メダカの飼い方
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メダカの品種改良を楽しもう!改良の歴史や自宅でもできる改良方法とは!

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近年高まりを見せるメダカブーム
かねてより気軽に飼育を楽しめる身近な魚として親しまれてきたメダカが、観賞魚として一躍脚光を浴びたきっかけは、改良メダカの登場です。楊貴妃メダカやダルマメダカを始めとした改良メダカは、どれも個性的な魅力を備えており、今も新しい品種が作出されるたびに話題となっています。

また、メダカの楽しみは飼育だけにとどまりません。環境さえ整えてあげれば誰でも簡単に繁殖させることができるので、自宅で品種改良に挑戦することも可能初心者でも品種を作出するワクワク感を味わうことができるのは、メダカならではの楽しみ方と言えるでしょう。

ここでは、メダカの品種改良の歴史や、入門者向けの簡易的な改良法をご紹介します。

※このコラムはアクアリウム情報サイト・トロピカの記事に、最新の情報を加えて再構成したものです。

プロアクアリストたちの意見をもとにメダカの品種改良歴史や自宅でもできる改良方法を解説


このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

鮮やかな体色や輝きを持つ改良メダカは、比較的簡単に飼育できることからメダカブームの火付け役となりました。
繁殖が容易で自宅で品種改良を楽しむことができるので、歴史や改良方法を覚えて挑戦してみるのもおすすめです。

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、メダカの品種改良歴史や自宅でもできる改良方法を解説します。

メダカ改良の歴史


メダカ飼育の歴史は古く、原種に近いメダカはかなり昔から観賞魚として親しまれてきました。一方、改良メダカが登場したのは比較的最近になってから。
熱帯魚のような見栄えのする容姿が注目を集め、現在に至るまで盛んに品種改良が繰り返されています

ここでは、メダカの品種改良の歴史をご紹介します。

メダカ観賞は18世紀ごろに始まった!

【生体】ヒメダカ 5匹 メダカ めだか emuwai

メダカは日本や朝鮮半島から中国、ベトナムにかけて分布する小型の淡水魚です。田んぼや小川などの流れが穏やかな場所を好んで生息しており、昔は天然魚の中でもごく身近な存在でした。

そんなメダカですが、観賞魚として扱われ始めたのは18世紀頃と考えられており、同時期の文献にその名が登場しています。この頃、主に飼育されていたのは、野生個体が突然変異して誕生した『ヒメダカ』でした。

通常の黒メダカと比べるとやや赤みを帯びた華やかな品種ではありますが、当時の日本ではより見応えのある金魚の方が受けがよく、素朴なメダカは観賞魚としてはあまり目立たない存在だったようです。

21世紀で空前のブームに!

(めだか)幹之メダカ スーパー強光(10匹)

そんなメダカが観賞魚として注目されるようになったのは、21世紀に入ってからのことです

愛好家たちのたゆまぬ努力が実を結び、爽やかな白さが際立つ『白メダカ』、青みを帯びたグレーが特徴的な『青メダカ』、鮮やかな緋色に染まる『楊貴妃』などの様々な体色を持つ改良メダカが続々と登場します。

また、同時期に体型の改良も進み、通常よりも短く丸みを帯びた胴を持つ『ダルマ』や、尾ビレ・尻ビレ・背ビレの形に特徴が出る『ヒカリ』といった品種が固定化されました。

そして、改良メダカの大きな転機となったのが『幹之メダカ』です。
これまでに類を見ない光沢を持つ幹之メダカは、見る人に衝撃を与え、メダカの観賞魚としての価値を一気に引き上げました

ここから人気に火のついたメダカの品種改良はさらに加速し、現在では熱帯魚や金魚にも負けない鮮やかさを持つメダカが数多く作出されています。

メダカの品種改良とは!遺伝の基礎知識


品種改良には遺伝の要素が大きく関わります。
親魚から子、そして孫へと遺伝した形質がどこで発現するのか…かなり専門的な話にはなりますが、この流れを理解しておかないと品種改良を成功させることはできません。

