オーバーフロー水槽のろ過能力を維持する方法!海水水槽設置後の運用法
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オーバーフロー水槽は、ろ過方式の中でも断トツで高いろ過能力を有する高スペックな飼育機材です。初期費用は高めですが、一度設置すれば長く使えること、また他のろ過機材では再現が難しいアクアリウムにも挑戦できることから、多くのアクアリストから支持されています。
そんなオーバーフロー水槽ですが、実は適切に運用をして状態を維持していないとパワーが下がってしまうことも。
特に海水魚やサンゴを飼育しているマリンアクアリウムでは、少しのろ過能力の低下が致命傷になりかねないため、ろ過能力を維持できるメンテナンスの仕方を学んでおきましょう。
ここでは、海水魚を管理するオーバーフロー水槽のろ過能力を維持する方法と設置後の運用ポイントをご紹介します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにオーバーフロー水槽のろ過能力を維持する方法を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
オーバーフロー水槽の高いろ過能力を活かすには、ろ過槽や循環ポンプ、パイプといった各部位のメンテナンスをしっかり行うことが大切です。
汚れが溜まるとパワーが落ちて水槽に影響が出てしまうこともありますので、確認を怠らないようにしましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、オーバーフロー水槽のろ過能力を維持する方法を解説します。
オーバーフロー水槽の運用方法
オーバーフロー水槽のろ過能力を維持するためには、適切な方法で運用することが重要です。
- 水の蒸発と水量に気を付ける
- ウールマットの消耗具合を常に確認する
- レイアウトによっては水流ポンプを追加する
といった項目は、基本的なチェックポイントながら意外と確認が漏れてしまっていることも少なくありません。
ここでは、オーバーフロー水槽のろ過能力を維持する運用方法から上記の3つのポイントについて解説します。
水の蒸発と水量に気を付ける
水槽の水は少しずつ蒸発して水位が下がっていきます。水量が減ると水質が変わりやすくなるため、小まめに確認して水位を維持するよう努めましょう。
オーバーフロー水槽の場合、水はろ過槽から蒸発するので、定期的に循環ポンプを止めて水位を確認します。減っていたら足し水をして水量を減らさないことが重要です。
オーバーフロー式で飼育する海水魚やサンゴは水質の変化に弱い魚種が多いため、常に水量に気を配り、できる限り水質を変化させないように運用しましょう。
ウールマットの消耗具合は常に確認しよう
ウールマットは、食べ残しやフン、ゴミといった物理的な汚れが下層のろ材に落ちて目詰するのを防ぐ、とても重要な役割を果たします。ウールマットが劣化しているとゴミを受け止めきれずに、ろ材が目詰まりしてろ過能力が低下してしまうため、定期的に状態を確認するようにしましょう。
特にフロー管をパイプブラシで掃除した時に出る汚れはウールマットが無いとろ過槽まで流れてしまいますので、注意が必要です。
ウールマットは設置から2週間程度で汚れが目立つようになってきます。劣化していなければ水道水で洗浄して再利用することもできますが、ろ過能力をできるだけ落としたくないときは思い切って交換してしまったほうが良いです。
レイアウトによっては水流ポンプを追加する
水槽のレイアウトが入り組んでいると、淀みが発生してゴミや汚れが溜まってしまうことがあります。
特に海水魚水槽の場合は、入り組んだライブロックを設置することが多く淀みができやすいです。水質悪化や菌の温床につながる可能性があるので、水流ポンプを追加して水を循環させましょう。
適切な水流は、海水魚やサンゴの健康にもつながります。
