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警戒心が強い熱帯魚とは!熱帯魚が警戒心を持つ理由と神経質な魚種例

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警戒心はこの世のほとんどの生き物が持ち合わせている本能です。

魚ももちろん例外ではありません。特に敵に狙われやすい小型魚は顕著で、水槽の中の環境に慣れづらいことも。
なかなか物陰から顔を出してくれない熱帯魚がいたら、その個体は警戒心が強くて現在の環境に安心できていないのかもしれません。

しかし、ずっと緊張状態にある環境では、ストレスから体調を崩してしまうことになりかねませんので、魚が警戒心を抱く原因を探り、安心できる環境に改善してあげるようにしましょう。

今回は、熱帯魚が警戒心を抱く理由と改善策、神経質な魚種例をご紹介します。

プロアクアリストたちの意見をもとに警戒心が強い熱帯魚と神経質な理由を解説


このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

他の生き物の存在や新しい環境に警戒心を抱く熱帯魚は多いです。
ただ、過剰に警戒心を抱いているようだと餌も食べられず弱ってしまう可能性がありますので、ずっと姿を見せない魚がいるときは早急に対策をしましょう。

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、警戒心が強い熱帯魚と神経質な理由を解説します。

熱帯魚が警戒心を持つ理由


アニメ映画のモデルにもなったクマノミの仲間たちは警戒心が強いことで有名です。
上の写真の通り、普段は毒を持つイソギンチャクの中に隠れて外敵から身を守っています。また、自分の種を残すために性転換するのもクマノミの特徴で、これも警戒心の表れの一つと考えることができるでしょう。

このように、水槽飼育下でも縄張りに近づいた魚を追い返す行動が見られます。
これは、警戒心は自分の身を守り、なおかつ自分の子孫を残すという生存戦略に直結した本能といえます。

ここでは熱帯魚がこのような警戒心を抱く理由と、改善する方法について解説します。

警戒心が強い熱帯魚の特徴


熱帯魚の中にも比較的人に慣れやすいものと、警戒心が強くて神経質な魚種がいます。
この差が生まれる理由は主に二つです。

  • 体格の違い
  • ブリードかワイルドか

小型魚は臆病

魚の警戒心の強さと体の大きさは、おおむね反比例すると考えて間違いありません。

多少の例外はありますが、小さな魚は臆病な傾向が強く、体が大きくなるほど堂々とした魚が多いです。
これは補食関係に由来したものであり、小型魚は大きな肉食魚に食べられてしまわないよう、常に周りに気を配り警戒を解きません。一方敵が少ない大型魚は周りを気にする必要がないため、警戒心は薄くなります。

小型魚が群れで泳ぐ習性を持つのも警戒心の表れといえるでしょう。

ワイルド個体は警戒心が強い

警戒心の強さは生育環境にも影響を受けます

同じ品種の小型魚でも水槽育ちのブリード個体は、敵がいる環境に身を置いていないため、比較的大らかです。
一方自然から採取してきたワイルドの個体は、敵から身を守るための警戒心が養われており、飼育環境下にいれても餌に食いつかなかったり、影に隠れて出てこなかったりといったことが起こりやすいでしょう。

ブリードの方が飼育しやすいと言われるのは、上記の理由からワイルドは初心者の手に余ることが多いからです。

水槽の熱帯魚が警戒心を持つ原因とは?

自然界とは違い、水槽の中は基本的に敵がいない環境です。
混泳水槽だと小競り合い程度は起こりますが、それでも命の危険にさらされるようなことはまずありません。

しかし、そんな水槽の中でも警戒心をあらわにして、物陰から出てこない熱帯魚がいます。

水槽の中で警戒心を持つ原因として考えられるのは、

  • 導入直後で環境に慣れていない
  • 人通りが多い・大きな音がして落ち着かない
  • 混泳相手の気が荒い

などです。

導入直後であれば、しばらく静かな環境で様子をみましょう。落ち着いてくれば自然な姿を見せてくれるようになります。

水槽の設置環境に由来している場合は場所を変えるのが一番ですが、一度設置した水槽を移動するのは大変ですので、人間側の行動を見直してみましょう
水槽の周りで大きな音を立てない、近づくときは静かにを心がけるなど、これだけでも熱帯魚が警戒心を説いてくれる可能性があります。

最後に混泳相手との相性についてです。混泳可能とされている品種同士でも、個体差で相性が悪いことがあります。一方が委縮しているような様子が見られたら、別々に飼育することを検討しましょう。

警戒心を軽減する方法

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なかなか人に慣れず、ストレスを抱えてしまっている魚がいるときは、少しでも警戒心を説いてくれるよう対策をしましょう。

熱帯魚の警戒心を解くには以下のような工夫が有効です。

  • 隠れ場所を作る
  • 小型魚は習性に合わせて群れで飼育する
  • 照明のライトの点灯時間や明るさを見直す
  • ワイルド個体は餌付けをする

隠れ場所を作る

警戒心を解くには、水草や流木、レイアウト素材などを活用して、水槽の中に隠れ場所を作ってあげるのがおすすめです。

遊泳力の高い小型のテトラ類やアカヒレなどのコイ科の熱帯魚には、有茎水草をたくさんレイアウトして休憩場所を作ってあげると良いでしょう。

しっかりと身を隠すことを好むナマズ類には、流木を組み合わせてレイアウトしたり、土管などの潜りこめるアイテムを配置したりしてあげると安心につながります。ナマズ類は砂に潜りたがる習性があるため、粒の細かい柔らかい砂も忘れずにしいてあげてください。

