磯遊びで採集した海水魚を飼育しよう! 持ち帰り方から飼育方法まで
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海での生き物採集はとても楽しいです。
夏から秋にかけては、チョウチョウウオなどのカラフルな熱帯魚を関東でも採集することができます。
採集した熱帯魚は、キャッチ&リリースで海に返す方が多いですが、持ち帰って飼育してみるという方も増えています。
しかし、磯採集で捕まえた生き物を飼育するにはそれなりの設備と知識が必要ですので、海水魚の基本的な飼育方法を事前に学んでおきましょう。
このコラムでは、磯遊びで採集した生き物の持ち帰り方から飼育方法までをわかりやすく解説していきます。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにご紹介
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
海水魚の扱いに慣れたアクアリストがプロの目線で、磯採集で捕まえた生き物たちの管理方法について解説します。
磯採集した生き物を安全に持ち帰る方法や飼育方法についてまとめましたので、ぜひご覧になってみてください。
採集した生き物を持ち帰る方法
まずは採取した生き物をなるべく弱らせずに持ち帰る方法を解説していきます。
採集した生き物を持ち帰るには、専用の道具が必要です。
最低限下記の道具は用意しておきましょう。
- バケツ
- エアーポンプ
- エアーチューブ
- エアーストーン
- エアーポンプ用乾電池
採集におススメ! 釣り具用バケツ
採集した生き物を入れて持ち帰るのには、バケツが必要です。
バケツと言っても数多くの種類がありますが、おすすめなのは釣具屋でも購入可能な通称コマセバケツです。
コマセバケツは釣り用の餌を入れておくためのバケツなので水漏れする心配がありません。自立するので安定感もあります。
もしくは、折り畳み式のバケツも良いです。
こちらのようにフタにチャックがあれば、エアチューブを通すのが簡単です。
エアーチューブを通せると、生き物を持ち帰る際に必要なエアー供給を楽に行なうことができます。
なお、持ち帰る際のバケツの水量に対し、生き物の数が多くなればなるほど、状態よく持ち帰ることは難しくなってしまいます。
理由は、バケツの中が過密になるほど水質が悪化しやすくなるためです。
- 電車で採集に出かける場合:持ち運びの重さを考慮して10L程度の水量が入るバケツを準備
- 車で採集に出かける場合:生き物を10匹以上持ち帰る際には、20L以上の水量が確保できるバケツを用意
採集の心臓部! エアーポンプ
採集した生き物に酸素を供給するには、エアーポンプが必要です。
エアーポンプは電源不要の乾電池式のものを用意しましょう。
熱帯魚専門店や釣具屋で購入することができます。
乾電池式エアーポンプを使用する際の注意事項が2つあります。
- 作動音が大きい
- 故障が多い
■作動音の問題について
エアーポンプはその性質上、「ブブブ…」という振動音がします。
静かな電車の中だと作動音が周りの乗客に聞こえてしまい、音が迷惑だと感じてしまう方もいるかもしれません。
音に気を遣う必要があるということを把握しておきましょう。
■故障の問題について
乾電池式エアーポンプは、繰り返し使用すると故障する可能性がある製品です。
特に前回使用してから期間が空いているような場合は注意が必要です。
採集へ出かける前に、エアーが正常に出るかどうかを確認しておきましょう。
本体が振動していても、エアーが出ないということもあります。
必ずエアーの吐出口に手を当てて、動作確認をしましょう。
長さに注意! エアーチューブの選び方
エアーポンプから水中にエアーを送るには、エアーチューブが必要です。
乾電池式エアーポンプの場合、エアーチューブが長すぎると水中にエアーが供給されづらくなってしまいますので、基本的には1m程度のものを使用しましょう。
エアーチューブは乾電池式エアーポンプを購入すると付属で入っている場合が多いですが、もし無い場合は熱帯魚専門店で購入することができます。
各観賞魚メーカーから販売されていますが、どれもチューブの太さは同じです。
必要な長さを選んで購入し、長すぎる場合はハサミで切って使用しましょう。
プロおすすめ! セラミック製エアーストーン
エアーチューブの先端に取り付けるエアーストーンは、目の粗いセラミック製で小型のものをおすすめします。
乾電池式エアーポンプは空気圧が弱いため、目が細かいものや大型のストーンだと泡が正常に発生しません。
劣化しづらく目の粗いセラミック製のエアーストーンが最適です。
なおエアーチューブ同様、乾電池式エアーポンプを購入するとエアストーンも付属されている場合が多いですのでこちらを使用しても問題ありません。
