泳ぐ宝石・アピストグラマ!美しい種類と飼育方法を徹底解説します!
コラムでは各社アフィリエイトプログラムを利用した商品広告を掲載しています。
アピストグラマは南米アマゾン川水系に生息している、小型のアメリカン・シクリッドの1種です。
種類が豊富で体色や模様は様々ですが、いずれも色鮮やかで非常に高い鑑賞性を有します。
また、個体によって模様の出方に違いがあり、とても個性豊か。同種でも同じ柄を持つものはいないと言われるほど、コレクション性にも優れています。
その色彩豊かな背ビレを使ったフィンスプレッディングは見事で、”泳ぐ宝石”の異名が付くほどです。
ここでは、アピストグラマについて特徴や主な種類、飼育方法などをご紹介します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにアピストグラマの種類と飼育方法を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
色彩豊かで泳ぐ宝石とも称されるアピストグラマの仲間たち。
小型で大きな水槽を必要としない熱帯魚ですが、縄張り意識が強いなど飼育する上での注意点がいくつかあるため、飼育する前に確認しておきましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、アピストグラマの種類と飼育方法を解説します。
アピストグラマとはどのような熱帯魚か?
アピストグラマは、スズキ目シクリッド科アピストグラマ属に分類されている淡水魚の総称です。
ブラジルやペルー、コロンビアなど、南米のアマゾン川水系に生息しているアメリカン・シクリッドの仲間で、体長はいずれも5~10cm程度の小型種。種類が非常に多く、現在では約90種類が確認されてます。
特徴
アピストグラマの大きな特徴は、その美しい体色と模様です。ベースとなる色柄は品種によって異なりますが、 赤色や青色、緑色など鮮やかなものが大半で、模様も派手な種類が多く、1匹として同じ柄のものはいないと言われています。
体格も品種によって異なり、細身のものから体高があってしっかりとした印象を受けるものまで様々です。
そんな個性豊かなアピストグラマ達ですが、共通しているのが長いヒレを持つ点です。特に背ビレの基底部は魚体の半分以上を覆うほど。
オスが背びれを広げて威嚇する、フィンスプレッディングは美しくて大変に見ごたえがあります。
コレクション性が高く愛好家が多い
品種や色柄が豊富で美しいアピストグラマはコレクション性が高く、熱心な愛好家が多い熱帯魚としても知られています。
縄張り意識が強く同種同士の混泳が難しい面があるアピストグラマを複数匹飼育するために、複数の水槽を集合住宅のように組み合わせてアピストグラマを飼育する、通称”アピストマンション”は、アクアリストの憧れです。
アピストグラマの種類5選
約90種類のアピストグラマの仲間の中から、ここでは、観賞魚として流通している代表的な種類を5種類ご紹介します。
アピストグラマ・カカトゥオイデス
アピストグラマ・カカトゥオイデス(アピストグラマ・カカトイデス)はアピストグラマの中でも最もポピュラーな種類の1つで、飼育も容易な部類に入ります。
体長は7cm程度で、ペルーやコロンビアなどアマゾン川の上流域に生息しており、ヨーロッパで盛んにブリードされている種類です。
背ビレと尾ビレに赤色の模様が入る『ダブルレッド』やオレンジ色に染まる『オレンジ』などの改良品種が人気です。
アピストグラマ・アガシジィ
カカトゥオイデスと並ぶポピュラーな種類です。体色や模様は産地によってバリエーションに富むので、特にコレクション性が高いアピストグラマとして親しまれています。
アレンカー湖で採取された青味が強い『アレンカー』や、赤色がほとんどでない『ブルー』などの品種が人気です。
アピストグラマ・ボレリー
アピストグラマ・ボレリーはアマゾン川の支流であるパラグアイ川水系に生息する種類で、体高がある魚体と大きなヒレが特徴です。
水質にもうるさくないので飼育しやすく、アピストグラマの入門種としてもおすすめされています。
全身の青色の金属光沢が美しい『オパール』や、黄色と青色の体色が奇麗な『イエローブルー』などの品種がいます。
アピストグラマ・トリファスキアータ
グァポレ川やパラグアイ川に生息している種類で、青い金属光沢がある体と長く伸長する背ビレが特徴です。
同種も環境適応力が高い方なので飼育しやすく、人気種の1つとして古くから親しまれています。
アピストグラマ・ヴィエジタ
コロンビアに生息するアピストグラマです。流通量が多く、水質にもあまりうるさくないため飼育がしやすい品種として親しまれています。
