸収し、水質を安定させてくれるのです。
緑豊かな海藻が淡水の水草のように揺れる姿は見る人に癒しを与えてくれることから、鑑賞面でも重宝するでしょう。

ただし、成長を放置すると海藻がボトル全体を覆い、光や水流を遮って逆効果になります。定期的にトリミングをして海藻を状態よく維持することが、マリンボトルアクアリウムの安定に繋がるといっても過言ではありません。
また、海藻も万能ではないので、小まめな水換えも欠かさず行いましょう。

ポンプやろ過フィルターで水流を作ろう

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強めの水流を好む生き物が多い海水水槽において、水流作りはとても大切な要素です。
ボトルアクアリウムでも、小型ポンプやエアリフトを設置し、砂が舞い上がらない程度の流れを起こしましょう

特にサンゴは水流がないと表面に粘液やゴミがたまり、健康を害する原因になります。ろ過フィルターは必須ではありませんが、導入すれば水質の安定度が格段に上がるでしょう。

簡易的なフィルターでも『GEX ピコロカ High』や『水作ボトムフィルターR』は海水で使用可能ですし、ボトルとろ過フィルターが一体となった『GEX PERCO』などのオールインワン水槽を導入するのも良い方法です。

マリンボトルアクアリウムの管理法


水量の少ないボトルでマリンアクアリウムを維持していくには、日々の細かなチェックとこまめなメンテナンスが必須です。

ここでは、マリンボトルアクアリウムを長く運用していくための管理方法を解説します。

毎日水温と比重を確認する

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マリンボトルアクアリウムを安定して管理するため、毎日必ず確認すべきなのが水温と比重の変化

水温は一日を通して24~26℃に維持されているのが理想です。特に夏や冬の寒暖差が激しい季節は、気づかないうちに水温が急変していることも少なくないため、時間を決めて複数回水温を確認するタイミングを持つと良いでしょう。

また、水量が少ないボトル管理では少し水が蒸発しただけで塩分濃度が上がり比重が大きく変わってしまうことがあります。
基準となる比重は 1.023~1.026ですので、こちらも1日一度は必ず確認を行い、必要に応じて足し水などで調整をしましょう。

余分な成分の混入を避けるため、可能であればRO水を使用するのが望ましいです。

マリンボトルアクアリウムのメンテナンス法

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水が汚れやすいマリンボトルアクアリウムでは、こまめに水換えをして汚れの原因となる栄養塩を排出します
週に2回、総水量の20~30%程度を換水するのが目安です。

人工海水はあらかじめ溶かして比重を合わせてから使用します。

さらに週1回はガラス面のコケをこすり落とし、底砂に溜まったデトリタスをスポイトで吸い出してください。特に汚れが溜まりやすい底砂は、こまめに掃除をすることで見た目を整えるだけでなく、水質の悪化を抑制できます。

また月に1度は、計測器の校正や照明の点灯時間の調整海藻のトリミングなど、ボトルに関わる全体のメンテナンスを実施する日を設けると効率的に管理できるでしょう。

マリンボトルアクアリウムに向いている生体


マリンボトルアクアリウムはどんなに気を付けて管理をしていても、やはり通常の水槽と比べると水質や水温が変化しやすいです。
そのため、飼育する生体についても限られた水量で飼育、維持ができる変化に強い丈夫な生き物を選ぶ必要があります

ここでは、マリンボトルアクアリウムに向いている生体をご紹介します。

ソフトコーラル

(サンゴ)沖縄産 スターポリプ Sサイズ(1個)

飼育が難しいと思われるサンゴですが、一部のソフトコーラルには比較的低光量でも育つ丈夫な品種がいるため、種類を選べばマリンボトルアクアリウムでも十分に育成ができます

ボトル飼育に適しているのは、ウミキノコスターポリプといった種類のサンゴです。
どちらもサンゴ飼育の入門種にも選ばれる育成しやすいサンゴで、ウミキノコはゆったりとした姿が魅力的。スターポリプ緑の絨毯のように広がるので、水景を豊かにしたいときにおすすめです。

ただし、どちらも増殖スピードが早いので、増えすぎた場合は小まめに間引いて環境のバランスを整えてあげてください。

もう少し彩りが欲しいときはマメスナギンチャクも良いですが、こちらはパリトキシンという毒を持つため取り扱いに注意が必要です。素手で触らず、切断・過熱をしない、換気を確保するなどの、安全対策をしっかりと行いましょう。

