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金魚やメダカを飼育するためのアイテムを調べていると、水槽や餌などの消耗品の他に”ろ過フィルター”や”ぶくぶく(エアレーション)”という機材を目にすることがあります。
どちらも水槽内に酸素を供給するアイテムとして紹介されているものですが、初めてのアクアリウムだと両者の違いが判らず、どちらを購入したらよいのか、それとも両方必要なのか…と迷ってしまいがちです。
ろ過フィルターとぶくぶくは確かにどちらも水槽内に酸素を供給する役割を担いますが、それ以外の機能や水流の強さ、価格などに大きな違いがあります。
飼育する生き物の種類や数、水槽の大きななどによって選ぶべき機材が変わりますので、違いを理解した上で適切なものを購入しましょう。
ここでは、ろ過フィルターとぶくぶくの違いや併用のポイントをご紹介します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにろ過フィルターとぶくぶく(エアレーション)の違いを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
金魚やメダカの飼育でよく目にする、ろ過フィルターやぶくぶくは、どちらも水中の環境を保つのに欠かせないものです。
水槽での役割が微妙に異なりますので、適切なものを選定して生き物が健康に過ごせる水槽を目指しましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、ろ過フィルターとぶくぶく(エアレーション)の違いを解説します。
ろ過フィルターとぶくぶくの違い
金魚やメダカの飼育方法を調べていると、ろ過フィルターとぶくぶく(エアレーション)が並列で説明されていることが多いため、なんとなく同じような機能なのだろうと考えている方もいらっしゃるかと思います。
しかし、実際はろ過フィルターとぶくぶくの水槽内の役割は明確に違いがあるため、より適切な環境を保つにはしっかり違いを理解した上で使い分ける必要があります。
ここでは、ろ過フィルターとぶくぶくの違いについて解説します。
ろ過フィルターは水をきれいにする機材
ろ過フィルターは、簡単に言うと水槽内の水をきれいにして循環させる役割を担います。
ポンプでくみ上げた水がろ過フィルター内部のろ材やフィルターの中を通ることで、水中の汚れやゴミが漉しとられてきれいにろ過される仕組みです。ろ材やフィルターには水をきれいにしてくれるバクテリアが棲み付くので、水質を安定させやすくなるのもポイント。
こうしてきれいになった水は再び水槽内に戻されます。
また、水槽内の水を吸い上げたり戻したりする際に適度な水流を起こすのもろ過フィルターの重要な役目です。水流があることで水槽内の淀みが解消されたり、水槽全体に酸素が行き渡ったりと、より生き物が過ごしやすい環境を整える効果が期待できます。
ろ過フィルターの種類
ろ過フィルターにはいくつか種類があり、ろ過の仕方や水槽の設置場所、ろ過能力などがそれぞれ異なります。
- 外部式フィルター
- 上部式フィルター
- 外掛け式フィルタ―
- スポンジフィルター
- 底面式フィルター
- 投げ込み式フィルター
フィルタ―の種類は、飼育している魚の種類や水槽の大きさに合わせて選ぶのが一般的です。
ろ過フィルタ―の選び方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ぶくぶく(エアレーション)は水槽に酸素を送る装置
金魚水槽などで時折見かける、ボールや筒から泡が立ち上る”ぶくぶく”は、水槽に酸素を供給する機材です。正式名称はエアレーションと言います。
エアーポンプとエアストーンをチューブで接続すると気泡が発生する仕組みで、気泡に含まれる酸素が水中に溶け込むのはもちろん、上がった気泡が水面を揺らすことで外部からも酸素を取り込むことが可能です。
エアレーションには水をきれいにする機能は付いておらず、単純に酸素を送るのみですが、酸素の豊富な水槽は水をきれいにしてくれるバクテリアの働きが活発になるので、2次的効果で環境維持に貢献します。
ちなみに、投げ込み式フィルターも”ぶくぶく”と呼ばれることがありますが、こちらは水をきれいにする機能が付いたろ過装置です。
投げこみ式フィルターを含むエアーリフト式のろ過フィルターについては後述します。
水槽の雰囲気づくりにも最適
エアレーションから立ち上る気泡は、レイアウトの一部として水景づくりに利用されることも多いです。
より細かな気泡が上がるエアストーンや、横に広い範囲からエアーが出るエアカーテンを使ったレイアウトは、涼し気で非常に見応えがあります。
強い水流を起こしたいときはろ過フィルター
ろ過フィルターとぶくぶくでは水流の強さが異なります。
種類にもよりますがろ過フィルターは基本的に、水槽全体を循環するぐらいの強い水流を起こせるのに対して、ぶくぶくは気泡が水を揺らす程度の優しい水流です。
