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ウミウシは美しい色彩と不思議な生態を持つ魅力的な海洋生物です。
しかし、その飼育は容易ではなく、高度な知識と経験が必要とされています。
特に、水質の管理と餌の確保が難関で、海水魚の飼育に慣れている方でもハードルを感じるほどです。
このコラムではウミウシを飼育するには、どんな設備があれば可能なのか?を詳しく解説していきます。
ウミウシの生態や種類、飼育水槽や餌の確保など、飼育する上での課題などについても紹介しましょう。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにウミウシについてを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
ウミウシは自宅で飼育できる生き物の中でも非常にハードルが高い種類の一つです。
しかし、飼育できないわけではなく、実際に自宅でウミウシを愛好している飼育者の方もいます。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、ウミウシの飼育についてを解説します。
ウミウシとは
ウミウシはユニークでカラフル、そしてゆっくりとした動きが可愛らしい海の生き物です。
貝殻を持たなくなった巻貝の仲間で、軟体動物に分類されています。
ウミウシは世界中に3000種類以上が存在し、日本国内でも400種類ほど確認されています。
まずはウミウシの種類ごとの特徴を紹介しましょう。
ウミウシの主な種類と特徴と種類
ウミウシはその外見の特徴から、8種類に分けられています。
- 裸鰓(らさい)目ドーリス類:種類が最も豊富で華やかなウミウシ。一番人気。
- 裸鰓目ミノウミウシ類:無数の突起が特徴のウミウシ
- 裸鰓目タテジマウミウシ類:背中にひだがあるウミウシ
- 裸鰓目スギノハウミウシ類:長くユニークな突起を持つウミウシ
- 頭楯(とうじゅん)類:貝殻の名残を持つウミウシ
- 嚢舌(のうぜつ)類:多様な姿を持つウミウシ
- 背楯(はいじゅん)類:砂の中に潜むことがあるウミウシ
- アメフラシ類:いわゆるアメフラシの仲間
ウミウシは美しい色彩やユニークな形状から人気があり、多くのダイバーや海洋愛好家に愛されています。
以下に、日本の海でよく見られたり、人気のあるウミウシの種類をいくつか紹介します。
アオウミウシ | ブルーの体色とイエローの模様、オレンジの触角が特徴。体長約5cm前後で肉食性。日本で最もポピュラーな種類。 |
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シロウミウシ | 白い体色と黄色い縁どりと触角、黒い斑点模様が特徴。体長約4~7cmほどで日本近海でもよく見られる一種。 |
サクラウミウシ | 薄いピンクに見える半透明の体色と無数の突起が特徴で、体長約4cmほど。日本でよくで見られる。 |
ニシキウミウシ | 大きくて鮮やかな赤や黄色の模様を持つウミウシで、特に活動的な姿が魅力的。伊豆などにも生息している。 |
フリソデミドリガイ | 透明感のある緑色で「葉っぱウミウシ」とも呼ばれ、細長い突起がある小さなウミウシ。西太平洋やつう部太平洋に棲んでいる。 |
オトヒメウミウシ | 薄黄色の体色と紫~青の縁どり、そして紫の斑点模様が美しく人気。インド洋や西太平洋など温かい海に棲んでいる。 |
ピカチュウウミウシ(ウデフリツノザヤウミウシ) | 黄色い体色と黒~青の縁どりから人気キャラクターそっくりと言われ人気。インド洋やメキシコ湾など温かい海で見られる。 |
小型のものから手のひらサイズまで様々で、形状もバラエティに富んでいます。中には触手やひれのような突起をもつ変わった姿の種類もいます。
ウミウシの生態・寿命
ウミウシは主に浅い海域に生息しており、生態は種類によって大きく異なります。
肉食性のウミウシはホヤやウニ、小エビなどを捕食し、草食性のウミウシは海藻などの植物プランクトンを食べますが、光合成を行う種類がいるなど多種多様です。
そんなウミウシですが、多くは単為生殖を行うことができ、幼生は変態を経て成体になるなどミステリアスです。
海水温の変化に弱く、デリケートな生き物でもあると言えるでしょう。
その反面、切断されても再生するなど驚異の生命力を持っており、研究が進められています。
ウミウシの飼育環境について
ウミウシは個人でも飼育することができます。
しかしウミウシを飼育するのは、実際のところなかなかに難易度が高いです。
水質管理や水温調整、餌の確保など、できるだけウミウシに向いた専用の環境を作ることが要求されます。
ウミウシの飼育水槽と水質管理
水槽のサイズは、最低でも30cm以上の水槽が望ましいです。
ウミウシは比較的低い水温を好みます。20~24℃が理想的な水温とされており、一年を通して水槽用クーラーと水槽用ヒーターを使用して保温する必要があります。
ウミウシは海水魚よりもさらにきれいな水質を好むため、飼育難易度はかなり高く、専用の機材が必要です。
- 海水魚が飼育できる水槽設備(オーバーフロー水槽など)
- プロテインスキマー
- 水槽用クーラー、ヒーター
- 質の良いライブロック
- サンゴ用の人工海水
- 無脊椎動物用のコンディショナー
ウミウシが生きられる水質を維持するために、有機的な汚れを集めてくれる『プロテインスキマー』を必ず使用しましょう。
また、こまめな換水は欠かせない作業です。
また、ウミウシは比較的強い水流を好みますので、水槽サイズに合わせた『水流ポンプ』を装着するのも良いでしょう。
底砂はサンゴ砂を控えめに入れ、質の良いライブロックを配置することでウミウシが好む環境を再現できます。
この”質の良い”というのがポイントで、ウミウシはライブロックに生える海藻なども食べますし、清浄な水質を好むため、バクテリアが良く棲みついているものが最適です。
ライブロックはウミウシ飼育の必須アイテム!
