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オトシンクルスは南米に広く分布しているナマズの仲間です。
吸盤状の口を持っており、水槽の内壁や流木などに貼り付いて、こそぎ落とすようにしてコケや表皮などを食べます。雑食性の熱帯魚ですがコケ類などの柔らかい植物を好んで食べ、水草を食べることは少ないという特徴から、コケ取り用のクリーナー生体としても人気です。
体長は10cm程度までの小型魚で、性格も温厚なため様々な熱帯魚と混泳させることができます。
このコラムではオトシンクルスの種類や飼育方法、繁殖などについて解説しますので、飼育を検討中の方はぜひ参考にしてください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにご紹介
このコラムは東京アクアガーデンに在籍するプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
アクアリウム業界に携わって15年以上の歴史を持つアクアガーデンでは、オトシンクルスを扱いことも多く、飼育のノウハウも心得ています。
オトシンクルスはコケ取りの能力が高く、クリーナー生体として人気の魚です。基本的には丈夫な魚種ですが、水質の急変に弱い部分もあるため、水槽に導入する際はしっかりと水合わせを行ないましょう。
このコラムではオトシンクルスの種類や飼育方法について解説しますので、ぜひお役立てください。
オトシンクルスの飼育方法を動画で知る!
この記事の内容は動画でもご覧いただけます。
オトシンクルスを元気に育てる方法や設備などを音声付きで解説しています。
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オトシンクルスとはどのような熱帯魚か?
まずはオトシンクルスがどのような熱帯魚なのか、特徴や種類についてご紹介していきます。
特徴
オトシンクルス(単にオトシンとも)はナマズ目ロリカリア科ヒポプトポマ亜科に属する淡水魚の総称です。
体長は2~10cm程度の種類が多く、ナマズの仲間だけあって上下に扁平な体型をしています。
南米のアマゾン川水系に広く分布しており、流れが穏やかな場所を好むものや、逆に流れが速い場所を好むものなど、生息場所は品種によってさまざまです。
寿命は3年前後で他のナマズ類と同様に、夜間に活動する夜行性です。
食性は雑食性ですが、基本的にはコケなど植物性のものを好みます。吸盤状の口を持っており、水槽の内壁や流木の表面などに吸い付いて、コケや表皮をそぎ取るようにして食事をします。
性格は温厚なため、他の魚種との混泳相性が良いというのも魅力のひとつです。
柔らかい植物を好むので、水槽内にコケがある(もしくは人工飼料に餌付いている)限りは水草を食害することは滅多にありません。
体色が地味な種類が多く水槽に導入してもあまり目立たないので、コケ取り用のクリーナー生体として人気が高いです。
オトシンクルスの種類
続いてはオトシンクルスの種類として、
- オトシンクルス
- オトシンネグロ(オトシンクルス・ネグロ)
- ゼブラオトシン
- タイガーオトシン
これら4種について解説をしていきます。
■オトシンクルス
単にオトシンクルスとして扱われている品種は複数存在し、主に『affinis(アフィニシス)』『vestitus(ヴェスティタス)』『vittatus(ヴィッタートゥス)』などが、特に区別されることなく販売されています。
体長はいずれも5cm程度で、コケ取り生体としてプレコと並び人気があります。
■オトシンクルス・ネグロ(オトシンネグロ)
オトシンクルス・ネグロは体長4~5cm程度のオトシンクルスの一種です。『ネグロ』とは黒い色を表す言葉で、他の品種よりも全体的に黒っぽいことからこの名が付けられました。
オトシンクルスの中でも特に丈夫で飼育しやすく、繁殖も比較的容易なことから、入門種としても最適です。
主に茶ゴケを好んで食べます。
■ゼブラオトシン
ゼブラオトシンは近年になって輸入され始めた新しい品種です。
名前の通り白と黒の縞模様が入ることが特徴で、これまで観賞性については重視されてこなかったオトシンクルスの評価を一変させました。
体長は4~5cmほど。普通のオトシンクルスと同様におとなしく丈夫な魚なので、アクアリウム初心者でも容易に飼育することが可能です。ただし輸入量が少ないので、あまり流通していません。
■タイガーオトシン
