熱帯魚・観賞魚の繁殖シーズンとは!繁殖の準備とポイントを解説!
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「飼っている魚を繁殖させてみたい」というのは、アクアリストであれば誰もが一度は思うことではないでしょうか。
繁殖が成功するというのは、上手に飼育できている証拠でもあります。産卵から孵化、稚魚から成魚へと成長したときには達成感を得られるでしょう。
繁殖を狙う場合、自然と産卵する場合もありますが、繁殖に適したシーズンを把握して、環境を整えることが大切です。
今回は、熱帯魚や観賞魚の繁殖シーズン、繁殖させるための準備とポイントをご紹介します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに魚の繁殖シーズンや準備とポイントを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
- メダカなどの観賞魚は春~夏にかけてが繁殖期のピーク!加温飼育しない場合は季節に沿って産卵するよ
- グッピーなど水槽用ヒーターで加温している生き物は一年中繁殖が可能!ただし、ペアの相性が悪いと繁殖しないことも!
- ネオンテトラなど、ポピュラーだけど自宅では繁殖が難しい熱帯魚もいる稚魚が生まれる・育てる環境を整えるのが難しい魚種もいるよ
- 熱帯魚・観賞魚を繁殖させる準備!産卵用の隔離水槽や稚魚を育成する餌などを用意しよう!
手塩にかけて育てた魚たちを、繁殖したいと願う方も多いでしょう。
熱帯魚と観賞魚には繁殖シーズンがあり、一年中繁殖できる魚から時期を選ぶもの、繁殖が困難なものまでさまざまです。また、繁殖の準備をしっかり行うことで、卵や稚魚をはじめとした魚たちの命を守ることにつながります。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、熱帯魚と観賞魚の繁殖シーズンや、繁殖の準備とポイントを解説します。
熱帯魚・観賞魚には繁殖シーズンがある
熱帯魚や観賞魚には、それぞれに適した繁殖シーズンがあります。
より確実に子孫を残すために、本来の生息地での環境に合わせて魚たちが獲得した習性・戦略であり、繁殖させる場合はシーズンの把握が大切です。
春~夏に繁殖期を迎える魚種の例
まずは、春~夏に繁殖期を迎える魚種をご紹介します。
春~夏にかけて産卵、孵化することで暖かい時期に稚魚が成長し、冬場は活性が下がる魚種が多いです。
メダカ
メダカは水温が18℃以上、日照時間が13時間以上を目安とした条件で繁殖します。地域にもよりますが、4月~10月の間で繁殖の条件を満たすことが多いです。
メダカはもともと国産の魚であり、屋外で飼育していれば、春になると自然に繁殖行動をとることが増えるでしょう。特別なことをしなくても、初心者の方でも繁殖させやすい魚です。
室内飼育の場合は、水槽用ヒーターと照明を使えば一年中繁殖できます。しかし、母体のことを考えると、一年中繁殖させるのはあまりおすすめできません。
金魚
金魚の繁殖シーズンは水温が20℃前後の時期で、4月から6月ころです。
金魚はもともとフナを改良した魚であり、雨が降った日やその翌日に産卵することが多いです。そのため、卵を持った個体がいれば普段より多めに水を変えることで、産卵を促せます。
また、ヒーターを使用して水温を20℃前後に上昇させ、春の水温上昇を再現すると産卵しやすいです。金魚は一度産卵を始めると、1~3週間おきに産卵します。
錦鯉
錦鯉の繁殖シーズンは4~7月頃で、水温20℃前後の時期です。金魚と同じように雨が産卵のきっかけになるので、抱卵した個体がいたら多めに水替えをすると産卵を促せます。