じつは大事! 乾電池の選び方
乾電池式エアーポンプに入れる電池も用意しておきましょう。
おすすめはパナソニック製のエボルタ電池です。
他社製品も含めさまざまな電池を試してきましたが、エルボタ電池がいちばん長持ちすると感じています。
安価で利用しやすいことから100円ショップの乾電池を使用する方もいますが、100円ショップの電池は持ちに不安があり、長時間の持ち運びにはあまりおすすめできません。
乾電池式のエアーポンプは、長くても大体15時間程度で電池が切れてしまいます。浜辺から熱帯魚を持ち帰るだけならば十分な時間ですが、何かトラブルがあり持ち帰りに時間が掛かったり、電池が早く切れてしまったりする事もあります。
どの電池を使用するにしても、予備の電池を多めに用意しておくと安心です。
採集した海の生き物の飼育方法について
採集した生き物を無事持ち帰ることができたら、さっそく水槽で飼育を始めましょう。
飼育方法は、一般的な海水魚を飼育する方法と同じです。
水質を安定させるために、できれば2週間ほど前から水槽を用意し、生き物を受け入れる準備をしておきましょう。
ここからは、海辺から採集してきた熱帯魚の飼育方法ということで、
- 生き物を飼育するための水槽
- ろ過フィルターについて
- 底砂は敷かないほうが良い?ベアタンクのメリット
- 飼育水は人工海水を使用しよう
- 水温28度はNG!水槽用クーラーを使う目安
- 殺菌灯は病気やコケの抑制に効果がある
これらの内容に沿って、飼育環境を整える手順をご紹介していきます。
海の生き物を飼育するための水槽
生き物を飼育するための水槽は、最低でも60cm以上のものを用意しましょう。
採集した生き物にもよりますが、チョウチョウウオなど遊泳スペースが必要な魚の場合、小さな水槽だとストレスを溜め込んで調子を崩してしまうことがあります。
採集した生き物がストレスなく泳げるよう、60cm以上のサイズの水槽を用意しましょう。
なお60cm水槽の場合、8cm前後の魚を10匹まで飼育可能です。
海の生き物用のろ過フィルターについて
生き物が住む水を綺麗に保つためにはろ過フィルターが欠かせません。ろ過フィルターは海水で使用できるものであればどれでも大丈夫ですが、やはり最もおすすめなのはオーバーフロー式です。
ただし海水魚の飼育が初めての方にとっては扱いづらい面があるので、そのような場合は上部式や外部式のろ過フィルターを使用しましょう。
中でも上部式フィルターは初心者でも手軽に管理しやすく、酸素供給も行ないやすいというメリットがあります。
ここからは採集した海水魚飼育に上部式フィルターをおすすめする理由として、以下の4点について解説をしていきます。
ろ過フィルターを選定する際の目安にしてください。
- 手軽に飼育するなら上部フィルターがおすすめ
- ろ過は好気性バクテリアの定着がポイント
- ウールマットの役割り
- 上部フィルターは酸素供給力が高い
■手軽に飼育するなら上部フィルターがおすすめ
上述したように、初心者が手軽に海水魚を飼育する場合は上部式フィルターを選ぶのがおすすめです。
生体にとって必要な酸素供給を行ないやすいですし、手入れも簡単なので、長期間きれいな状態を保つことができます。
ただし製品によっては海水に使用できないことがあったり、後述する『水槽用クーラー』という機器が接続できないといったデメリットもありますので、メリットとデメリットをよく見比べながら選んでみましょう。
上部式フィルターで夏場の水温上昇を防ぐには、水温そのものを室内のエアコンで管理したり、外部式フィルターをサブフィルターとして使用して、水槽用クーラーを接続するといった方法があります。
■ろ過は好気性バクテリアの定着がポイント
上部式フィルターはオーバーフロー式と同様に、密閉型のろ過システムではありません。
つまりろ材に定着するほとんどのバクテリアが、好気性バクテリアです。
好気性バクテリアは、アンモニアなどの有害物は害の少ない硝酸塩まで素早く分解することができるため、海水魚を安定して飼育することができます。
バクテリアについては以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧になってみてください。
■ウールマットの役割り
上部フィルターのろ過槽にはウールマットを敷き詰めますが、このウールマットとは、密度の高い繊維でできた綿のような素材のことを指します。
水中を漂う粗めのゴミをキャッチする『物理ろ過』の役割を担いますので、ろ過フィルターの目詰まりを抑制することも可能です。
汚れてきたウールマットは新しいものと簡単に取り替えることができるので、何度か洗ってマットが薄くなってきたら、その都度交換しましょう。
■上部フィルターは酸素供給力が高い
上部式フィルターは酸素供給能力が高いというのも、メリットとして挙げられます。