オーバーフローのろ過能力を維持するには
ろ過槽の掃除を怠ると、底にヘドロのような汚れが溜まってしまうことがあります。
このヘドロはオーバーフロー水槽の水流やろ過能力に直結しますので、発生したら確実に除去すること、そしてそもそもヘドロが溜まらない対策をすることが大切です。
ここではろ過能力を維持する方法として、ろ過槽のヘドロ対策を2つご紹介します。
ろ過槽のヘドロを掃除しよう
ヘドロの主な成分はデトリタスと呼ばれる微細な有機物で、フンや餌の食べ残し、バクテリアの死骸などが原因で発生します。
ヘドロがろ過槽内やろ材に溜まると通水性が下がってろ過能力の低下を招きますので、定期的に掃除をして除去しましょう。
まず、ろ材の掃除についてです。ろ材は一度に洗ってしまうと水をきれいにしてくれるバクテリアが減少して水質の急変を招く危険があるため、大体半量ずつ、日を分けて掃除をしてください。
ろ過槽に溜まったヘドロはクリーナーポンプを使って吸い出します。
ろ材の洗浄回数を減らす方法
ヘドロをできるだけ予防したい、ろ材の洗浄回数を減らしたいという時は、ヘドロの原因となる餌の食べ残しや汚れを食べてきれいにしてくれるお掃除生体の導入がおすすめです。
海水水槽のお掃除生体としては、
- スカンクシュリンプ:岩の隙間などの汚れや食べ残し
- マガキ貝:サンゴ砂の汚れ
- シッタカ貝:水槽側面や岩の汚れ
などが知られています。
それぞれ得意な汚れが異なるため、場所ごとに最適な生体を数種類入れると効果的です。
お掃除生体の数は、水槽の大きさや生体数、ろ過フィルターの性能によって適正数が変わります。まずは少なめに導入し、バランスを確認しながら徐々にお掃除生体の数を増やして行くのが良いです。
水槽の状態とお掃除生体のバランスが取れた環境では、ろ過槽の掃除がほとんど必要なくなることもあります。
循環ポンプの交換時期
オーバーフロー水槽のろ過能力は、循環ポンプの性能に左右されるといっても過言ではありません。
高スペックな循環ポンプを用意すれば、それだけ短時間でろ過できる水の量が増えて、水質を維持しやすくなります。
ただしどんな高性能なポンプにも寿命があるもので、長期使用による劣化やメンテナンスの不足などによって、少しずつ性能が落ちてしまうのも事実。
ろ過能力を落とさずにオーバーフロー水槽を管理していくには、循環ポンプの性能を落とさないメンテナンスと、交換のタイミングを見極める意識が大切です。
マグネットポンプの寿命は10年ほど
オーバーフロー水槽で使用頻度が高いマグネットポンプは、約10年程度の継続使用が可能な、水槽機材の中でもかなり長寿な機材です。
とはいえ、使用を続けていくうちにインペラを回転させるマグネットの磁力が低下していくため、メンテナンスをしても回転数が回復しなくなってきたら、交換を検討しましょう。
また、マグネットポンプにもリーズナブルな機種から高価なハイエンド機種まで種類がありますが、長期間の使用を想定している場合は、初期費用が掛かっても性能の良いポンプを選ぶことをおすすめします。
やはり高スペックなものはろ過能力を維持しやすいですし、有名メーカーの人気製品なら廃盤になって購入できなくなるというリスクも少ないため、買い替えの際も同じものを用意しやすいです。
メンテナンスによってポンプの寿命は変わる
循環ポンプは、メンテナンスの仕方で寿命を延ばすことが可能です。
基本的なことではありますが、ゴミや異物が入り込んでいたり汚れが溜まったりした状態で使い続けていると故障につながるため、定期的に掃除をしてきれいない状態を維持するようにしましょう。
マグネットポンプは分解して内部のパーツを交換したり清掃したりすることができるため、
- 水流が弱まった
- 異音がする
- 熱を持っている
などの異変を感じた場合も、メンテナンスの仕方次第では再利用できる可能性があります。
また、寿命を延ばすという点では設置場所にも注意が必要です。設置台が不安定だと機材の振動で消耗してしまうため、できるだけ安定した場所を選んで設置してください。
