水泡眼とは!特徴から飼育ポイント、病気や水泡の破れ・症状まで解説
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金魚には多様な品種がいますが、特にユニークな外見で目を惹くのが『水泡眼(スイホウガン)』です。
中国から輸入されてきた品種で、目の下に特徴的な水泡が形成されており、泳ぐたびにふわふわと揺れる様子が観察できます。
一目見たら忘れられないインパクトとかわいさを持つため外国産金魚のなかでも高い人気を誇ります。
ここでは水泡眼の特徴、飼育ポイント、品種、病気や水泡の症状についてを解説していきます。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに水泡眼について解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水泡眼は、目つきが可愛い金魚の一品種です。
目の下についた水泡は観賞者に大きな印象を残すため、展示イベントなどでも採用されることがあります。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、水泡眼の飼い方ポイントについて解説します。
水泡眼とは
水泡眼は、1950年代に輸入されてきた中国原産の金魚です。
長い間、中国の宮廷などに保護されていたため作出過程や交配種は秘密とされており、はっきりとしたことは分からないなどミステリアスな側面を持ちます。
水泡眼の特徴や、『水泡』についてご紹介します。
水泡眼の特徴
目の下に大きな水泡があり、出目金の体型に背びれのない姿をしています。
体型だけ見れば少しスリムな『らんちゅう』のようですが、出目金を品種改良して作出されたと言われています。体色は朱色や更紗、黒、キャリコ(3色)です。
背びれのある個体は『セルフィン水泡眼』として流通しています。
日本国内で養殖された個体も流通していますが数が少なく、ほとんどが中国からの輸入個体です。
そのため、やや環境の変化に弱い傾向があります。
輸送中に粘膜(ぬめり)が薄くなる・日本の水質に慣れていないなどの理由がありますので、基本的には1つの水槽で多数匹を泳がせるのではなく1~3匹程度での飼育がおすすめです。
また、衝突で水泡が破れることがあるため、その点には注意しながら管理しましょう。
水泡について
一番に関心を集めるのは、やはり目の下の『水泡』です。これは、目の角膜を肥大させたもので、中はリンパ液で満たされています。
水泡眼を品種として固定した方法は現在でも明かされていませんが、出目金の目の形質を大きく受け継いでいると言えるでしょう。
水泡は見た目の通りに柔らかく、大変デリケートなため、飼育難易度は高めの品種と位置付けられることが多いです。
しかし、後述しますが水泡は破れても、飼育環境が良ければ再生します。
レイアウトアイテムや他の金魚に衝突すると破れてしまうことがあるため、水泡眼の飼育ではシンプルな飼育環境を心掛けましょう。
水泡眼の飼育に必要な物とポイント
水泡眼は下記の設備で飼育できます。
- 浅めの水槽やトロ舟
- 投げ込み式フィルターやスポンジフィルター
- 沈下性の餌
- カルキ抜き
金魚飼育の基本的な設備があれば問題なく飼育できますが、泳ぎが苦手なため、穏やかな環境づくりが大切です。
上記のなかでも水泡眼の飼育に特に必要な水槽・ろ過フィルター・餌についてと、飼育ポイントや底砂利の必要性についてを解説していきます。
水泡眼の飼育水槽、容器
水泡眼は泳ぎが苦手です。
高さのある水槽だと、餌を食べることに体力を使いがちなため、浅めのらんちゅう水槽などでの飼育が向いています。
複数飼育を行う場合は、成長すると15cmほどにまで育つことと、衝突の可能性が高まることから、十分な広さを持つ60cm水槽が望ましいです。
また、水泡眼は上からの鑑賞を楽しめる品種でもありますので、水槽ではなく『トロ舟』での飼育にも向いています。
トロ舟は高さが約20~25cmほどの製品が多いですし、軽量で、水量も十分に確保できるためおすすめです。
尚、飼育水作りに使う『カルキ抜き剤』は淡水用ならどの製品でも問題ありません。
コスパの良い固型タイプもおすすめです。
ポイント:飼育匹数の目安
飼育目安は45cm水槽なら1匹、60cm水槽なら2匹です。
水泡や体長が大きくなれば怪我をする可能性も高まるため、危うさを感じるサイズになったら単独飼育にしましょう。
水泡眼に使えるろ過フィルター
水泡眼は水流に弱いです。水泡部分は水の抵抗を受けますし、ヒレも小さめで、視界もあまり良くありません。
ろ過フィルターは水流が穏やかで、酸素供給が得意なタイプがおすすめです。
- 投げ込み式フィルター
- スポンジフィルター
が特に向いています。
しかしすべての金魚に共通しますが、フンが大きくて多いので水を汚しやすいです。
投げ込み式とスポンジフィルターを併用して飼育する愛好者もいます。
この2タイプは他のろ過フィルターが利用できないトロ舟でも使用できます。
ポイント:水質管理の考え方
水泡眼は新しい水を好む品種ですので、水換えはこまめに行い水質を管理します。その際にメンテナンスが簡単なろ過フィルターなら、管理性が向上します。
メンテナンスが楽=汚れを水槽内に溜めにくいというメリットがあるため、そういった意味でも取り扱いが簡単な投げ込み式とスポンジフィルターは、水泡眼飼育に向いています。
水泡眼の餌と底砂利について
水泡眼には沈下性の餌を与えましょう。
このほかにも冷凍赤虫など、金魚の餌ならば何でも食べますが、消化不良にかかるリスクを減らすため、消化が良いタイプがおすすめです。
水泡がふわふわとするため、餌を食べるのはあまり得意ではありません。
そのため、餌は目の前に落としてやるようにします。
また、底に餌が沈んでも発見しやすいように、底砂を敷かない『ベアタンク』で飼育することもあります。
ポイント:底砂利は必要か?
