秋に生まれたメダカを育てる方法!大きく育てるコツと冬眠の目安
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春から秋の水温が高い時期に産卵するメダカ。近年は残暑が長引く傾向にあり、秋が深まる10月に入ってもメダカの産卵が続くことがあります。
しかし、産卵した時は水温が高くても、秋は水温の変動が激しいですし、冬に向かって急激に気温が低下していくため、生まれたばかりの稚魚がちゃんと育つか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
実際、秋生まれのメダカの育成はかなり急を要します。春と同じ感覚で育成していると成長が間に合わず、冬が越せない個体が出てきてしまいますので、水温が高いうちに寒さに耐えられるぐらいの体力を付けさせましょう。
そこで今回は、秋に生まれたメダカを上手に育てる方法と、メダカの冬眠について解説をしていきます。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに秋に生まれたメダカを大きく育てるコツを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
秋に生まれたメダカの稚魚は、迫りくる冬に備えて早急に体力を付ける必要があります。
餌のやり方や育て方に気を付けながら、丈夫なメダカに育てて冬を越しましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、秋に生まれたメダカを大きく育てるコツを解説します。
メダカは秋に生まれることもある!
メダカの産卵シーズンは春~夏というイメージがありますが、実は気温が落ち着いてくる秋にも産卵することがあります。
むしろ近年は、長引く残暑の影響で秋に生まれるメダカは増加傾向です。
しかし季節が進むにつれて気温が上がる春と違い、あっという間に冬が近づいてくる秋は、孵化後の稚魚の育て方に注意しなくてはいけません。
ここでは、秋に生まれたメダカの特徴と注意点について解説します。
秋生まれのメダカとは
秋生まれのメダカとはその名の通り、暑さのピークを過ぎた9月頃以降に生まれたメダカの稚魚のことです。
そもそもメダカは、水温や日照時間などの条件が揃うと産卵する習性があるため、まだまだ気温が高い秋はもちろん、条件さえ合えば季節を問わず一年中産卵する可能性があります。
水温を一定に維持できる室内の水槽飼育ならば生まれ月が問題になることはありませんが、季節の変化とともに気温が変動する屋外飼育だと、生まれた季節が育成の重要な要素となりえるため、”秋生まれ”と区別して飼育されることが多いです。
メダカと水温の関係については、こちらの記事を参考にしてください。
秋生まれの稚魚は育ちにくい?
一般的に秋生まれの稚魚は飼育が難しいと言われることが多いのですが、これには季節に伴う気温の変化が大きく関係しています。
暖かい春から夏にかけては、日中だけでなく朝晩もそこまで激しく冷え込むようなことはありません。そのため、一日を通して大きく水温が変わるようなことがなく、メダカの活性も高いです。
一方秋は、例え残暑で昼間の気温が上がっても、朝晩は冷え込むため水温が激しく変化します。このような変化は、生まれたばかりで体力がない稚魚の大きな負担となるのです。
また、気温の低下に合わせてメダカの活動も落ち着いていくので、自然と餌の量が減り、成長しづらくなっていくのも、秋生まれのメダカが育ちづらいと言われる理由になります。
飼育環境の水温が低くなりやすい
メダカの稚魚の育成に適した水温は20~28℃程度、この水温が一番餌をよく食べて活動的になります。
この間にたっぷりと栄養を蓄えて、冬を越せるだけの体格・体力を手に入れるのが理想的なメダカの成長です。
例えば4月に生まれたメダカならば、気温が下がり出すのが9月末あたりと仮定しても、約5ヶ月間は水温が高い状態を維持できるので、十分に成長できる猶予があるでしょう。
しかし、9月生まれのメダカだと、水温が維持できるのは1ヶ月~1ヶ月半程度、冬までの準備期間はかなり短いです。
成長しきらないまま冬を向かえてしまうと、低水温が大きな負担となりますので、かなり急ピッチで育成を進めることが求められます。
低水温での給餌と冬眠問題
秋生まれのメダカにとって大きな問題となるのが冬眠です。
メダカは冬になり水温が下がると、冬眠して冬を越すのですが、これがかなり体力勝負。
成魚でさえ夏頃から体力を蓄えて11月頃までに十分太らせておかないと、越冬に失敗してしまうことがあるほどなので、秋生まれの稚魚となるとさらに大変です。
冬眠までの短い間にとにかく餌を食べさせて体力を付けなければなりませんが、メダカは気温が下がると餌の食べが悪くなるので、思うように育成が進まないことも考えられます。
いかに餌を食べさせて、どれだけ体を大きくできるかが秋生まれのメダカを育成する重要なポイントです。
秋生まれのメダカを育てるには
特徴や注意点を確認したところで、ここからは秋生まれのメダカを上手に育てるコツをご紹介します。
秋生まれのメダカを上手に育てるポイントは大きく分けて2つ。栄養豊富な餌と成長を促す飼育容器です。
ポイントを意識して気温が下がりきる前にある程度まで大きくできれば、冬眠の成功率もかなり上がりますので、ぜひ実践してみてください。
秋の間に餌を十分に与える!