海水魚飼育では水槽内に8%程度の酸素が必要なので、いかに酸素供給するかという点が大きなポイントとなってきます。
酸素供給はエアレーションでも可能ですが、ろ過と同時に酸素供給ができる上部式フィルターを使用したほうが、水槽内をすっきりと見せることが可能です。
安定した飼育環境を作るには、オーバーフロー式ろ過がおすすめです。
底砂は敷かないほうが良い?ベアタンクのメリット
底砂はよっぽどのこだわりが無い限り、敷かずにベアタンクで飼育するのをおすすめします。
その理由は、病気のリスクを軽減させるためです。
採集した生き物は人工飼料に慣れてないため、はじめは生餌を与える機会が多くなると予想されます。
その際、生餌に潜んでいた雑菌が砂の中に入り込むことがあるのですが、魚が暴れて砂が舞ってしまうと、雑菌が水中に拡散してしまい、病気が蔓延する可能性が高くなってしまうのです。
レイアウトなどの問題でどうしても砂を敷きたい場合は、底面が見えない程度に薄く敷くようにしましょう。
また、採集した生体は『ワイルド種』に該当するため、体内や体表に病原菌が潜んでいる可能性があります。
もともとある海水魚水槽に採集した生体を混泳させる場合は、数週間トリートメントをして、病原菌の持ち込みを予防しましょう。
飼育水は人工海水を使用しよう
飼育水は人工海水を使用するのがおすすめです。
天然の海水には病気の原因となる菌が存在する場合があり、狭い水槽の中で菌が繁殖すると、生き物が調子を崩してしまう可能性があります。
そういったリスクをなくすために、人工海水の素を使って海水を作りましょう。
海水の比重は1.018程度と薄めで作っておき、採集してきた水を比重計で計測し同じ比重に合わせるようにするのがおすすめです。
水温28度はNG!水槽用クーラーを使う目安
夏場は水槽を室内に置いていても、思いのほか水温が上昇します。
水温が28℃以上の状態が続くようであれば、水槽用クーラーの導入を検討しましょう。
水温が高くなると水質維持に役立つバクテリアが衰弱してしまい、水質悪化の原因となってしまいます。
酸素濃度も低下して生き物が酸欠になるリスクもあるため、一生懸命採集してきた魚を大切に飼育するためにも、夏の時期は特に水温を気にするようにしましょう。
しかし、水槽用クーラーはオーバーフロー式か外部式のろ過フィルターにしか接続できません。
水槽用クーラーの導入が難しい場合は、エアコンで水温管理するのもひとつの方法です。
殺菌灯は病気やコケの抑制に効果がある
上述したように、生餌の中には有害な菌が潜んでいる場合があります。
採集した生き物に生餌を与える場合は、殺菌灯の導入も検討してみましょう。
殺菌灯とは紫外線の力を利用して水の殺菌や消毒を行なう機器のことで、有害な菌だけでなく、コケの胞子を死滅させたり、フンや食べ残した餌などの有機物を分解する効果もあります。
ただし殺菌灯は導入にそれなりのコストがかかり、ろ過方式も外部式かオーバーフロー式でないと接続できないというデメリットがあります。
絶対に必要な機器というわけではないので、予算に余裕があれば検討してみてください。
まとめ:磯遊びで採集した海水魚を飼育しよう! 持ち帰り方から飼育方法まで
今回は磯採集した生き物の持ち帰り方法と、その後の飼い方について解説させていただきました。
採集に行く際に用意しておきたいのは、以下の5点です。
- バケツ
- エアーポンプ
- エアーチューブ
- エアーストーン
- エアーポンプ用乾電池
採集した生き物を安全に持ち帰ったあとはスムーズに飼育ができるよう、万全な飼育体制が整っていることを前提に、採集をしましょう。
自宅に持ち帰っても飼育する体制が整っていない場合は、無理せずリリースすることが大切です。
皆様が磯採集をしたお魚を楽しく大切に飼育できることを、心から願っています。
磯採集について良くあるご質問
磯遊び(磯採集)とは?
カニやヤドカリなどの在来種から、暖かい地域から来るチョウチョウウオなどの季節来遊漁を間近で見れるのも魅力です。
近年は水温の上昇から南洋の色鮮やかな魚を多く発見できます。
磯採集した生き物は飼育できる?
磯遊びの際の注意点とは?
足元は滑らない水陸両用靴などを履き、保護します。採取した生き物は酸欠を防ぐため、なるべく水量が多く入る釣り用バケツで持ち帰るのが良いです。
長距離を移動する場合は、エアーポンプを用意しましょう。
磯採集に必要な道具とは?
- 漁網
- 滑らない靴
- 釣り用バケツ
- エアレーション一式(携帯用エアーポンプ、エアーチューブ、エアストーン)
- 乾電池 など
生き物は想像以上に酸素を多く必要とします。時間をかけて持ち帰る場合は、乾電池式の携帯エアレーション(ぶくぶく)を使用しましょう。
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