錦鯉は40cm前後から繁殖できるので、錦鯉の大きさだけを見れば水槽内でも繁殖可能だと考えてしまいがちです。しかし、錦鯉は体全体を振って産卵行動をするので、その際に水がこぼれたり、ガラス水槽では割れたりする可能性があります。
そのため、錦鯉を繁殖させる場合は、少なくともプラ池を用意したほうがよいでしょう。
また、淘汰される数を引いてもかなりの数の稚魚、幼魚になります。すべて飼育するとなると、かなりのスペースが必要なので、成長後のことをしっかりと考えて繁殖させましょう。
一年中繁殖が可能な魚種の例
季節に関係なく、一年中繁殖が可能な魚種もいます。四季がなく、年間を通して暖かい地域の魚種が多いです。
一年中繁殖が可能な魚種は、成熟した個体を落ち着く環境で飼育すれば繁殖することが多いので、初心者の方でも繁殖させやすいでしょう。
ただし、ペアの相性や水質が悪かったり、病気をしてしまったりすると繁殖行動が起きないこともありますので、ご注意ください。
卵胎生の熱帯魚
グッピーやプラティなど卵胎生の魚は、オスとメスを一緒に飼育しているだけで繁殖するような、増やしやすい魚種です。
卵胎生の魚は卵をお腹の中で育てて、稚魚の状態で産みます。繊細な卵の時期をお腹の中で過ごすので、生存率も高く初心者の方にもおすすめです。
繁殖のサイクルも早く、複数のメスがいると一気に稚魚が増えます。繁殖させたあとの飼育スペースなども十分に考慮しておきましょう。
ペアで繁殖を狙える熱帯魚
アピストグラマやエンゼルフィッシュ、ベタなど、成熟した個体をペアで飼育すると、比較的繁殖させやすい魚種もいます。
ペア飼育で繁殖が狙える種類は、産卵後に卵や稚魚の世話をするものが多くいます。そのため、混泳魚がいなければ、産卵すれば高い確率で孵化まで進むことが多いです。
卵を守るために親は攻撃的になり、場合によっては混泳魚がボロボロにされる可能性もあります。ペア繁殖を狙う場合は、可能であればペアのみで飼育しましょう。
繁殖が難しい魚種の例
簡単に繁殖できる魚種もいれば、水槽内では繁殖が難しいものもたくさんいます。
こちらでは、繁殖が難しい魚種の例として、ネオンテトラとカクレクマノミを挙げていますが、繁殖の難度はとても高いと言えます。
ネオンテトラ
熱帯魚の定番であるネオンテトラですが、実は繁殖がとても難しいです。
ネオンテトラは、雨季を感じないと繁殖しません。水槽内では雨季の再現が困難なため、繁殖が難しいのです。産卵や孵化に成功した場合でも、稚魚の大きさが非常に小さく、餌の確保に苦労します。
また、ネオンテトラは一般的に混泳水槽で飼育されることが多いので、産卵してもほかの魚に食べられてしまいます。
ただし、ネオンテトラ専用の水槽で、ペア飼育すれば繁殖を狙えることもあります。ネオンテトラのペアのみで飼育すると、どうしても鑑賞性に乏しくなってしまいますが、チャレンジしてみる価値はあるのではないでしょうか。
カクレクマノミ
カクレクマノミは水槽内でペアを組ませやすく、比較的産卵もしやすいです。しかし、孵化にかかる手間と産卵後のケアを考えると、かなり難易度が高いでしょう。
孵化は深夜に起こるうえ、生まれたての稚魚は非常に弱いため、水流や照明などを整えた稚魚育成専用の水槽をあらかじめ準備しておく必要があります。また、孵化後1週間程度は稚魚のショック死を防ぐため、照明を24時間点灯させ続けないといけません。
さらに、餌のワムシを切らさないように培養し、こまめに与え続けることも、個人で飼育する場合にはかなりハードルが高い作業です。
カクレクマノミに付きっ切りになれれば育成が成功する可能性もありますが、必ずしも孵化するわけではないのでご注意ください。
魚の繁殖に必要な準備
熱帯魚や観賞魚を繁殖させようとする場合には、事前の準備が大切です。