稚魚が生まれたら、少しでも気温が高く餌の食べが良いうちにできるだけ食べさせて、大きく育てる必要があります。
たくさんの餌を与えてしまいがちですが、一度に与える量を増やしても食べ残しが増えるだけなので、一回の量は変えずに餌やりの回数を増やすのが最適。
しかし、仕事や学校で日中に給餌できないという方いるでしょう。
そこでおすすめなのが、グリーンウォーターです。
グリーンウォーターは稚魚の餌となる植物プランクトンが豊富に含まれた飼育水で、この中で飼育することで、稚魚の周りに常に餌があって、いつでも好きな時に食べられる環境を作ることができます。
さらに、朝晩の餌やりで栄養満点なゾウリムシや人工餌を与えると、栄養バランスがよくなり、健康で体格の良いメダカに育ちやすいです。
無理のない範囲でできるだけ餌を食べさせる工夫をして体力を付ければ、冬眠に間に合わせることも不可能ではなくなります。
飼育容器を工夫する
秋生まれの稚魚を上手に育成するためには、飼育容器にも気を配りましょう。
メダカは基本的にはとても丈夫な魚なので、気候の良い時期であればどんな容器でも問題なく成長します。
しかし、冬までに駆け足で成長させたい秋生まれの場合は、成長を促すために十分な広さと、できるだけ水温を保つことができる保温性を備えた飼育容器を準備してあげることが大切です。
広い容器で飼育する
メダカは水量に対して飼育個体数が少ないほど成長が早いとされますので、できるだけ大きな飼育容器を準備しましょう。
最低でも1匹に対して1Lの水量を確保できる大きさが目安となります。
水量が多いと、それだけ微生物が増えて1匹あたりの餌の量が増えます。また他の個体との干渉を減らすことで、ストレスの軽減にもつながるでしょう。
ただし、広すぎる容器では人工餌に気づかないというデメリットも考えられます。その場合は、複数の場所に人工餌をまくなどして対策をしてください。
発泡スチロールで保温する
水温を少しでも高く安定させるために、発泡スチロール製の箱を使用するのもおすすめです。
保温性の高い発泡スチロール製の飼育容器ならば、日中に上がった水温の低下を緩やかにしてくれるので、稚魚にかかる負担やストレスを軽減することができます。
水温が暖かい状態を長引かせることができれば、メダカの活性が高まり餌の食べも良くなって、成長も早まるでしょう。
黒色の発泡スチロール製容器を使えばさらに保温性が高まります。
また合わせて、風を遮るようにすだれを立てかけたり、雨を防ぐために屋根を付けたりなど、小さな工夫をすることでも水温を保つことが可能です。
冬までに大きく育たなかった場合は室内で飼育する
育てる努力をしても、生まれたタイミングや個体差などで、なかなか大きくならないメダカが出てくることがあるでしょう。
目安としては水温が18度以下になった段階で体長が2cm以下のメダカや、体長があっても細身の個体です。
このようなメダカは、冬眠させるリスクがかなり高いので、無理をせずに室内飼育に切り替えることをおすすめします。
室内の利点は水温があまり下がらないことです。無加温でも屋外よりはよほど暖かいですし、水槽用ヒーターで加温すれば冬でも23~26℃程度を維持することができます。
この水温ならば活性が落ちないので、冬の間も餌を食べて成長を続けることができますし、他のメダカが冬眠から目覚める春になったタイミングで、元通り合流させることも可能です。
まとめ:秋に生まれたメダカを育てる方法!大きく育てるコツと冬眠の目安
秋に生まれたメダカを育成する方法をご紹介しました。
残暑が長引いて水温が高い状態が続くと、10月頃になってもメダカが産卵することがあります。このような秋生まれのメダカは、生まれてすぐに気温が下がってしまう上に、冬眠までの間もないので上手に育てるのが難しいです。
そのため、餌や飼育容器を工夫して早急に身体を大きく成長させましょう。
また、対策をしても十分に成長しきれない個体は必ず出てきますので、そのようなときは無理せず室内飼育に切り替えて、引き続き育成していくのがおすすめです。
秋生まれのメダカも上手に育てれば春には立派な成魚となります。生まれ時期に関係なく大切に育てていきましょう。
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