このヴィエジタにはよく似た見た目のマクステリという品種がおり、海外ではしばしば混同されて流通、飼育されてきました。また両者が交雑しやすい品種だったことも相まって、特に改良品種はどちらなのか判別がつかず、現在でも区別されずに両方の名で販売されていることがあります。
アピストグラマの飼育に必要なもの
アピストグラマを飼育するためには、主に以下のものが必要です。
- 水槽
- フィルター
- 照明
- エアレーション
- 底床材
- レイアウト用品
- フタ
- ヒーター
- カルキ抜き剤
- 餌
基本的には熱帯魚飼育用の機材を揃えれば問題ありません。
今回はこの中で注意が必要な水槽・フタ、ろ過フィルター、底床材の3点について解説します。
水槽/フタ
大きくても体長10cm程度のアピストグラマは、30cm水槽から飼育できます。
ただ、縄張り意識が強くケンカをしやすいので、複数匹飼育する場合は余裕を持ったサイズの水槽を用意しましょう。
また、飛び出し事故が多い魚でもあるので、水槽のフタは必ず用意してください。
フィルター
小型水槽であればスポンジフィルター、60cmクラス以上の水槽であれば外部式や上部式がおすすめです。
アピストグラマはそれほど水を汚す熱帯魚ではなくまた、強い水流を嫌う傾向があるので、小型水槽であればスポンジフィルターが適しています。
中型以上の水槽では、スポンジフィルターだと能力不足に陥りがちなので外部式や上部式が選択肢になりますが、どちらの場合も速い流れが生じないように排水口の位置取りなどには注意してください。
底床材
アピストグラマは下層を遊泳するので、底砂は入れた方が落ち着きます。底床材は水質をアルカリ性に傾ける効果があるサンゴ砂を除けば何でも良いのですが、ソイルを使用すると自然と水質をアピストグラマが好む弱酸性にしてくれるのでおすすめです。
ただし、ソイルは使用していると崩れてしまい、泥状になると機能を果たせなくなるので定期的にリセットする必要がある点に注意してください。
アピストグラマの飼育方法
アピストグラマは水質管理が難しい魚と言われることがありますが、実際はそんなことはありません。
確かに一部には弱酸性の軟水が必須などの条件が付く品種もいますが、大半はそこまでうるさい性質ではなく、初心者でも比較的容易に飼育することができます。
初めてアピストグラマの飼育に挑戦する方は、ブリード個体が出回っている流通量の多い品種の中から、飼育しやすい入門種を選ぶのがおすすめです。
ここでは、アピストグラマの飼育方法をご紹介します。
水温・水質
アピストグラマの飼育に適した水温は25~27℃前後です。
高めの水温には強い傾向にありますが、30℃を超えるような環境では体調を崩してしまいますので、夏場水温が維持しづらいようならば冷却ファンや水槽用クーラーを使って、水温を下げる工夫をしましょう。
反対に低水温には弱いので、冬は水槽用ヒーターが必須です。
水質はpH5.5~7.0の弱酸性から中性を保てば問題ありませんが、弱酸性の水質の方が好ましいです。
硬度については軟水を好みますが、日本の水道水は全国的にほぼ軟水なので調整する必要はありません。
餌について
アピストグラマは雑食性なので、餌は人工飼料から冷凍アカムシなどの活餌まで、何でもよく食べてくれます。水質維持の観点から餌は人工飼料をメインに与え、たまに活餌を与えるようにすると、水質と栄養バランスの両面で健康的な成育が望めます。
同種は下層をメインに遊泳するので、人工飼料は小型魚用に配合された緩沈下性のものを選ぶと良いでしょう。
与え方は1日に1回または2回に分けて、1回あたり5分程度で食べきれるだけの量を与えてください。
食べ残した餌は水を汚してしまうので、食べ残しが生じた場合はできる限り除去しておくと良いでしょう。
混泳について
先に少し触れましたが、アピストグラマは縄張り意識が強いため、混泳には注意が必要です。
同種同士は激しい争いになりやすいため、アピストグラマを複数匹飼育したいときは、
- オスメスペアで飼育する
- 広い空間に水草やシェルターを入れて隠れ家を作る
の2点を意識します。
他種に関しても、遊泳層が重なる魚種とは相性が悪いです。特に、近縁種であるシクリッド類とは喧嘩しやすいので混泳は避けた方が良いでしょう。
混泳相性が良い魚種としては、遊泳層が重ならないネオンテトラなどのテトラ類やアカヒレ、大人しいコリドラスやオトシンクルスなどが挙げられますが、体の小さな魚はアピストグラマにいじめられてしまうことがあるので、ストレスを抱えていないかを注意深く観察してください。
いずれにしても、混泳の可否は最終的に個体同士の相性に依存するので、混泳を始めたら様子をよく観察し、異常があればいつでも隔離できるよう準備を整えておくことが大切です。