循環ポンプに負担を掛けるような使い方をしていると、想定よりも早く寿命を迎えてしまうこともあります。
特に海水魚水槽の場合は淡水よりも比重が大きくポンプに負荷がかかりやすいため、できる限り負担を減らせる方法で運用するようにしましょう。
オーバーフロー水槽で起こる可能性のあるトラブル
オーバーフロー水槽では、ろ過能力の低下以外にも以下のようなトラブルが起きることがあります。
- 水漏れや水流が適切にならない
- 騒音や動作音が気になる
- ウミケムシなど害虫の混入
最初は軽度でも放っておくと大きな問題に発展する可能性があるため、こちらもしっかり対処していきましょう。
水漏れ・水流が適切にならない
オーバーフロー水槽のろ過槽周辺で水漏れが起こるときは、配管の接着不良が主な原因と考えられます。
配管周りは長期間水にさらされていて、水流による負荷がかかりやすい部分なので、必ず塩ビ用接着剤などを使ってしっかり固定するようにしてください。
また、メンテナンスをしているのに思うような水流にならないときは、水槽環境にポンプが適していない可能性があります。
循環ポンプは水槽サイズ(総水量)から一時間当たりの回転数を割り出して選定しますが、実際に使用してみると、配管の構造や水槽用クーラー・殺菌灯などの接続機材が抵抗になって、思ったような回転数にならないことも。
水流が弱いと感じるときは、改めてポンプの性能があっているかを計算し直してみることをおすすめします。
騒音・動作音が気になる
ろ過槽への落水音や循環ポンプの騒音・動作音が気になるというのも、オーバーフロー水槽でありがちなお悩みです。
まず水槽台内部に響く落水音は、水槽台の内側に防音シートを貼り付けることで手軽に対策ができます。
続いて循環ポンプの動作音ですが、こちらは主に動作時の振動が原因なため、機材の下に防振パッドを敷くのがおすすめです。ハイパワーな機種ほど音も大きくなりがちなので、設置時に対策をしておくと快適な環境を維持しやすくなります。
ウミケムシなど害虫の混入
オーバーフロー式の海水魚水槽の中でも、大量のライブロックを使って水質の維持を図るベルリン式を採用した水槽では、ウミケムシなどの害虫が発生しやすいです。
害虫は意図せず水槽に混入してしまう生き物のことで、マリンアクアリウムでは、
- ウミケムシ
- カーリー
- ヒトデ
などの生物がライブロックに紛れて水槽に入り込みます。
ウミケムシは、水槽内の生き物に害を与えることこそないものの、見た目に嫌悪感を抱く人が多く鑑賞の妨げになるため、気になる場合は取り除きましょう。
ウミケムシの発生を防ぐには、ライブロックを水槽に入れる前にキュアリングするか、もしくは、キュアリング済みのライブロックが販売されていますのでそちらを使用するのが良いです。
一方で、カーリー(セイタカイソギンチャク)やヒトデは魚やサンゴに有害なので、見つけ次第駆除してください。
カーリーはペパーミントシュリンプが好んで食べる習性がありますので、水槽の容量に余裕があるときはこうした駆除生体を導入するのも方法です。
まとめ:オーバーフロー水槽のろ過能力を維持する方法!海水水槽設置後の運用法
今回は、海水魚を飼育するオーバーフロー水槽のろ過能力を維持する方法と、設置後の運用ポイントをご紹介しました。
オーバーフロー水槽の魅力はろ過能力の高さにあります。
この長所を最大限に生かしながら運用していくには、足し水をして水量を維持したり、早めにウールマットを交換したりといった、基本の積み重ねがとても大切です。
そのうえで、ろ過槽の掃除や循環ポンプの状態確認を定期的に行うと、ろ過能力を維持しやすくなるでしょう。
ハイスペックなオーバーフロー水槽の能力を最大限発揮できるよう、メンテナンスや管理を徹底しましょう。
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