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飼育機材の開発や飼育技術の確立が進んだことで、最近は家庭でもサンゴの飼育を楽しめるようになりました。
中でも人気が高まっているのがハードコーラルです。ソフトコーラルよりも繊細で飼育が難しいハードコーラルは、技術の進歩により飼育が可能となった生き物の一つで、サンゴらしいしっかりした骨格と鮮やかな色合いが特徴的。
特にオーストラリア原産のスコリミアは、人の目を引き付ける派手な配色と存在感のある大きさ、希少性の高さからマリンアクアリウムの憧れと言っても過言ではありません。
今回のコラムでは、ハードコーラルの中でも特に希少で美しい、スコリミアの特徴と飼育環境についてご紹介します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにスコリミアの特徴や飼育環境を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
スコリミアはLPSの中でも特に人気の美しいサンゴです。
比較的飼育がしやすい部類ではありますが、水質の維持や照明の当て方などには注意が必要なため、ポイントを押さえて飼育に挑戦しましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、スコリミアの特徴や飼育環境を解説します。
スコリミアとは
スコリミアは、オーストリアを原産とする大型のLPSハードコーラルです。
日本の愛好家の間では”スコリ”、海外ではその形状から”ドーナツコーラル”という名でも親しまれています。
ここでは、息をのむような美しい色合いと独特の形状、大型種特有の存在感から特に人気があるスコリミアの特徴や魅力をご紹介します。
スコリミアは単体性LPSサンゴ
スコリミアはハードコーラルの中でも、ポリプ(口や触手がある筒状の部分)が一つで大きい、単体性LPSという種類に分類されます。
以下が、簡単にハードコーラルの分類と特徴をまとめたものです。
単体性 | ポリプが一つの単体で成長する。どっしりとしていて一つでも存在感がある |
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群体性 | 分裂してポリプのクローンを作りながら成長する。たくさんのサンゴが集まったサンゴ礁のようなレイアウトに最適 |
LPS | 大きなポリプを持つサンゴの総称で、栄養を吸収しやすく比較的飼育が容易 |
SPS | ポリプが小さいサンゴで、アクアリウムでは主にミドリイシのことを指す。飼育の難易度が高い |
単体性LPSに分類されるスコリミアは、キノコの傘のような円盤状のフォルムが特徴的で、水槽に一つ入れるだけでもかなり見応えがあります。
また、ハードコーラルの中では飼育難易度が低めなのもおすすめポイント。
水質の変化にもある程度耐えられる丈夫さがあり、適切な環境を整えて維持できれば美しい状態をキープしやすいです。
「美しさ」と「飼育しやすさ」を兼ね備えたバランスの良さが、スコリミアの大きな魅力となっています。
カラーバリエーションが豊富
スコリミアは個体ごとに色彩の入り方が大きく異なる、まさに唯一無二の美しさを備えたサンゴです。
カラーバリエーションがかなり豊富で、赤・オレンジ・緑などをベースに他色の柄が入ります。中には”レインボー”と呼ばれる複数の色が入り混じった個体も存在しており、コレクション性が高いです。
また、多くの個体は蛍光色素を含んでいるため、青い光を受けるとひときわ鮮やかに発色する点も魅力で、深海のような幻想的なレイアウトに良くマッチするでしょう。
希少性が高くて高価なサンゴ
スコリミアは元々オーストラリアの固有種であり、流通している個体のほとんどは現地で採取した野生のサンゴです。
採取する際には厳しい規制が設けられているため流通量が極端に少なく、希少性の高さから高額になりやすい傾向があります。
また、1年で1mmほどと成長が非常に遅く単体性で増殖が難しい点や、色合いに個体差が大きい点も価格が上がる要因です。
さらに近年は、愛好家が増えて需要が高まりを見せていることから、スコリミアの価格はこれからも上昇することが予想されるでしょう。
先程ご紹介した通りスコリミアは飼育がしやすい品種ですが、このような流通事情から、サンゴの飼育に慣れていない初心者の方にはハードルが高い品種となっています。
スコリミアの飼育に必要な機材と飼育方法
ここからは、スコリミアの飼育方法について具体的に解説します。
スコリミアの飼育では、硝酸塩を減らし水質をできるだけきれいに維持することが重要です。
また、ハードコーラルはカルシウムを多く消費するため、水中にカルシウムを補給できる仕組みを整えましょう。
水槽はオーバーフロー一択!
