【初心者向け】アカヒレの飼育方法とは、水槽、エサ、水草すべて教えます
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アカヒレは中国原産のコイの仲間で、非常に丈夫なことから飼育しやすく、水槽立ち上げ時に生体を飼育できるか評価する「パイロットフィッシュ」の代表格として知られています。
丈夫なだけでなく鑑賞性にも優れ、赤いひれと体の中央を走る暗青色のラインが印象的な観賞魚です。性格も温和で混泳相性が良く、繁殖が容易なことから価格も安価なため、アクアリウムの入門には打ってつけの魚種と言えるでしょう。
ここではアカヒレについて生態や飼育法ついてご紹介します。
目次
アカヒレとはどんな魚か?
形態的特徴
アカヒレはコイ目コイ科に属する淡水魚の1種です。成魚の体長は4cmほどで、体色は銀灰色を基調に、目の後ろから尾びれの付け根にかけて、1本の暗青色のラインが入ります。また、尾びれと背びれの付け根付近は、名前の通り赤く染まることが特徴です。
近年では、体色が金色を帯びる「ゴールデンアカヒレ」や背びれや尻びれが伸長する「ロングフィン」など、改良品種も作出されています。
生態・生息域
アカヒレは中国広東省に分布していましたが、今日では開発などの影響で姿を消し、野生種は絶滅したとまで言われています。幸いアカヒレ自体は水質への適応力が高く、繁殖も容易であることから養殖に成功しており、日本国内でも安価に取引できるほど大量に流通しています。
中国が原産であることから厳密には熱帯魚ではなく「温帯魚」で、低水温にも耐えられる特徴を有しており、食性は動物質でも植物質でもよく食べる雑食性です。
性格は基本的には温厚ですが、成熟したオス同士では「フィンスプレッディング」と呼ばれる、ひれを広げる威嚇行動を取ることが知られています。
アカヒレの飼育水について
水温
アカヒレを飼育可能な水温域は10~27℃前後です。一般的な熱帯魚と異なり低水温にも適応できるので、屋内での飼育であれば冬でもヒーターで加温する必要はありません。
ただし、低水温では活動性が低下し、場合によっては「白点病」が出ることもあるので、観賞魚として楽しむのであれば年間を通して20℃以上に保った方が良いでしょう。
水質
アカヒレは水質への適応力が高いので、pH5.0~8.0の弱酸性から弱アルカリ性の範囲であれば、どんな水質でも飼育できます。
しかし、適正範囲であっても急激にpHが変化すると大変な負担となり、病気にかかったり最悪の場合は死に至る可能性もあるので、水換えの時などは注意してください。
アカヒレの飼育器具について
水槽
アカヒレは適応力が高いので、ボトルアクアリウムや30cmクラスの小型水槽でも飼育が可能です。しかし、ボトルや小型水槽は入る水量が少ないので、アカヒレに適した環境を維持するために、小まめなメンテナンスが要求される点に留意してください。
そのため、初心者の方には45~60cm水槽クラスの大きさから始めることをおすすめします。なぜなら、60cmクラスの水槽に入る水量であれば、水温や水質の維持が容易で飼育しやすいからです。
アカヒレは同種を混泳させることも一般的ですが、小型魚の場合は安全に飼育できる個体数の目安は体長1cmにつき水1Lと言われています。よって、45cmの規格水槽で体長4cm程度のアカヒレの成魚を安全に飼育できる個体数は8匹前後、60cmの規格水槽では16匹前後です。
水量が少ない30cmの規格水槽では3匹前後、ボトルでは単独で飼育した方が良いでしょう。過密状態では水質が早期に悪化するなど、アカヒレにとってストレスを受けやすい環境になってしまい、丈夫なアカヒレでも病気や早死のリスクが高くなるので注意してください。
フィルター
アカヒレはあまり水を汚す魚種ではないので、簡易的なフィルターでも十分に機能します。しかし、別の生物と混泳させる場合は、状況にあったフィルターを導入する必要があります。ここでは、飼育環境に応じたおすすめのフィルターをご紹介します。
小型水槽で飼育する場合
30cmクラスの小型水槽で飼育する場合、外掛け式や投げ込み式が候補です。外掛け式は水槽上部の縁に掛けて使用するタイプのフィルターです。外部式のように設置場所も必要なく価格も安価で、場所の移動に伴う再設置なども簡単なので手軽に使用できます。
入れられるろ材の容量が少ないのでろ過能力もそれなりですが、小型水槽でアカヒレのみを飼育するのであれば十分に機能してくれます。
投げ込み式はエアポンプと接続した状態で、飼育水に沈めて使用するタイプのフィルターです。エアレーションを兼ねられるうえに価格も安価で、構造が単純なために手軽に利用できる利点があります。
しかし、投げ込み式は手入れを怠ると、すぐにフィルターとしては機能しなくなる点には注意してください。
45~60cmクラスの水槽で飼育する場合
45~60cmクラスの水槽で、水草と混泳させない場合は上部式がおすすめです。上部式は水槽の上部スペースにフィルターを設置し、ポンプを用いて飼育水を汲み上げてろ材に通すことでろ過を行い、水槽へ戻す仕組みを持っています。