タイガーオトシンは白色と黒色のまだら模様のオトシンで、体長は2~3cm程度とオトシンの中でも特に小型の品種です。
いまだ飼育法が確立されておらず、長期維持はかなり難しいと言われています。
特に餌が問題で、植物食性が強く人工飼料に餌付きにくいため、コケが不足するとそのまま餓死してしまうケースが多いようです。ベテランでも手を焼くほどなので、安易に飼育することはおすすめできません。
オトシンクルスの飼育法
続いてはオトシンクルスの飼育方法について、
- 水温や水質
- 水槽やろ過フィルター
- 底床材やレイアウト
- 餌
これらの項目に分けて解説をしていきます。
水温・水質
オトシンクルスを飼育できる水温の範囲は20~28℃前後です。
比較的丈夫な魚種ではありますが、低温では白点病にかかりやすくなるので、年間を通して25℃程度に水温を保って飼育するのが良いでしょう。
夏場は水槽用クーラーや冷却ファン、冬場は水槽用ヒーターなど、それぞれの季節に合った温調機器を用意して保温してください。
水質に関してはpH6.0~7.0の中性付近を保てば問題ありませんが、弱酸性を好む傾向にあります。
基本的には丈夫な魚種ですが、水温や水質の急変に弱い部分が見られるので、水槽導入時にはしっかりと水合わせを行ってください。
水槽・フィルター
オトシンクルスは小型なので、30cmクラスの小型水槽から飼育が可能です。
コケ取り能力に優れているので、小型水槽で飼う場合はできるだけ1匹、多くても2匹までにしておきましょう。
あまりにも多く導入すると餌となるコケがすぐに食べ尽くされてしまい、人工飼料に餌付く前に餓死してしまう可能性があります。
程よくコケが繁茂した60cm以上の水槽であれば、2~3匹導入しても問題ありません。ただしコケが不足した場合に備え、人工飼料に餌付かせることを前提に飼育しましょう。
フィルターに関しては、水槽のサイズや個体数に応じて適切なものを選択します。
小型水槽で少数を飼育するのであれば、外掛け式や底面フィルター、スポンジフィルターなどがおすすめです。
60cm以上の水槽で色々な熱帯魚と混泳させるのであれば、上部式や外部式を導入すると良いでしょう。
底床材・レイアウト
オトシンクルスは下層が生活圏なので、底床材を導入した方が落ち着いた環境を作ってあげられます。
水質をアルカリ性に傾けてしまうサンゴ砂は避けたほうが良いですが、そのほかの底床材ならばどんなものでも問題ありません。混泳させる相手に適した底砂を導入しましょう。
それから、オトシンクルスは臆病な性格に加えて夜行性なので、シェルターや水草などで日中に姿を隠せる場所を作ってやるのがおすすめです。
また、オトシンクルスは溶存酸素が豊富な環境を好むため、エアレーションはしっかりと行ってあげましょう。
オトシンクルスの餌
オトシンクルスはコケを主食とします。
しかし、コケであれば何でも食べるというわけではありません。オトシンクルスが好んで食べるのは茶ゴケや緑髭コケで、黒髭コケや藍藻といった種類は食べないのです。
そのため、コケが不足し餓死してしまう前に人工飼料へ餌付けることが重要となります。
人工飼料はプレコやコリドラス用の沈下性タブレットがおすすめですが、オトシンがそれを餌だと理解するまでに時間がかかる場合が多いです。
もし人工飼料に餌付く前にコケが不足しそうな場合は、冷凍アカムシなどの生餌や、アク抜きしたほうれん草などの葉物野菜を与えて餓死を防ぎましょう。
また、これらの餌は水を汚しやすいので、餌付けが完了するまでは水質の管理に注意する必要があります。
食べ残しはすみやかにスポイトで回収し、こまめに水換えするのがおすすめです。
人工飼料を食べるようになれば一安心、日頃からオトシンのお腹のあたりをよく観察しながら、基本は水槽内に生えたコケを食べてもらいつつ、痩せているようでしたら人工飼料も併用してください。
■オトシンクルスを餌付けする方法
オトシンクルスは熱帯魚の中でも特に、人工飼料への餌付けが難しい魚として知られています。
しかし水槽内のコケを食べつくすと餓死してしまうこともありますので、必ず餌付けを行ないましょう。
餌付け方法としては、まず少量のほうれん草と人工飼料を用意します。ほうれん草は1分ほどゆでてアク抜きをしたら、適度に刻んで冷まし、人工飼料と共に水槽に入れましょう。
オトシンクルスはゆでたほうれん草など柔らかい植物を好んで食べる習性があるので、一緒に人工飼料も口に入れて、「人工飼料は食べられるものだ」と知ってもらう感覚です。