水槽はろ過能力の高いオーバーフロー式が最適です。
水槽サイズは飼育数や海水魚の有無などで異なりますが、水量が多い大きな水槽ほど環境が安定します。
サンゴの種類よってはしっかり水流を当てるために、ろ過フィルターとは別に水流ポンプを使用することがありますが、スコリミアは強すぎる水流がやや苦手なため、フィルターが起こす水流で十分に飼育が可能です。
もし、水流ポンプを設置する場合はスコリミアに水流が直接あたり過ぎないよう、位置を調整しましょう。
ポリプが大きく揺れない程度の水流が目安です。
サンゴ育成用ライトを設置しよう
健康的で美しいサンゴの育成には照明が必須です。
ただ、スコリミアは光が強すぎると強光障害を起こして、ポリプが開かなくなったり色落ちしたりといった不調に陥ってしまう危険があるため、照明の選定には注意してください。
一番安全で確実なのは、サンゴ育成に特化した専用のライトです。
『レッドシー Reef LED』はサンゴの光合成にぴったりな強度・スペクトルを備えたLEDライトで、光を効果的に分散できるので、スコリミアの健康を守る優しい環境を構築できます。
餌はサンゴフードを与えよう
スコリミアの餌はサンゴフードが中心です。週に1~2回程度の頻度で定期的に給餌をしましょう。
瘦せている個体には液体のサンゴフードから与え始め、状態が回復してきたら直接与えられる『バイタリス LPS ペレット』などの固体フードに切り替えるのがおすすめです。
カルシウムリアクターや添加剤を活用しよう
ハードコーラルであるスコリミアは、健康を維持するのにたくさんのカルシウムを消費します。
放っておくと水中の必要な成分が枯渇して調子を崩してしまいますので、適宜補給をしましょう。
まず、人工海水はミネラル分が豊富なリーフ用のものを使用します。さらに添加剤を使ってカルシウムを強化しましょう。
設備面で余裕があれば、カルシウムリアクターを設置して水中にカルシウムを供給するのも良い方法です。
プロテインスキマーやRO浄水器で水質を維持しよう
水質の維持には、プロテインスキマーやRO浄水器などの補助的機材を設置するのが効果的です
特にプロテインスキマーは、サンゴ類の飼育では必須と言っても過言ではないほど重要な機材。活用することで飼育管理がかなり楽になります。
また、水道水に含まれる不純物を取り除き純水を作ることができるRO浄水器は、生体に合わせた理想的な人工海水を用意したいときにあると便利です。
サンゴの調子を整えるのはもちろん、コケの原因を排除して安定した水質を長期的にキープできます。
サンゴは水質が少し悪化するだけでも調子を崩して感染症にかかることがある、とても繊細な生き物です。
もし縮むなどの不調に繋がる症状が見られたときは『コーラルクリーナーリバイブ』などを使って早急に治療をしましょう。
スコリミアの飼育ポイント
希少で高価なスコリミアを購入するなら、その美しさを長期的に維持したいものです。
ここからは、スコリミアの基本的な飼育環境や、美しさを維持するポイントについて解説します。
水質と水温について
スコリミアが好む水質はpH8.0前後、海水の比重は少し重めの1.025程度と、LPSを飼育する基本的な環境が維持できれば問題ありません。
ハードコーラルであることから、カルシウムを始めとしたミネラル成分の減少にはご注意ください。
水質の変化には比較的寛容ですが、硝酸塩やリン酸塩が溜まるとpHの急変に繋がるため、定期的に水換えをして水質を維持しましょう。
pHが低下しやすいときはKH(炭酸塩硬度)の値も確認してみることをおすすめします。
また、水温は25℃前後が最適です。適温から大きくずれたり急変したりすると、白化や縮んでしまうといった不調を起こす可能性があるため、水槽用ヒーターやクーラーを使って水温管理を徹底しましょう。
美しい発色を維持するコツ
スコリミアの特徴的な発色をより良くするには、照明とコンディショナーで色揚げをするのが良いです。
サンゴ育成用のライトには、サンゴの発色を良くするほか色をきれいに見せる色調も含まれているので、状態を良くしたいときにも積極的に活用していきましょう。
また、コンディショナーならばアミノ酸が含まれた『レッドシー リーフエナジー』などが効果的。
スポイトで直接吹き掛けることで、ポリプを刺激して健全な成長と色揚げを促進します。
ただし、栄養塩が過剰になると色が褐色化してしまうことがあるため添加のし過ぎには注意が必要です。
特にリン酸は、サンゴの養分であると同時にコケの繁殖を招くなどデメリットも目立つ成分のため、高くなり過ぎないよう水質管理を同時に行います。
スコリミアとの混泳に注意が必要な魚種
スコリミアは海水魚と一緒に飼育ができるサンゴですが、すべての生き物と混泳できるわけではありません。
まず、大型のヤッコ類やチョウチョウウオなどのサンゴを食害する傾向がある生き物との混泳は避けましょう。
ポリプを食べられてスコリミアが弱ってしまう可能性があります。
また、ベラなどの活発な魚はサンゴ用の餌を奪ってしまうことがあるため、サンゴに餌が行き届いているかをよく確認してください。
砂を掘り返す習性のある生き物と混泳する際は、魚が巻き上げた砂がポリプに掛かるとスコリミアのストレスになりますので、砂がかかりづらいライブロックの上などに配置してあげるといった工夫をするのがおすすめです。
他種のサンゴとの混泳とレイアウトについて
実はスコリミアは触手に強い毒性を持っています。
自ら他のサンゴに攻撃するようなことは滅多にありませんが、ふとした拍子にスコリミアの触手が当たってしまうと、相手のサンゴにダメージを与えてしまうことも。
このような危険を避けるため、スコリミアを配置するときは周りと十分な間隔を空けてレイアウトすることが重要です。
特に長い触手を持つハナガタサンゴなどのLPSとは距離を保つようにしましょう。
また、レイアウトする際にはコーラルグルーを使ってライブロックを安定させると、転倒や接触事故を防ぐことができます。
まとめ:スコリミアとは!希少で美しいハードコーラル!特徴や飼育環境を紹介
スコリミアは豊富なカラーバリエーションと丸くふくよかなフォルムが特徴的な、オーストラリア原産の単体性ハードコーラルです。
希少で高価なサンゴでありながら、飼育難易度が控えめなことから高い人気を誇ります。
飼育する際は、オーバーフロー水槽にプロテインスキマーやカルシウムリアクター、サンゴ育成用ライトを設置して、適切な環境を作りましょう。
強い水流や水温の急変で調子を崩してしまうため、ストレスの原因となるものを取り除くことが大切です。
また、リーフ用の人工海水を使用したり、アミノ酸を含んだコンディショナーやカルシウム添加剤などを添加したりすると、美しい状態を維持しやすくなります。
スコリミアは基本的なサンゴ飼育設備とノウハウがあれば、飼育しやすいハードコーラルです。
高価で入手が難しい品種ですが、海水魚飼育に慣れてきたらぜひ飼育に挑戦してみてください。
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