熱帯魚の稚魚を放置したらどうなる!隔離しないで育てるポイントを紹介
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熱帯魚を飼育する中で、稚魚が生まれた瞬間というのは本当に喜ばしいものです。
しかし、意図せず稚魚が生まれてしまった場合、喜びよりも先に不安を感じてしまうかもしれません。
「稚魚が生まれたけど隔離する場所がない!」「気が付いたら稚魚が生まれてたけどどうしよう」と慌ててしまった経験がある方もいるのではないでしょうか。
基本的に、稚魚が生まれたら別水槽やサテライトなどに隔離して、稚魚だけの専用の環境を用意してあげるのが望ましいです。ただ、状況によって隔離ができなかった場合は、やむ負えずそのまま成魚と一緒に本水槽で飼育を続けることになります。
そこで今回は、熱帯魚の稚魚を本水槽に放置したらどうなるのかを解説します。
隔離しないで育てるポイントや、隔離しなくても育てやすい魚種も合わせてご紹介しますので、参考にしてください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに稚魚を放置したらどうなるのかを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
熱帯魚の稚魚が生まれたら、隔離水槽を用意して成魚とは別に育てていくのがセオリーです。
しかし、設置場所が用意出来なかったり準備が間に合わなかったりして、やむ負えず本水槽に放置するしかないこともあるでしょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、稚魚を放置したらどうなるのかを解説します。
稚魚が生まれた!放置は危険?
稚魚が生まれたら隔離するように推奨されているのは、たくさんの成魚が泳ぐ水槽の中は稚魚が生きていく上での障害が多く、うまく育たない可能性があるからです。
ここではまず、稚魚を水槽の中に放置するとどのようなリスクがあるのかを解説します。
成魚に食べられる
小さな稚魚を放置しておくと、成魚に食べられてしまう危険が高いです。
アクアリウムで飼育する魚の多くは雑食性で、本能的に口に入る大きさの動くものを捕食してしまう習性があります。それは稚魚も例外ではなく、遊泳力の低い稚魚はすぐに食べられてしまう可能性が高いのです。
もし、飼育数の関係などで自然淘汰を狙うのならば、放置して成魚に食べて数を減らしてもらうのも一つの方法ですが、稚魚を育てたいときは、やはり隔離してあげたほうが安全に飼育を続けることができるでしょう。
ろ過フィルターに吸い込まれる
ろ過フィルターの種類によっては、稚魚がろ過フィルターに吸い込まれてしまう事故が起こる可能性があります。
特に外部式フィルターや上部フィルター、オーバーフロー式などの水流が強めのフィルターは稚魚が巻き込まれやすいです。
吸い込まれてしまうと、運がよければろ過槽の中で生き延びていることもありますが大抵は助からないため、しっかり対策をして事故を防ぎましょう。
外部式や上部式は、給水口にスポンジストレーナーを付けるだけでも安全性が高まります。
オーバーフロー水槽では有効な対策がないため、可能ならば一時的にスポンジフィルターなどの稚魚に優しいフィルターに変えるか、水槽内にサテライトなどを設置して隔離するといった方法をを検討してください。
過密になってしまう
稚魚が無事に成長したとしても、今度は生体の数が増え過ぎて水槽の過密状態が問題になることも。
元々の飼育数に余裕があるならば問題ありませんが、多めに飼育していた場合は稚魚の数が増えることで水槽内のバランスが崩れて水質が不安定になったり、遊泳スペースが減って魚がストレスを抱えてしまったりといった危険があります。
特に30cm以下の小型水槽は、水量が限られているため、生体の数が水質に影響しやすいです。
そのため、水槽内が窮屈そうだったり水が汚れやすくなったりといった異変を感じたら、水槽を分けるか水槽のサイズアップを検討してみてください。
無理に飼育を続けると、体が弱い若い稚魚が死んでしまう可能性が高いです。
放置しても育つ可能性がある魚種
魚種に限らず稚魚は、成魚に比べて繊細で命を落としてしまいやすいですが、中には本水槽で放置していても一定数生き残る可能性がある丈夫な魚種もいます。
ここでは、放置していても育ちやすい魚種をご紹介します。
水槽を増やすことはできないけれど繁殖をしてみたい、自然に増えていく姿を観察したいという方は、ご紹介する魚種の中から選ぶのがおすすめです。
グッピー
卵胎生メダカの仲間であるグッピーの稚魚は、ある程度の遊泳力を備えた状態で生まれてくるため、ほかの魚種に生存率が高いです。
成魚から逃げることができるのはもちろん、自分で餌を探して食べられるという点も大きなポイントで、自ら力を蓄えていける逞しさがあります。
また、グッピーを飼育している環境には水草が豊富に配置されていることが多く、これが稚魚にとって良い隠れ場所となります。