ここでは、メダカの品種改良に欠かせない遺伝の基礎知識を簡単に解説します。

形質の遺伝はメンデルの法則に沿って発現する

品種改良を行う上で、必ず頭に入れておきたいのがメンデルの法則です。

メンデルの法則とは遺伝における法則性をまとめたもので、

  1. 優性の法則
  2. 分離の法則
  3. 独立の法則

の3つから成り立っています。

1.優性の法則

優性の法則は、ベースとなる親がそれぞれ別々に持っている形質は、第一世代(子供世代)では片方の形質しか発現しない現象のことです。
第一世代に現れる形質を「顕性(優性)」、表出しない形質を「潜性(劣勢)」と呼びます。

例えば、純血の黒メダカとヒメダカを交配させた場合、産まれる子供たちはすべて黒色になりますが、これは黒い体色の遺伝子が”顕性”、赤い体色の遺伝子が”潜性”だから起こる、優勢の法則に則った現象です。

2.分離の法則

分離の法則は、顕性と潜性の遺伝形質を持った第一世代同士を掛け合わせた場合、第二世代(孫世代)では顕性と潜性の割合が、3:1の比率で発現する現象を指します。

先ほどの例だと黒メダカとヒメダカの孫世代は、3:1の割合で黒と赤の体色持つメダカが誕生します。

3.独立の法則

独立の法則は、親世代が異なる複数の形質を持つ場合(例えば、色と体型)は、それぞれ独立して分離の法則に従って遺伝することです。

こちらも例を挙げると、楊貴妃ダルマメダカ(赤い体色とダルマ体型)と黒メダカ(黒い体色と普通体型)を交配させたとき、第一世代はすべて黒い普通体型になり、第二世代以降で赤の体色やダルマ体型がそれぞれ発現する可能性がある、ということになります。

ただし、ダルマ体型などの一部の形質の中には、条件が揃わないと遺伝しないものもあるため、すべてがメンデルの法則に従って均等に発現するわけではありません

例外については、次項で解説します。

条件付きで発現する形質

先ほど触れた通り、形質の中には交配時に条件が揃っていないと遺伝しづらいものがあります。

例えば、ダルマ体型は交配時に水温28℃以上でないと遺伝率が下がるということが知られており、水温が低い環境ではいくら繁殖をさせてもダルマ体型がほとんど発現しません。
また、メダカの性別にも水温が関わっているとされ、25℃以上の水温だとオスが生まれやすくなると言われています。

このように、メダカの形質の遺伝にはメンデルの法則以外にも水温や外的要因が条件として加わることを覚えておきましょう。

珍しい形質ほど発現させるのが難しく、条件も確立されていなかったりするので、試行錯誤しながら理想のメダカを作り上げていくのが品種改良の醍醐味ともいえます。

潜性の遺伝

顕性と潜性の形質はどちらも等しく遺伝する可能性がありますが、圧倒的に顕性の方が発現しやすいです。

そのため、発現させたい潜性の形質の数が多くなると、それだけ思い通りの特徴を持ったメダカを作るのが困難になります。
例えば、ダルマ体型とヒレ長の形質を持ったメダカを作りたい時、これらの形質はどちらも潜性のため、両方の特徴が発現する確率はかなり低くなるということです。

また、この顕性と潜性の関係はベースとなる品種の選定にも影響します。赤い体色に体外光を乗せたいからと、楊貴妃と幹之を繁殖させても、生まれてくる稚魚は楊貴妃に近いものばかりになるのです。
これは、原種に近い品種の特徴方が遺伝がしやすいということ。潜性の形質を発現させるには、潜性と潜性を掛け合わせた方が、特徴を維持しやすくなります

突然変異や不確定要素について


品種改良をしていると、思ってもみないような形質が発現したり、突然変異で全く違うメダカが生まれることがあります。

今は定番種となったヒメダカも、もとは黒メダカの突然変異種で、黒の色素が欠乏した個体を飼育して固定化したもの。
また、親メダカに発現していなかった隠れた形質が、子孫の代で突然現れるといった変異の仕方も考えられます。