オトシンクルスを長期飼育するのであれば、餌付けは欠かせません。餓死をしやすい熱帯魚でもあるので、餌付け前にコケが無くなって慌てることがないよう、水槽サイズを考慮しながら、導入数にも気をつけましょう。
混泳について
続いてはオトシンクルスの混泳について解説していきます。
熱帯魚との混泳
オトシンクルスは温厚でやや臆病な性格をしているので、他の魚を追い回すなどの攻撃的な行動をすることはありません。
そのため、魚食性をもつ中~大型魚や、オトシンクルスを攻撃してくる気性が荒い魚種を除けば、色々な熱帯魚と混泳できます。
相性が良いのはラスボラや小型のグラミー、コリドラスなどです。
もちろん同種同士での混泳も可能なので、過密飼育に注意しながら混泳を楽しみましょう。
水草との混泳
オトシンクルスと水草はどちらも弱酸性の水質を好みます。
食べられるコケが十分にあったり人工飼料に餌付いている場合は水草を食害することも滅多にありませんので、水草水槽でも問題なく飼育が可能です。むしろ水草の表面に付いたコケをきれいに食べて掃除してくれます。
また、水草はオトシンクルスの隠れ家にもなり、産卵床の役割を果たすこともできるので、水草と混泳させるメリットは大きいです。
水草と混泳させる際は流木に活着させた状態で導入すると、流木がオトシンクルスの非常食になるのでおすすめです。
活着させやすい水草としてはアヌビアスナナやウィローモス、ミクロソリウムなどが挙げられます。
繁殖について
最後にオトシンクルスの繁殖についてご紹介します。
オトシンクルスは一般的に繁殖が難しく、水槽での繁殖例が確認できない品種がほとんどです。
ここでは比較的に繁殖が容易とされている、オトシンネグロについて繁殖法をご紹介します。
繁殖環境
繁殖させるためにはオスとメスを用意しなければなりません。
雌雄の見分け方ですが、成熟したメスはオスよりも腹部が丸く大きくなるので、容易に見分けることが可能です。
オス1匹に対し、2匹以上のメスを同一水槽に入れると繁殖する確率が高くなります。
水槽内には産卵床となる水草や流木を配置しておきましょう。
産卵できる環境が整ったら、水換えの際の水量をいつもよりも多めにし水温や水質に変化を与えてみましょう。それが切っ掛けとなり産卵する可能性があります。
稚魚の世話
卵は数日で孵化し、稚魚が誕生します。
孵化した直後の稚魚は卵のう(ヨークサック)の栄養で成長するので、この時期には餌を与える必要はありません。
孵化から数日経つと卵のうの栄養を吸収し終え、泳げるまでに成長しますので、このタイミングで餌を与えましょう。
オトシンクルスの稚魚は小さく、ブラインシュリンプでも捕食するには大きすぎるので、ゾウリムシ(インフゾリア)などの微生物を用意してください。順調に成長すれば、数日でブラインシュリンプを捕食できるまでに大きくなります。
ある程度成長してきたら、ブラインシュリンプに加えて植物性の餌も与えていきます。植物性の餌としてはマジックリーフなどがおすすめですが、同時にプレコ用などのタブレット状の人工飼料を細かく砕いて与えておくと、人工飼料にも餌付かせることができるので後の管理が楽になります。
まとめ:【初心者向け】オトシンクルスの飼育方法!混泳、種類、エサ、水温まとめ
オトシンクルスの種類や飼育方法から繁殖の仕方まで解説しました。
オトシンクルスは、コケを混んで食べてくれること、性格が穏やかであることからクリーナーフィッシュとして親しまれています。
コケ取り能力に目が行きがちですが、オトシンクルス自身もナマズ特有の愛嬌のある顔立ちをしており、地味ながらとても可愛らしい熱帯魚です。
丈夫なお魚ですが、餌付けが難しく、餓死をしてしまいやすいという側面を持ち合わせています。長期飼育を考えて、必ず人工飼料に慣れさせておきましょう。
オトシンクルスのコケ取り能力は非常に優秀なので、水槽のコケに悩まされている方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
オトシンクルスについて良くある質問
オトシンクルスとはどんな魚ですか?
オトシンクルスが向いている水槽とは?
オトシンクルスを飼育する上での注意点とは?
コケがなくなると餓死の確率が上がるため、導入する匹数は控えめが良いです。
また、隠れやすいサイズ感の水草があると落ち着いて育ちます。
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