水槽レイアウト
アピストグラマは隠れ家があると落ち着きやすい傾向にあるので、水草やシェルター、流木などを使ったレイアウト水槽への導入がおすすめです。
水質を弱酸性に傾けるソイルの使用が推奨されるため、水草水槽とも相性が良いでしょう。
混泳水槽では、いざという時に身を隠せるようレイアウトを多めに配置すると、小競り合いによる事故を防ぐことができます。
メンテナンスについて
水槽のメンテナンスは一般的な熱帯魚水槽と同様です。
- 水換え
- 水槽内や底砂の掃除
- フィルター掃除
水換えは総水量の1/3程度の量を目安に交換します。水換えの頻度は水槽の大きさや飼育数などのよって異なるため一概にはいえませんが、概ね1~2週間に一度程度です。
アピストグラマはあまり水を汚さない魚ですが、硝酸塩には弱い面があるので、水質検査薬を使って水換えのタイミングを見極めると良いでしょう。逆に水換えの頻度が多すぎると、弱酸性の水質を保ちづらくなるため、注意します。
また、水換えのタイミングに合わせて水槽内の掃除を行います。壁面やレイアウトについた汚れやコケは、メラミンスポンジなどを使ってこそげ落とします。底砂の汚れはクリーナーポンプを使って水と一緒に汚れを吸い出すのが、時短になっておすすめです。
ろ過フィルターは数ヶ月に一度点検を行い、汚れの蓄積が見られたら内部の掃除やろ材の洗浄・交換を行ってください。
繁殖について
アピストグラマは水槽での繁殖も狙える熱帯魚です。繁殖させやすい種類としてはアガシジィ、トリファスキアータ、ボレリーなどが挙げらます。
繁殖をさせたいときは、まず繁殖用水槽を用意します。アピストグラマは狭い場所に産卵するケーブスポウナーなので、水槽の中には産卵床となるシェルターや土管などを配置しましょう。
次にオスとメスをペアで導入します。なかなか繁殖行動が見られないときは、ペアの形成を促すために相性の良い他の熱帯魚と混泳させるのもおすすめです。
水質は弱酸性の軟水に調整します。硬度が高いときは、水質調整剤を利用して水質を維持してください。
ペアが形成されて産卵した後は、卵のふ化から稚魚の世話までメスが行ってくれるので静かに見守りましょう。本来ならばペアで子育てをするのですが、水槽という狭い環境だとメスがペアのオスまでもを排除しようと追い掛け回すケースがあります。
そのような場合は、メスが落ち着いて子育てができるように他の魚は隔離してください。
誕生した稚魚用の餌には、ブラインシュリンプを与えると良いでしょう。
まとめ:泳ぐ宝石・アピストグラマ!美しい種類と飼育方法を徹底解説します!
アピストグ今回は、泳ぐ宝石とも称される美しい熱帯魚、アピストグラマについて特徴や主な種類、飼育方法をご紹介しました。
アピストグアピストグラマは鑑賞性・コレクション性ともに高く、熱心な愛好家が多い熱帯魚としても知られています。
様々な品種がいますが、全体的に硝酸塩の蓄積には弱い傾向があるので、飼育の際は水質の維持管理に注意してあげてください。
水質管理が難しいと思われがちですが、種類を選べばそこまで神経質になる必要はありません。一般的な熱帯魚飼育設備があれば、初心者でも飼育することができます。
色彩豊かな背びれを使ったフィンスプレッディングは非常に見ごたえがあるので、ぜひアピストグラマの飼育に挑戦してみてください。
お問い合わせ
水槽や機材、熱帯魚のレンタル・設置・メンテナンスがセットになった水槽レンタル・リースサービス、
お手持ちの水槽をプロのアクアリストがメンテナンスしてくれる水槽メンテナンスサービス、
水槽リニューアルサービスや水槽引っ越しサービスなど様々なサービスがございます。
お見積りは無料となっておりますのでお気軽にお問い合わせください。
このコラムへのコメントやお悩み相談に届いた質問の回答
子育て中のアピストアガシジィ雌が、白点病を発症してしまいました。
稚魚も水槽内にいる状況です。浮上から1〜2日目です。稚魚には発症はみられません。
また、他に生体はいない状況です。
どうするのがベストでしょうか?
実際に拝見していないため、正確な回答ではないことをご了承ください。
稚魚がいる状態で魚病薬を使用するのは控えたほうが良いです。
こまめに水換えしつつ、水温を27度ほどに昇温しながら様子を見ましょう。
白点虫は26度を超えると活性が鈍るのである程度の効果が見込めます。28度を限度に稚魚たちにダメージが無いかを確認しながら、1日1度ずつ昇温すると良いと考えています。
こちらのコラムもご参照ください。
・魚の病気を薬を使わないで治療する方法!薬浴以外にできることを解説
https://t-aquagarden.com/column/no_use_fish_medicine
よろしくお願いいたします。