このように、メダカの遺伝は不確定要素が多いため、なかなか思うように改良が進まないことも少なくありません。
しかし、どんなメダカになるのか予想がつかないワクワク感は、何にも代えがたいものです。
ぜひ、気長にメダカが変化していく過程を楽しむ余裕を持って品種改良に挑戦してみてください。

メダカを繁殖させる方法と品種改良のコツ


メダカの品種改良は、異なる特徴を持つメダカ同士で繁殖をさせて、子孫に形質を受け継がせながら新しい特徴を持つメダカを生み出す作業です

そのため、まずはメダカを繁殖させること、効率よく繁殖する環境を作ることが一つ目の目標となります。

ここでは、メダカの繁殖方法と品種改良を狙う場合の親魚の選び方やメダカの管理方法について解説します。

メダカを繁殖する方法


品種改良を狙う場合も、基本的な繁殖方法は変わりません

繁殖したい品種や特徴を持つオスとメスを用意し、

  • 水温20~26度
  • 日照時間13時間以上
  • 水草や産卵床がある

の環境をキープしていれば、自然と繁殖を始めます。

屋外飼育の場合は春~秋にかけてが繁殖の季節です。
屋内飼育では、照明や水槽用ヒーターを使用して人工的に環境を作り出すことで一年中繁殖させることができます

また、繁殖には体力を使うため、繁殖用の栄養豊富な餌を与えて、繁殖に向けた体作りをしておくことも大切です。

親魚の選び方

親魚(繁殖させるメダカ)選びに迷ったら、まず自分がどんなメダカを作りたいのかを考えてみましょう。

光沢の有無や、体色、ヒレや体の形などを考慮してベースとなる品種を決めます。
次に加えたい形質を持った品種を選定し、それぞれの品種からオスメスを揃えて繁殖を開始するのが基本的な流れです。

そのため親魚には欲しい形質がはっきりと現れた、状態の良いメダカを選ぶのが良いでしょう。

効率重視ならばメスを多めにする

品種改良では、どの親メダカからどの形質が遺伝するのかを正確に把握する必要があるため、基本的には一つの容器に1ペアで飼育するのが望ましいです。

しかし、個体同士の相性が悪い、メスが卵詰まりを起こす、無精卵ばかりで孵化しない、などの理由で繁殖自体がうまくいかないことも考えられます。
このように繁殖自体が滞っていて、効率的にたくさん繁殖させたいときは、オス1匹に対してメス2匹程度と、メスを多めにして飼育するのがおすすめです。

ただし、この方法だと繁殖自体は成功しやすいですが、望んだ形質を持った子や孫が生まれたときに親の判別ができなくなってしまう可能性がある点は留意してください。

世代で分けて管理する

緑長 プラスチック製トロ舟 20L グリーン

先ほどメンデルの法則でも解説した通り、メダカに形質を発現させるには何世代にもわたって繁殖を繰り返していく必要があります。

そのため、卵が産み付けられたら、採卵の段階でどの親から産まれた何世代目なのかがわかるように、容器を分けて管理することが大切です。
しっかり管理していないと、いざ望んだ形質が現れたときに遺伝の経緯がわからず再現できなかったり、形質の固定化が出来なかったりと、品種改良が行き詰ってしまいます

メダカを管理する容器に決まりはありませんが、たくさん用意する関係上、安価なトロ舟や発泡スチロール製の箱、プラケースなどを使う方が多いです。

繁殖に成功したら


最初の繁殖に成功したら、生まれた第一世代の稚魚を成魚になるまで育てていきます
できるだけ元気で質の良いメダカの方が良い形質を継承していきやすいので、体型や色柄などを見て選別をしましょう

繁殖ができる体格になったら、第一世代同士を組み合わせて再び繁殖をさせます。
この繁殖で生まれてくるのが第二世代です。メンデルの法則に従ってうまくいけば、この辺りから最初に親魚としたメダカから引き継いだであろう形質が現れるようになります

理想とする形質を持ったメダカが生まれたら、次は形質の固定化です。特徴ができるだけはっきり発現しているメダカを選別して繁殖を繰り返すことで、不要な特徴を排除し、理想の形質を持ったメダカが安定して生まれてくる状態を目指します。

屋外飼育と室内飼育、どちらのほうが品種改良しやすい?