LPSやSPSは少ない水量での飼育が難しく、マリンボトルアクアリウムには向いていません

小型海水魚の幼魚

(海水魚)デバスズメダイ Sサイズ(2匹)

マリンボトルアクアリウムでは、丈夫で比較的小型な海水魚の幼魚を飼育することも可能です。

おすすめは、デバスズメダイカクレクマノミといった水質に寛容な小型魚たちで、ボトルの大きさにもよりますが1~2匹程度の少数でしたら導入ができるでしょう。

ただし、成長するにつれてが手狭になり、水中のバランスを保つのがより一層難しくなっていくため、ボトルで飼育ができるのは幼魚のごく限られた時間に限られます
ある程度大きくなったら飼育数に合わせて、30cm以上の大きな水槽に移してあげてください

その他飼育可能な生き物と注意点

(海水魚)エビ ニシキテッポウエビ(1匹) 北海道航空便要保温

マリンボトルアクアリウムではソフトコーラルや海水魚以外にも、条件を満たすことで様々な生き物を飼育できます

  • 共生ハゼとエビ
  • ヒトデ
  • ヤドカリ

などは、マリンボトルアクアリウムで見かけることが多い代表的な生き物です。

共生ハゼとエビは、どちらも小型で大人しいので遊泳スペースが限られるボトルでも組み合わせて飼育ができます。ただ、粗目の底砂を厚めに敷かなくてはいけないことと、生体数が2匹以上になる点から、ほかの生き物よりも管理の難易度が上がる点にはご注意ください。

ヒトデも激しく動き回ることが無いので、丈夫な品種を選べばマリンボトルアクアリウムにも適応できますが、サンゴを食害するためソフトコーラルとの混泳は避けたほうが良いでしょう。また、ヒトデが弱ったり死んでしまったりした時に水質が急激に悪化することがあるため、こまめに様子を確認してください。

ヤドカリはボトルの中ののコケを食べてきれいにしてくれるお掃除生体としても有能です。ただ、時折サンゴを傷つける危険があるため、ソフトコーラルと一緒に飼育するときは注意してください。
また、成長して大きくなってくると壁やレイアウトを伝って脱走してしまうことがあるため、上部に通気性の良いフタを設置するなどの脱走対策にも力を入れましょう。

マリンボトルアクアリウムの注意点


マリンボトルアクアリウムを管理していく上で最も注意しなければならないのが、夏場の高水温です。
そもそも海水生物は高水温に弱く、水温の上昇が命取りになってしまうため、夏は24時間エアコンで室温を管理している部屋にボトルを設置して、水温の変化を抑えましょう。室温は25~27℃程度に設定します。

ちなみに、水温の急低下も生体が弱る原因になるため、できれば一年を通して室温を管理することが望ましいです。

ボトルを密閉すると酸欠やpH低下を招くため、必ず開放型で運用し、アロマや防虫剤など揮発性物質は設置した部屋で使用しないようにしてください。

また、通常の水槽管理よりは手軽とはいえ、マリンボトルアクアリウムでもそれなりに運用コストが掛かります
エアコンを継続使用する電気代はもちろん、人工海水などの消耗品も意外に減りが早いです。
例えば10Lのボトルでも、週2回の換水を続けると月に40〜50Lの人工海水が必要になるため、運用を始める前にコストや手間を確認し、しっかり計画を立てておくことが大切です。

まとめ:マリンボトルアクアリウムとは!作り方・管理法から向いている生体も紹介

マリンボトルアクアリウムは、小さな容器の中に自分だけの海の世界を再現できる魅力的なアクアリウムです。

インテリアとしての美しさや手軽さ、癒し効果などに大きなメリットがある一方、水量の少なさゆえに管理が難しく、長く運用していくには毎日の観察やこまめな換水など、細やかな気配りが必須となります。

向いている生体もソフトコーラル海藻が中心で、魚は短期間の観賞にとどめるのが無難です。
難易度は高いですが成功したときの達成感は大きく、自分だけの小さな海を手元に置く喜びを味わえます

海水飼育に慣れた方は、ぜひマリンボトルアクアリウムにも挑戦してみてはいかがでしょうか。

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執筆者 のべじ

幼少の頃より生き物が大好きです。身近な川魚から熱帯魚、両生・爬虫類までさまざまな生き物を飼育してきました。大学で海洋生物学を学び、水族館で働いた経験も併せて、アクアリウムが楽しくなるようなコラムを紹介していきます

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