小型魚は習性に合わせて群れで飼育する

野生では群れていることの多い小型熱帯魚は、飼育環境でも複数匹で導入してあげると落ち着きやすいです。

仲間のいない環境だと不安から体調を崩してしまうこともあります。
また、このタイプの熱帯魚は群泳をする習性があるため、複数匹で入れた方が鑑賞性も上がります

ただし、水槽の容量に合わせた飼育数を心がけ、入れ過ぎや過密飼育には注意してください。

照明のライトの点灯時間や明るさを見直す

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照明のライトが強すぎて不安をあおられることがあります
自然だとあまりに強い光に照らされることはありませんので、水草用の強いライトを使用している場合は、鑑賞用ライトに交換してみましょう。

また、ライトの照射時間が長すぎるのも警戒心を高める原因になります。一般的な熱帯魚水槽の照射時間は部屋の明かりや自然光が入る時間も含めて8時間です。これよりも長く明るい状態が続いている場合は、照射時間を見直してみるのがおすすめです。

ワイルド個体は餌付けをする

特にワイルド個体に多いのですが、見慣れない餌を敵と認識して警戒してしまうことがあります

このパターンは少し厄介なのですが、人工飼料を食べてもらえるよう餌付けをしていくのが良いでしょう。

活餌や冷凍餌に人工飼料を混ぜながら、少しずつ慣らしていきます。
時間はかかりますが、長期飼育を考えると人工飼料に慣らしておいた方が何かと管理がしやすいです。

警戒心が強い熱帯魚例7種


私達が普段目にすることの多いメジャーな熱帯魚の中にも、警戒心が強い魚はたくさんいます

ここでは、流通量が多く広く出回っている熱帯魚の中から警戒心が強い魚種を7種類、ピックアップしてご紹介します。

丈夫で飼育がしやすいとされる初心者向けの魚種でも、性格的に臆病で繊細な面を持ち合わせていることがありますので、その品種に合った環境を整えてあげましょう。

ラミーノーズテトラ

(熱帯魚)ラミーノーズ・テトラ(ブリード)(6匹) 北海道・九州航空便要保温

縞模様の尾びれと真っ赤に染まる頭部が印象的な小型テトラです。寿命が平均3年、最大5年超と小型魚にしてはかなり長寿な部類で、体調も5cm前後まで成長します。

シャイな性格で慣れない環境だと物陰に隠れてしまうため、落ち着ける環境を整えてあげましょう。
後景には草丈の高い有茎水草、前面には流木やアヌビアス、前景草などをくまなく配置して隠れ場所をたくさん用意してあげると落ち着きやすいです。

また、必ず群れで導入することも大切で、60cm水槽ならば10匹程度入れてあげると良いでしょう。

環境が良ければ、水草に産卵して繁殖することもあります。

カージナルテトラ

(熱帯魚)カージナルテトラ(ワイルド)(5匹) 北海道・九州航空便要保温

カージナルテトラは、光沢のある青い体に赤のラインが美しい小型の熱帯魚です。近似種のネオンテトラと瓜二つですが、カージナルテトラの方が赤いラインが長く、体の大きさも一回り程大きいため、より主張の強い印象を受けます。

性格面ではネオンテトラも警戒心の強い魚ですが、カージナルテトラはそれに輪をかけて臆病な面を持ち合わせており、混泳水槽ではなかなか落ち着かない様子を見せることが多いです。

警戒しているような素振りがみられるときは、隠れ家を用意してあげたり、10匹程度の群れで飼育したりといった工夫をしてあげてください。

ミクロラスボラ・ハナビ

(熱帯魚)ミクロラスボラハナビ (約1.5cm)<3匹>[生体]

体長2~3cmとかなり小柄なコイ科の熱帯魚で、細かなドット柄にオレンジ色のヒレが目を引きます。打ち上げ花火のような華やかな見た目から名付けられました。

性格は、その小ささ通り臆病でやや神経質警戒心も強いので、水槽に入れるときは5~10匹程度の群れで飼育すると安定しやすいです。

また、口が小さく普通の熱帯魚用のフードでは食べられないことがあるので、超小粒の物を用意するか、人工飼料を細かく砕いて与えましょう。たまに嗜好性が高い冷凍ブラインシュリンプや刻んだイトメ等を与えると喜んで食べる様子が見られます。

ミクロラスボラ・ハナビはどこか日本の淡水魚を思わせる見た目をしており、和風のレイアウトや水草水槽にもよく映えます
凝ったレイアウト水槽にぜひ導入してみて欲しい熱帯魚です。