水流は水槽内の環境維持に欠かせません。水流が届かない場所には汚れやゴミが溜まりやすく、淀みとなってコケや病原菌の温床になることもあるため、水槽内の環境を清潔に保つためには水流は強い方が良いです。
しかし一方で、強すぎる水流は水中を泳ぐ魚を疲弊させてしまうことも。特にヒレが長い魚種や体が丸い魚は強い水流が苦手なので、飼育している魚種が好む水流の強さと水の循環具合を見極めながら、ちょうど良い流れを作ることが大切です。
酸素供給力はぶくぶくが上
酸素供給に特化している分、酸素供給力はやはりぶくぶくの方が高いです。
金魚など魚の中でも特に酸欠に弱い魚種を飼育する場合は、ぶくぶくを設置してエアレーション力を高めましょう。
また、ろ過フィルターの中でも上部式フィルターは比較的酸素供給力が高めです。
上から水を落とし込む構造でたくさんの酸素を取り込めますが、その分水流は強くなりやすいので、魚種に合わせて機種を選定する必要があります。
ろ過フィルターとぶくぶくを併用するメリット
ろ過フィルターとぶくぶくは水槽内で併用することができます。
どちらか一方でも生き物の飼育はできますが、両方を設置することで飼育環境をよりよく保つことが可能です。
ここでは、ろ過フィルターとぶくぶくを併用するメリットをご紹介します。
バクテリアの活性を高めて水質を改善できる
水をきれいにするのはろ過フィルターの専売特許ですが、ろ過フィルターを設置しているにもかかわらず「水が汚れやすい」「水質が悪くなる」という時は、ぶくぶくを追加で設置することで水質が改善される可能性があります。
水をきれいに保つには、パワーの強いろ過フィルターで汚れをこしとることも大切ですが、それ以上に水中に自然発生するバクテリアの働きが重要です。
バクテリアは水中に溜まる生き物のフンや餌の食べ残しといった有機物を分解して、毒性の弱い硝酸塩に変えてくれる存在。
バクテリアは酸素が豊富な環境で活発になり、酸素が不足すると活動が鈍るどころか死滅してしまうこともあるため、生物ろ過が弱い水槽ではエアレーションをすることで水質が改善します。
生き物の調子が上がり健康に大きく育ちやすくなる
酸素は生き物の調子にも直結します。
酸素が多い水槽では、魚達も活き活きとしてきます。餌の食べも良くなって、大きく健康に育ちやすくなるでしょう。
反対に酸欠気味の環境では、魚達の元気がなくなり、水面付近に顔を出して口をぱくぱくする鼻上げという動作を見せるようになります。このような酸欠の兆候が見られたら、エアレーションを追加して、環境を改善しましょう。
ちなみに、酸欠は飼育容器に対して生き物や水草の数が多すぎると起こりやすいです。
エアレーションと共に、飼育数の見直しも行ってみてください。
夏の高水温、水質悪化を抑えられる
夏場の水槽は、気を付けていても水温が上がりやすいです。また、水温の上昇とともに水質も悪化しやすくなります。
このような夏のトラブルも、ろ過フィルターとぶくぶくの併用で改善が可能です。
ろ過フィルターにエアレーションを追加することで、水面が揺れて蒸発しやすくなり、水温の急激な上昇を抑えます。
また、酸素が多くなるとバクテリアの働きが活性化して、水をきれいに保ちやすくなるというわけです。
ただ、水の蒸発量が増えて水位が下がってしまうとそれはそれで悪影響なので、こまめに足し水をして水量を維持する工夫をしましょう。
エアーリフト式のろ過フィルターは両方の特性を持っている
電源や設置場所の問題でろ過フィルターとぶくぶくを併用するのが難しい場合は、両方の特性を併せ持つエアーリフト式のろ過フィルターを検討してみてはいかがでしょうか。
エアーリフト式は、エアポンプに接続して使用するろ過フィルターの総称で、
- 投げこみ式フィルタ―
- スポンジフィルター
- 底面式フィルター
の3種が該当します。
このタイプのフィルターはどれも酸素供給力が高く安価で、設置やメンテナンスも簡単なので、特にアクアリウムが初めての方におすすめです。
水流が穏やかなので強い流れが苦手な金魚やメダカを飼育する水槽はもちろん、稚魚や病魚を飼育する隔離水槽でも使用できるため、サブフィルターとして買い置きしておいても損はありません。
まとめ:ろ過フィルターとぶくぶくの違いとは!アクアリウムを始める方へ解説します
今回は、使い分けが難しいろ過フィルターとぶくぶくの違いや、併用するメリットについて解説しました。
初めてのアクアリウムだと違いが分かりづらい両者ですが、基本的には、ろ過フィルターは水をきれいに保つ機材、ぶくぶく(エアレーション)は水中に酸素を送る機材と覚えておけば間違いありません。
どちらを使用するかは飼育する生体の種類や水槽の大きさで選択してみてください。
また、ろ過フィルターとぶくぶくを併用すると、水質の改善や水温の維持がしやすくなるので、状況に応じて追加するのもおすすめです。
ろ過フィルターとぶくぶくを正しく使用して、生き物が健康に暮らせる環境を整えましょう。
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