屋外飼育と室内飼育どちらにもメリット・デメリットがあります

■屋外飼育のメリット・デメリット

  • メリット:丈夫な個体に育ちやすい
  • メリット:グリーンウォーターで管理ができる
  • デメリット:肉食性水生昆虫など外敵の危険がある
  • デメリット:台風や猛暑など自然現象に影響を受ける

■室内飼育のメリット・デメリット

  • メリット:外敵や自然現象の影響を受けない
  • メリット:水槽用ヒーターなどで水温を管理すれば一年中繁殖できる
  • デメリット:屋外飼育に比べると成長が緩やか
  • デメリット:グリーンウォーターが使えない

品種改良はどちらでも挑戦できますので、住環境や飼育スタイルによって、管理しやすい方を選べば問題ありません

しいて言うならば、季節を問わず繁殖させたいときや安定して飼育したいときは室内が向いていますし、何世代にもわたってたくさんのメダカを管理したいときは、屋外の方がスペースが取りやすいでしょう。

郊外に広い敷地を持っている愛好家の中には、両者の利点を得るためにビニールハウスで品種改良に取り組んでいる方も多く居ます。

まとめ:メダカの品種改良を楽しもう!改良の歴史や自宅でもできる改良方法とは!


今回は、メダカの品種改良について解説しました。

繁殖しやすいメダカは、環境さえ整えれば初心者でも品種改良に挑戦することができます

本格的な品種改良はメンデルの法則を元に遺伝の仕方を意識しながら、品種や個体の選別を行い、何世代にもわたって繁殖を繰り返していきます。
理想のメダカが生まれたとしても、その形質を固定するにはさらに多くの時間が必要です。

新しい品種として認めてもらうには、この形質の固定化が必須ですが、個人で楽しむ分にはそこまで気負わずとも問題ありません
初めての方はまずは、安定して繁殖させることを目標に、どんなメダカが生まれるかを楽しみながら、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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このコラムへのコメントやお悩み相談に届いた質問の回答

  1. めだか より:

    すごくわかりやすかったです。ありがとうございます。しつもんです。サファイアとみゆきを掛け合わせるとどのようなメダカになりますか?

    • アクアガーデン編集部 より:

      コメントありがとうございます。
      サファイアと幹之はどちらも似た形質を持つので、青いメダカが生まれます。
      実際にかけ合わせたわけではないので推測になりますが、ラメの遺伝は個体差がかなり大きくなると考えられます。
      サファイアメダカについては、こちらのページもご参照ください。

      ・メダカ図鑑 サファイアメダカ
      https://t-aquagarden.com/column/zukan_medaka_sapphire

      よろしくお願いします。

  2. めだかlove より:

    スリムフィルターМは、メダカ飼育に向いてますか?

    • アクアガーデン編集部 より:

      そちらの機種でも、メダカは飼育できます。
      ただ、小型水槽では水流が強めなので45cm水槽ほどでの使用が望ましいです。

      その他、メダカに向いているろ過フィルターはこちらでご紹介しています。
      是非ご参照ください。

      ・メダカ水槽におすすめのろ過フィルターとは!設置のコツもプロが解説
      https://t-aquagarden.com/column/medaka_filter

      よろしくお願いします。

執筆者 アクアガーデン

アクアガーデンのスタッフが水槽レンタル・リース、メンテナンス、引っ越しサービスなど様々なサービスを通して得たアクアリウムの経験や知識をコラムで発信しています。

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