ウミウシは野生ではライブロックの上で生活するので、ウミウシ飼育とは切り離せないアイテムでしょう。
一見、普通の岩に見えるライブロックですがその名の通りに「生きている岩」です。
もともと、サンゴの死骸なのですが、非常に多孔質のためバクテリアや小さな甲殻類など、多様な生き物が住み着いている集合体、と言っても良い存在で、水槽内に入れることでより自然に近いきれいな水質を作り出すことができます。
しかし、生きているだけに、環境が合わないとライブロックは「死んで」しまいます。
この状態を『デスロック』と呼び、黒く変色していくので、鮮やかなライブロックとは目視でも違いが判るでしょう。
ライブロックには適切な水流を当てることで酸素や栄養が運ばれ、ライブロックに棲みついている多様な生き物たちが活発に活動できるようになります。
赤紫色の『石灰藻』がついているライブロックは鮮度が良いと言われており、良質なものを選ぶ際の目安にすると良いです。
ウミウシに最適な照明
ウミウシは浅い海に生息しているので、比較的明るい照明を好みます。
しかし、強すぎる照明は苦手です。自然な明るさを再現するのがよいでしょう。
また、岩の隙間など、ウミウシが隠れられる場所を確保することも大切です。
ウミウシは混泳に向かない
ウミウシは魚との混泳には向かない生き物です。
同種同士の混泳は不可能ではありませんが、混泳させると食い合いの危険があります。
また、捕食性の強いエビやカニ、食性の雑食性の強い魚にとっては格好の餌になりますし、ウミウシはそもそも非常にデリケートな生き物なので、縄張り争いの激しい魚との混泳も避けましょう。
ウミウシの餌について!飼育の難関
ウミウシ飼育最大の難関は『給餌』です。
ウミウシは基本的に人工飼料を一切食べません。
また、ウミウシは食性が様々で、専食性の種類は特定の餌しか食べないです。例えば、ヒカリウミウシは、オキアミを好んで食べますが、メリベウミウシはエビの一種のブラインシュリンプを餌とし、カイメンを食べる種類もいます。
餌となる生物は市販で手に入らない場合が多く、海で収集する必要もでてきます。しかし、収集する際は生態系への影響に気を付け、乱獲は避けなければなりません。
冷凍オキアミなどの市販品で飼育できる広食性(複数の餌を食べる種類)のウミウシを選ぶのも一つの方法です。
また、いろいろな餌を試しに与えるのも、ウミウシの食性の研究に繋がります。
肉食性ウミウシの餌
市販の冷凍エサも利用できますが、新鮮な生餌を与えるのが理想的です。
生餌は海で採取するか、状態のいいライブロックを導入することで確保することになります。
餌の与え方は、種類によって異なります。ホヤやウニは水槽に入れて、ウミウシに見つけさせます。
カイメンは直接ウミウシの前に置くと、自然と食べ始めるでしょう。
草食性ウミウシの餌
ほぼ、ライブロックに自然発生するような海藻などを食べるので、肉食性のウミウシよりも給餌ハードルは高いと言えます。
ライブロックは微生物やコケムシの宝庫なので、必ず水槽に設置しましょう。
また、ケイソウなどの植物性プランクトンを与えることで、栄養を補給できると言われています。
ウミウシは長期飼育例もある
ここまでで、「ウミウシの飼育は難しすぎる」という感想を持つ方がほとんどでしょう。
実際に、餌の問題などからもかなり難易度が高い生き物です。
しかしその一方で、ウミウシの幼生から飼育に成功した例もあります。
幼生の段階から無事に成長させることは非常に難しいとされていますが、こまめな水質管理と適切な給餌がポイントのようです。
飼育者がウミウシを自然の海で観察する機会が多かったことで、海での生態を深く知っていたことも、成功の要因でしょう。
こうした研究者・愛好家の努力が、ウミウシ飼育の発展に寄与しているのです。
まとめ:ウミウシの飼育について!自宅で飼育できるのか?種類や飼育環境を解説
ウミウシは美しさと不思議な生態から人々を魅了しますが、飼育は非常に高度な技術が必要です。
餌の確保や水質管理、混泳の工夫など、さまざまな課題に取り組む必要があります。
しかし、研究者や愛好家の飼育事例を見ると、適切な環境を整えれば長期飼育も可能だということがわかります。
ウミウシはたいへんユニークな生き物なので、その魅力に一度でも触れてみることをお勧めします。
特に水族館などでウミウシを見かける機会があれば、是非立ち寄って海の妖精の姿を堪能してみてください。
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