上部式は入れられるろ材の容量が多いうえにろ過槽が開放されているのでろ過能力が高く、メンテナンスが容易なことに加えて価格も安価です。そのため、中型クラスの水槽用フィルターでは最もスタンダードな形式で、上部式が同梱されている飼育セットも多いです。
しかしながら、開放式のろ過槽のために飼育水が空気に触れやすく、水中のCO2が逃げやすいので、水草水槽には向いていません。また、落水音がするので静音性に欠けることも留意してください。
水草水槽で飼育する場合
水草と混泳させたい場合は外部式フィルターを用いることをおすすめします。なぜならば、外部式フィルターはろ過槽が密閉されており、水草の成長に欠かせないCO2を逃しにくい構造をしているからです。
しかし、高価な商品が多く、フィルターの掃除やろ材の交換のたびに分解と組み立てが必要なので、上部式などと比較するとメンテナンス性には劣ります。
また、最近では小型水槽に対応したサイズの外部フィルターも市販されていますが、外部フィルターは別途に設置場所が必要になる点にも注意してください。
照明
照明はアカヒレの生活リズムを整えて健康的な育成を行ったり、水槽内を明るく照らして観賞性を確保するために必須です。光源に日光を利用することは、水槽に入る程度の水量ではデメリットが目立つので避けた方が無難です。
アカヒレを含む観賞魚のみを飼育する場合は低価格帯のLEDライトで十分ですが、水草と混泳させる場合は光合成に必要な光の波長域を強化したLEDライトの導入をおすすめします。
また、規則正しい生活のためには消灯時間が必要です。LEDライトのON/OFFを切り替えるタイマーが市販されているので、それを利用すると管理が楽になります。
底床材
アカヒレのみを飼育する場合、底床材は何を導入しても構いません。おすすめするとしたら管理が楽な「大磯砂」などの砂利類です。
水草や底棲魚と混泳させたい場合は、相手側が好む底床材を導入してください。定期的に洗浄するなどきちんと管理さえしていれば、底床材が原因でアカヒレに問題が生じることはありません。
アカヒレ水槽の水換えについて
一般的な観賞魚と同様に、アカヒレの飼育においても水換えは必要不可欠な作業です。その頻度は飼育環境に大きく左右されますが、目安としては45~60cmクラスの水槽で小型魚のみを飼育している場合で2~3週間に1回程度。小型水槽やボトルの場合は毎週行ってください。
水槽飼育での水換えの方法は、飼育水の全量に対して1/3程度の量を交換します。一度に全量を交換してしまうとpHショックなどを引き起こして最悪の場合は死に至るので注意してください。
水換えの際は底砂の掃除が同時にできる、「底砂クリーナー」があると便利です。代表的な商品に「水作 プロホース」シリーズがあるので、用意しておくことをおすすめします。
ボトルの場合は新しい水をボトルに注ぎ込んで、古い水を溢れさせて水換えを行います。この時、万一にアカヒレが溢れた水とともにボトルの外に出てしまった時のために、お風呂場や洗面所などで直接は行わず、バケツなどの容器にボトルを入れたうえで水換えを行いましょう。
また、いずれの場合も新しい水は、1晩以上汲み置いたりカルキ抜き剤を用いるなどして、カルキを除去した水を使用してください。
アカヒレのエサについて
先に述べたようにアカヒレは雑食性なので、熱帯魚用の人工飼料から生餌まで何でもよく食べてくれます。生餌は水を汚しやすいので人工飼料を中心に飼育すると良いでしょう。
アカヒレは体が小さいのでエサの粒が大きいと上手く食べられません。エサは小型魚用に配合された粒が小さいものを選択してください。
エサの与え方は2~3日に1~2回に分けて、2分ほどで食べきれる量を与えてください。食べ残しが生じると水質の悪化が早くなるので、可能な限り取り除いておくと良いでしょう。
混泳について
観賞魚との混泳
アカヒレは基本的には温和な性格をしているので、混泳相性は良好です。同種同士では先に述べたように、成熟したオス同士で小競り合いをすることもありますが、隔離するほどの事態には至らないことが普通です。
他種に関しては基本的に無関心なので、メダカやカラシン、グッピーなどの遊泳層が重なる魚種とも混泳できます。それから、コリドラスやローチ、オトシンクルスや小型のプレコといった底棲魚との混泳相性も良好です。
しかし、中~大型魚には捕食対象とみなされ、同じくらいの大きさでもベタのような気性の荒い魚種には、攻撃されてしまうので混泳はできません。
水草との混泳
アカヒレは水草との相性も良いので、水草水槽で飼育されている様子をよく目にします。水草と混泳させたい場合は、水草に適した飼育環境を整えることを考えてください。
具体的な環境としては、水槽は60cm以上、フィルターは先に触れたように外部式が最適です。底床材にはソイルを導入し、照明は水草飼育用の強力なものを用意してください。また、夏や冬は温調機器を用いて、水温を調節する必要もあります。