プラティ
プラティもグッピーと同じく卵胎生メダカの仲間なので、隔離をせずとも自力で逃げ隠れしながら生き延びられる可能性が高いです。
プラティの稚魚は特に逃げるのが上手で、水草の陰や隙間にひっそりと隠れて成魚をやり過ごします。
また、自分で餌を捕食できるのでいつの間にか水槽内で大きくなっているということも少なくありません。
メダカ
メダカは産み付けられた卵から産まれてくるため、卵胎生メダカの仲間たちに比べると生存率はやや低め。
卵の頃から成魚に狙われやすいのですが、水草や浮き草などの隠れ場所がたくさんある水槽の中では生きのびる確率が大幅にアップします。
また、屋外のグリーンウォーターならば、さらに有利な環境です。グリーンウォーターの中には稚魚の餌となる植物プランクトンが豊富なので、無理に動かずとも餌を捕食できて、稚魚でもどんどん成長していけます。ある程度大きくなれば、成魚とも対等にやりあえる力をつけることができるでしょう。
ただ、上記のような環境が整っていないと稚魚が生き残るのは難しいため、水槽の容量を超えて増えることは少なく、次第に淘汰されることが多いです。
稚魚を隔離しないで育てるポイント
稚魚を隔離せずに水槽の中で育てるときは、隠れ家を増やしたり餌を変えたりといった工夫をすると、生存率が高くなります。
ここでは、稚魚を隔離せずに育てる上でのポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
水草や隠れ家を増やす
隔離せずに稚魚を育成するならば、まず成魚に襲われたときに隠れられる隠れ場所を十分に用意してあげることが大切です。
ベアタンクのような物の少ない環境では、成魚から逃げきれずにすぐ食べられてしまいます。
稚魚の隠れ家におすすめなのは水草や流木、レイアウトアクセサリーなどです。中でも水草は稚魚が身を寄せやすく、レイアウトとしても見栄えがするのでぜひ取り入れていきたいアイテムの一つ。
水草は、水中に酸素を供給したり水質を浄化したりといった効果が期待できるのもメリットです。
産卵床としても使われる、アナカリスやウィローモスなどの葉が細かい水草は、身を隠した稚魚を傷つける心配がない安全な隠れ家としても活躍します。
水槽サイズを大きくする
水槽をサイズアップするのも有効な対策です。
飼育スペースが狭い環境では、成魚と稚魚がバッティングしやすく、逃げる場所が限られるため、稚魚の生存率が下がってしまいがち。
そこで、水槽を大きくすれば遊泳スペースが増えて逃げやすくなりますし隠れ家となるレイアウトも増やせます。
また、稚魚が成長した時に過密飼育を防げるのも大きなメリットです。
過密飼育は水質が悪くなりやすい上に魚にストレスがかかるため、病気や体調不良を引き起こす危険があります。
特に体の弱い稚魚は、過密飼育の負担に耐えられず命を落としてしまうことが多いため、稚魚が生まれたら早めに水槽のサイズアップを検討しましょう。
ちなみに、過密飼育による水質の悪化は、ろ過フィルターのパワーを上げることでもある程度予防ができます。
稚魚用の餌を与える
成魚と同じ水槽で稚魚を飼育する場合でも、稚魚には稚魚専用の小さな餌を与えましょう。
成魚と餌を共通にしてしまうと、口が小さな稚魚はうまく食捕食できずに餓死してしまう可能性が高いです。
稚魚用の粒が小さく栄養価が高い餌をしっかり食べさせることで、生存率を大きく向上させることができます。
稚魚におすすめの餌は、パウダー状の人工餌やミジンコ、ブラインシュリンプなどの活餌です。
特に活餌は稚魚が成長するために必要な栄養が豊富に含まれた完全食で、食べさせると成長が促進されて、育成が難しいごく小さな期間を早く抜け出せますので、積極的に与えていきましょう。
ただし、これらの餌は当然、成魚も食べることができるため、できるだけ稚魚に向けて餌を与え、しっかり捕食できているか、成魚に横取りされていないかを確認するようにしてください。
また、小さな餌とはいえ食べ残しは水質の悪化につながりますので、与え過ぎには注意しましょう。
まとめ:熱帯魚の稚魚を放置したらどうなる!隔離しないで育てるポイントを紹介
生まれた稚魚を成魚のいる水槽に放置したらどうなるのかと、水槽でそのまま育成する方法をご紹介しました。
稚魚を育成する場合、基本的には隔離水槽を用意して成魚と分けて管理した方が、確実に大きく育てることができます。
水槽内に稚魚を放置すると、成魚に食べられてしまったり、ろ過フィルターに吸い込まれてしまったりなどのリスクがあるからです。
ただ、産まれたときから比較的しっかりしている卵胎生メダカの仲間やメダカなど、一部の魚種は隔離をしなくても生き残れる可能性があります。
- 水草や隠れ家を増やす
- 水槽サイズを大きくする
- 稚魚用の餌を与える
などの対策をして、稚魚を守りましょう。
今回のコラムをぜひ、稚魚の育成にご活用ください。
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