水泡眼の飼育では、底砂利は敷けますが必須ではありません。
「金魚は底砂利がある方が落ち着く」というのは定説ですし本当です。
しかし、品種や個体によっては、ベアタンクで管理したほうが健康的に長生きできることがあります。
砂利が無ければ汚れの掃除がしやすいため、感染リスクを減らせるというわけです。
しかし、適切に底床掃除を行えば、敷いていても問題なく飼育可能です。また、投げ込み式フィルターは底砂利に埋め込むとろ過能力が強化されます。
必ずベアタンクで飼育しなければいけないということはなく、使用するろ過フィルターの種類や好みで底砂を敷くのが良いでしょう。
水泡眼の仲間
水泡眼と同じく中国から輸入されてきた金魚は、ピンポンパールやドラゴンスケールらんちゅうなど、顔立ちや形質にユニークな特徴がある品種ばかりです。
中国原産金魚のなかでも、水泡眼に似ている2種をご紹介します。
頂天眼(ちょうてんがん)
水泡眼と同時代に作出されたと言われている品種です。
瞳が上部に寄っており、視界が天を向いていることが名前の由来とされています。
水泡眼と同じく、作出などは秘密とされている金魚ですが日本でも購入可能です。
蝶尾(ちょうび)
豊かに広がる尾ビレを持つ品種です。
出目金の顔立ちと、蝶のような尾ビレを持っており、上見からの鑑賞性が高い金魚として愛好されています。
こちらも作出については秘密ですが、国内でブリードした個体も増えており、日本人好みの個体も多いです。
水泡眼の病気について
水泡眼は水質悪化に弱く、金魚のなかでは比較的病気にかかりやすい品種です。
そのため、「新しい水を好む」と言われるように、こまめな水換えで病気を予防しながら飼育しましょう。
金魚がかかりやすい病気
金魚がかかりやすい病気は下記の通りです。
- 尾ぐされ病
- 白点病
- エラ病
- 赤斑病
- 水カビ病
- 穴あき病(細菌感染症)
- 松かさ病 など
これらは水質悪化などで金魚の免疫力が低下したり、外部から持ち込むことで発症します。
水換えは週1回などペースを決めて行い、新しい金魚を追加する場合は必ずトリートメント期間を設けましょう。
金魚の病気治療についてはこちらのコラムをご覧ください。
水泡の変色・破れ
水泡眼の特徴である水泡の色が変わってしまうことがあります。
多くのケースで、体の不調が水泡に出ていると考えられます。
- 白く濁った:細菌系の感染症
- 赤くなった:赤斑病(エロモナス菌感染)
- 黒くなった:黒い色素が水泡部分に表れた
このように、主な原因は細菌感染症です。
色揚げが水泡部分にも起こることがあるため、黒くなった場合は様子を見ましょう。
また、水泡が物理的に破れることがあります。
他の金魚に突っつかれたり、レイアウト物に衝突したりすることが原因です。
破れた水泡は金魚の自然治癒力で回復していくことが多いです。
しかし、細菌に感染することもあるため、グリーンFゴールド顆粒などで薬浴を行い感染症を防ぎます。
薬浴後は飼育環境を清潔に維持しながら、回復させていきましょう。
まとめ:水泡眼とは!特徴から飼育ポイント、病気や水泡の破れ・症状まで解説
水泡眼はユニークな見た目の可愛らしい金魚です。
水槽飼育だけでなく、トロ舟やタライなどの容器でも抜群の鑑賞性を持ちます。
もし水泡が破れてしまっても、焦らず処置を行いましょう。
中国原産の金魚は、パールスケールやドラゴンスケールなど一目見たら忘れられないインパクトがあります。
ショップなどで見かけることがありましたら、ぜひ観察してみてください。
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