オリジアス・ウォウォラエ

(熱帯魚)オリジアス・ウォウォラエ(1ペア) 北海道・九州航空便要保温

東南アジア原産のメダカの仲間である オリジアス・ウォウォラエ
日本在来のメダカと近しい遺伝子を持っていますが、性質はかなり異なります

水槽内の雑菌に弱く、特に導入直後は病気にかかりやすいです。ストレスから体調を崩すことも多々あるため、同種と群れで飼育したり隠れ家を作ったりして、居心地の良い環境を整えてあげましょう。

性格は臆病で時折威嚇するような仕草を見せることはありますが、おおむね穏やかで他種との混泳も可能です。
ただ、雑菌に弱い性質を考えると底砂を掘り返して汚れをまき散らしてしまうことがある、コリドラスなどのナマズ類とは混泳には注意してください。

弱い面はありますが、見た目はとても華やかで繁殖もできる、飼育しがいのある魚です。価格も安価なので、熱帯魚の飼育に慣れてきた方は、ぜひ挑戦してみてください。

ワイルドのコリドラス

(熱帯魚)コリドラス・コンコロール(ワイルド)(1匹) 北海道・九州航空便要保温

ころころとした見た目が可愛らしく人気のコリドラス。水槽の中のお掃除屋さんとして初心者から飼育が可能な熱帯魚と紹介されることもありますが、それはブリード個体の話です。

実はコリドラスにはワイルドの個体が流通しており、こちらは警戒心が強くなかなか人前に姿を見せてくれません

環境に慣れれば少しずつましにはなるようですが、臆病な性格は変わりませんので、水槽に近づくときは驚かせないよう注意を払うのが良いでしょう。

コリドラスのワイルドはブリードの個体に比べて、体が大きく発色も良い傾向にあります。
その分値段も高額なのですが、ワイルドにしかない魅力があるため人気が高いです。

ナンヨウハギ

TORIMATE(トーリーメイト)ナンヨウハギ3cm マリンアクアリウム 海水魚

ナンヨウハギは、ブルーの体に黒の模様と黄色い尾びれがアクセントの、ニザダイ科の海水魚です。アニメ映画で一躍有名になりました。

体長は20~30cm前後と決して小さな魚ではありませんが、性格はかなり神経質で警戒心が強いです。

十分に遊泳できるスペースがない環境だと、影に隠れて姿を見せてくれなくなってしまうほど気難しく、睡眠時にはサンゴの隙間に潜り込んで眠るような用心深さを持ち合わせています。

そのため、水槽は60cm以上のものを用意してスペースに余裕を持って飼育してあげましょう。
身を隠せるライブロックやサンゴを配置すると落ち着きやすいです。

ちなみに、ナンヨウハギは尾びれの付け根に微弱ながら毒のある棘を持っています。食べてしまわない限り人間には影響ないと考えられますが、念のため無闇に素手などで触れないよう注意してください。

マンダリンフィッシュ(ニシキテグリ)

【海水魚/観賞魚/ネズッポ】 マンダリン ■サイズ:4cm± (1匹)

マンダリンフィッシュは『錦手繰(ニシキテグリ)』という和名を持つ、鮮やかで独特の模様が印象的な海水魚です。

性格は穏やかで影に隠れてしまうような臆病な面もあまり見られないのですが、餌に対しての警戒心が一際強く、餌付けにかなり苦戦を強いられます

人工餌に慣れさせるのは至難の業で、飼育環境下では冷凍餌すら口にしないこともしばしば
とにかく餌を食べずに餓死してしまうことが多いため、餌付けは慎重に行いましょう。

プランクトンを捕食する魚のため、主食は冷凍ブラインシュリンプや、冷凍クリーンコペポーダです。
慣れるまではスポイトですくった餌を目の前にたらしてあげるなどして、餌を認識させて食べさせることを意識してください。

また、餌を食べるのが遅いため、他種との混泳では餌を食べ損ねてしまいます。
性格自体は混泳水槽でも問題ないのですが、餌付けの問題から単独飼育推奨です。

熱帯魚の警戒心が強いのは普通の行動


小さな熱帯魚たちは自分の身を守るため、常に周りを警戒しています

これは飼育環境下でも同じです。そのため、水槽の中でなかなか姿を見せてくれない魚がいても、必要以上に気にすることはありません

ストレスから餌も食べられず衰弱してしまっているようならば対策が必要ですが、姿が見えないだけで元気なようならば、そっとしておいてあげるのが良いでしょう。

まとめ:警戒心が強い熱帯魚とは!熱帯魚が警戒心を持つ理由と神経質な魚種例


今回は熱帯魚が警戒心を抱く理由と神経質な魚種7選を解説しました。

多くの生き物は、生存していくため、種を守るために警戒心を持っています。
特には自然界では捕食されてしまうことが多いため、強い警戒心を持つ種が多いです。

飼育環境下でもなかなか人に慣れず、姿を見せない魚が現れることがありますが、あまり気に病まずに、長い目で見守ることが大切です。
ただ、警戒心から餌を食べれていない、ストレスから体調を崩しているといった個体を見つけたら、速やかに対策をしてあげましょう。

このコラムが、熱帯魚が快適に暮らせる環境を整えてあげる手助けになれば幸いです。

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執筆者 アクアガーデン

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