水草の品種はどのようなものでも大丈夫ですが、種類によっては外部からCO2を供給しなければならず、そのための機器を揃える必要性が生じる点は留意してください。
初心者向けにおすすめするのであれば、アヌビアスナナに加え、ハイグロフィラやウィローモスなどが挙げられます。これらの品種はCO2を添加しなくても十分に成長し、水質への適応力が高くて丈夫なので、飼育しやすい水草の代表格です。
特に、ウィローモスのように葉が密生するタイプの水草はアカヒレの産卵床になるので、水槽内に導入しておくことで繁殖も期待できます。
アカヒレの繁殖について
アカヒレの繁殖は容易なので、観賞魚の繁殖法を学ぶのにも最適です。
産卵まで
繁殖のためにはアカヒレのオスとメスを用意しなければなりません。アカヒレは若魚の内は外見での雌雄の見分けが困難ですが、性成熟してくるとオスはメスと比較すると体色が鮮やかになり、メスはオスよりも体高が高く、ふっくらとした体形になるので見分けが可能です。
繁殖を狙う場合は、繁殖用の水槽にオス1匹に対して個体同士の相性があるので、メス2~3匹を入れます。繁殖水槽はそのまま稚魚用の水槽になるので、大きさは30cm以上のものを使用することを推奨します。
アカヒレは自分が産んだ卵を食べてしまうので、卵を親魚から保護するために産卵床としてウィローモスを敷き詰めるようにして配置すると良いでしょう。
ただし、底砂を導入して植えてしまうと管理が難しくなるのでベアタンクで管理し、ウィローモスは流木や石などに活着させた状態で入れることをおすすめします。フィルターは卵や稚魚を吸い込まないようにスポンジフィルターを使用してください。
後は、通常時と同様に飼育していれば、自然と産卵に至ります。水質が極端に悪化すると産卵しない可能性があるので、飼育環境の管理はしっかりとしてください。
産卵からふ化まで
アカヒレはばらまくように産卵するので、採卵に手間がかかり親魚にストレスを与えてしまいます。そのため、卵を保護してふ化率を高めるためには産卵が終了したら、親魚の方を隔離することをおすすめします。
ふ化するまでは、卵が酸欠で死んでしまうのを防止するためにエアレーションを十分に効かせて、水カビの発生を抑えるためにある程度の水流を作ってください。それでも、カビが生えてしまった卵は、カビの拡散を防ぐために取り除いてください。
稚魚の世話
水温を25℃前後に保っていれば2~3日でふ化して稚魚が誕生します。生まれたばかりの稚魚は卵黄嚢を持っており、しばらくは卵黄の栄養で成長できるので、餌を与える必要はありません。また、この時期は遊泳力も弱いので、水草の表面などでじっとしています。
誕生から1~2日も経てば卵黄嚢の栄養を吸収し終え、遊泳できるまでに成長します。餌を与えるタイミングとしては同時期からで、口が小さいのでまずはインフゾリアやメダカの稚魚用に販売されているゾウリムシなどから与えると良いでしょう。
ウィローモスを入れておくと微生物の発生に一役買ってくれるので、稚魚育成の面でも効果的です。しばらくして体が大きくなってきたら、次にブラインシュリンプを与えます。
与え方としては、1日に2~3回に分けて食べられる分だけを与えます。1回あたりの量ではなくて1日当たりの給餌回数を多くすることで、栄養分の消化吸収を効率よく行わせることができ、成長を促進して死亡率が高い時期を早期に抜けられます。
体長が1cmを超えるくらいにまで成長すれば親魚に食べられることもなくなるので、以降は親魚がいる水槽に移して通常通りに飼育しても問題ありません。
まとめ・アカヒレの飼育法と混泳相性について
アカヒレは水温や水質への適応力が高いので飼育がしやすく、価格も安価で混泳相性も良いなど、アクアリウムの入門に最適な魚種と言えます。
また、鑑賞性にも優れており、体色とひれの赤色との対比が印象的で、アカヒレを群永させるだけでも見ごたえのあるアクアリウムに仕上がります。
アカヒレを飼育することでアクアリウムの基礎を十分に学べるので、これからアクアリウムを始めようとしている方は、まずはアカヒレの飼育からチャレンジしてはいかがでしょうか。
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このコラムへのコメントやお悩み相談に届いた質問の回答
こんにちは。
質問です。アカヒレを飼っています。
丈夫な魚なので今のところ病気はありませんが、
もしも体調を崩してしまったら、塩浴の際濃度はどのくらいですか?
0.3%ですか?0.5%ですか?
宜しくお願いします。
コメントありがとうございます。
塩水浴は0.5%で行います。方法はメダカの塩水浴と同様です。
こちらのコラムもご参照ください。
・メダカの塩水浴とは?容器・濃度から期間まで、具体的な方法を解説します
https://t-aquagarden.com/column/medaka_saltwater
よろしくお願いいたします。