種類によって多少異なりますが、どの魚にも共通する基本的な準備をご紹介します。
隔離水槽の準備
ベタやアピストグラマのように、ペアを作って卵を世話する魚種の場合、混泳水槽とは別に専用の水槽を用意しましょう。
親魚は繁殖期には攻撃的になることが多く、混泳している魚を執拗に攻撃します。また、ほかの魚に卵や稚魚を襲われる可能性もあるのです。
ただし、産卵直前に隔離すると、環境が変わって産卵しなくなることも考えられます。繁殖させたいときには、レイアウトも含めた魚が落ち着く環境を用意してあげましょう。
また、グッピーなどの稚魚を生むタイプの熱帯魚の場合、生まれたての稚魚がほかの魚に食べられないように隔離しましょう。隔離には親を移す方法と稚魚を移す方法がありますが、稚魚は環境変化に弱いので、親を移動させましょう。
グッピーやメダカなどは、環境が変化しても繁殖しやすい魚種です。ペアやトリオを産卵用水槽に移し、産卵後に元の水槽に戻すのがおすすめです。
産卵床を設置する
効率よく繁殖させるには、産卵床を用意しましょう。
産卵床としてよく使用されるのは、人工産卵床やウィローモス、シュロなどです。
産卵床を用意しなくても、水槽の壁面や流木、水草などに産みつける場合もあります。しかし、産卵後の管理を考えると、産卵床を設置するのがおすすめです。
魚の習性や得意な水質、飼育環境に合った産卵床を用意しましょう。
水温を管理する
繁殖を行うには、それぞれの魚種の産卵に適した水温に調整しましょう。
基本的にはどの魚も、繁殖を狙う場合はやや高めの水温で管理します。メダカや金魚は23℃以上、エンゼルフィッシュは26℃以上、ベタでは28℃がおすすめです。
水温を上げることで、繁殖のきっかけとなる魚種も多くいます。繁殖させようとする魚種に適した水温に合わせ、調整してください。
また、水槽用オートヒーターでは水温の調整ができません。繁殖を狙う場合は、サーモスタットと水槽用ヒーターを使用しましょう。
稚魚用の餌を用意する
稚魚が餓死しないように、稚魚用の餌を用意しておきましょう。
生まれた直後の稚魚には、栄養を蓄えたヨークサックが付いています。稚魚がヨークサックを吸収し終えると餌を食べ始めるので、あらかじめ用意しておくことが大切です。
魚種にもよりますが、ブラインシュリンプやインフゾリア、コペポーダなど、稚魚のサイズに合った餌を準備しましょう。
ブラインシュリンプはさまざまな魚種の稚魚に使用できるので、沸かし方を練習しておくとよいでしょう。
繁殖させすぎても放流は厳禁!
当たり前のことですが、繁殖させてから飼いきれないからといって、河川に放流するのは絶対にやめましょう。無責任な放流は、生き物たちの生態系に影響が出る可能性があります。
最近では、改良メダカが放流され在来メダカとの交雑が増えています。また、温排水のある場所では、グッピーやティラピアなどが越冬して繁殖までしているというニュースも見聞きするようになりました。
「本当に飼育できるのか?」「繁殖を抑えるにはどうしたらいいのか?」など、十分に考えてからペアで飼育するようにしましょう。
まとめ:熱帯魚・観賞魚の繁殖シーズンとは!繁殖の準備とポイントを解説!
熱帯魚や観賞魚の繁殖シーズン、繁殖の準備やポイントについてご紹介しました。
飼育している魚の繁殖に成功することは、この上ない喜びを感じられます。新しい命が誕生するのはやはり嬉しいことですよね。
繁殖を狙おうと思ったら、まずはその魚種のことを知る必要があります。魚を知り、そこから上手に環境づくりをしてあげましょう。
記事を参考に、魚たちの繁殖にチャレンジしてみてくださいね。
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